験担ぎの「カツ丼」と運動会前日の準備活動
その日の夕暮れ、愛満達の姿は朝倉学園の校庭にあった。
何故ならば、明日開催される朝倉学園主催の運動会の生徒達用のテントや観覧したり。お昼ご飯を食べたりする観覧者用のテントを建てていたのだ。
◇◇◇◇◇
「ふぅ~~、建てるテントはこのくらいで大丈夫かな?」
「そうでござるね、う~~~ん……これくらい建てれば、拙者は大丈夫だと思うでござるが」
「ワシも大丈夫だと思うぞ!」
「俺も大丈夫だと思うぜ。」
愛満が初めて開催される朝倉学園主催の運動会のテントの数が足りるか不安そうに心配して、愛之助や美樹達から大丈夫だと励まされる中。
怪我をしては危ないと愛満がテント建てるのを見学していた光貴が
「愛満、テント大きいへけっね!スゴ~いへけっ!カッコいいへけっ!
これは明日の運動会、気合いをいれて頑張らなくてはいけないへけっ!」
愛満の力を使い生み出した。大きなテントが運動場を円を書くように建ち並ぶ光景に興奮した様子で話。
仕事終わりの美樹や愛之助、山背達が、ほどよくかいた汗をぬぐいながら、明日の運動会を楽しみに家路へと帰るのであった。
ちなみにテントや入場入り口、退場出口の門等は、ほとんど愛満の力を使い、生み出し建ててあり。
愛之助達は、生徒が座るテント内の椅子や放送席、教員、役員用の椅子、机を並べ。
さらには保護者達が快適に座り、子供達の姿を長時間観覧出来るよう。ブルーシートを敷いた上に、スポンジ生地が組み込まれた厚手のお尻や体が痛くならない特殊なシートをテント内の地面に敷き詰め。
更に更に!愛之助達が一生懸命テント内に椅子や机、シート等を並べ敷いてくれている間。
皆が知らぬうちに心配性の愛満は、暑さで子供達や保護者達が具合が悪くなったりならないようと考え(心配し)
テントの屋根から時折細かい霧状のミストや風が出るように魔法を施していた。
◇◇◇◇◇
「あっ!お帰りアルね。テント建ては終わったアルか?ご苦労様アル。」
明日の運動会で学園長のリーフから頼まれ、包子屋として出店を出す事になり。
明日用の包子を大量に仕込んでいた黛藍がタイミング良く、愛満宅の玄関から帰って来た愛満達を出迎える。
「黛藍、ただいまでござるよ。」
「黛藍、ただいまへけっ!」
「黛藍、ただいまなのじゃ。」
「おう、ただいま!黛藍も包子作りお疲れ様。」
テント建ての手伝いで汗をかいた為。速足でお風呂へと歩い行く美樹達を見送りながら、愛満が黛藍へと話しかける。
「黛藍、ただいま。ありがとう、明日用のテントもバッチリ建てれたし。明日の天気も山背の調べでは晴れるみたいだから、明日の運動会が楽しみだよ。
それに黛藍も包子の仕込みお疲れ様。
黛藍も運動会見たいだろうに、明日の出店引き受けてくれて本当にありがとう。なんかごめんね。」
「何言ってるアルか、そんな事気にしなくて良いアルよ!
それに明日は村中の人が運動会に集まるアルから、黛藍はガッポリ儲けさせてもらうアルよ!ニッヒヒヒ~♪」
黛藍が最近読んだとある漫画で、主人公がお金儲けを思い付いた時に良くやるポーズや言葉を真似をし。
可愛らしい、あのまんまパンダ顔で、握り締めた右手を口の横に添えてニッヒヒヒ~と笑い。
知らず知らずのうちに沢山の力を使い、気心していた愛満を和ませ、ホッコリさせてくれている一方。
愛満宅内のお風呂に入る為。部屋へと着替えを取りに行っていた愛之助と光貴の2人が風呂場への通りすがら
「あぁ~~~♪明日の運動会も楽しみでござるが、愛満お手製のお昼のお弁当も楽しみでござるね、光貴!」
「そうへけっね♪
それに今日の午後に美味しそうな匂いを沢山台所から漂わさせながら、愛満がお弁当のおかずを仕込んでいたへけっよ。あ~~ぁ、本当に明日が楽しみへけっ!
僕、明日のお弁当も美味しく食べたいへけっから、明日の運動会、力の限り頑張るへけっ!
愛之助、明日の僕の運動会での活躍楽しみにしててへけっ!」
「そうでこざるか!なら拙者も明日の応援、光貴の為に力の限り頑張るでござるよ!」
何やら楽しそうに話し。玄関近くで話していた愛満や黛藍の耳にも聞こえていたとも知らず。お風呂場の方へと廊下を通りすぎて行き。
「プッププ~~、あれじゃあ運動会とお弁当どちらがメインか解らないアルね!」
「本当だね。けど、あんなに楽しみにしてくれてるなら明日のお弁当作り、ますます頑張らなきゃだね。」
「本当アルね。黛藍も頑張るアルから、愛満もお弁当作り頑張るアルよ!」
黛藍との少々癒されるような立ち話を終えた愛満は、午後のお弁当仕込みの間にある程度作っておいた晩ご飯を仕上げる為。
もう一頑張りと自身に気合いを入れ、台所へと移動するのであった。
◇◇◇◇◇
そうしてその後、愛之助や美樹達がお風呂から上がり。サッパリした様子で茶の間で寛いでいると晩ご飯を作り終えた愛満が
「みんな お待たせ。晩ご飯出来たよ、運ぶの手伝って」
お手伝いを頼み。皆でテーブルを準備したり、料理を運んだりし。
「ウワ~~美味しそうへけっ!!」
「ヤッタ~♪今日の晩ごはんは『カツ丼』でござるね!本当に美味しそうでござるねぇ♪」
「おっ!今日の晩飯は、明日の運動会に験担ぎで『カツ丼』なんだな。旨そうだぜ!もう食って良いか?」
「お~~~~ぉ!ワシのカツ丼は、この前の牛丼みたいにメガ盛りにしてくれておるんじゃな!
お腹ペコペコじゃったから嬉しいのじゃ♪愛満、ありがとうのう~♪
それにしても牛丼に負けないほどの旨そうな見た目なのじゃのう~。」
「ヤッタ~~~アル!黛藍の玉子はプルプルの半熟アルよ!半熟玉子大好きなアルね♪
ほぁ~~~それにしても本当に美味しそうアルね。愛満、早く食べようアルよ。」
お腹ペコペコの美樹達は、自身の前にある美味しそうなカツ丼にすっかり瞳を奪われながら、冷たい麦茶を持って来てくれている愛満に口々に話しかるのであった。
◇◇◇◇◇
こうして明日運動会を頑張る光貴や出店を頑張る黛藍、応援を頑張る愛之助や美樹、山背達への験担ぎでもある。
晩ご飯の『カツ丼』を皆で美味しくモリモリと食べ進めながら、愛満宅の晩ご飯の時間は、和やかな雰囲気のなか過ぎていった。
《験担ぎの「カツ丼」と運動会前日の準備活動の登場人物》
・愛満=朝倉村初の運動会の為。前日に運動会の準備活動や愛之助、光貴楽しみのお弁当の下拵えを頑張る。少々心配性の青年
・愛之助=兄者の愛満、可愛い弟分の光貴の為、運動会の準備をテキパキと頑張る心優しき青年
・光貴=明日朝倉学園で開催される運動会を楽しみに待つ男の子
・美樹=自身も仕事(美容室)終わりながら可愛い弟分の光貴、村の子供達、学園に通っている人の為。文句一つ言わず。
明日開催される運動会の準備活動を頑張ってくれる、心優しきイケメン
・山背=明日の運動会の準備活動を頑張ってくれた心優しき陸亀に良く似たお爺ちゃん
・黛藍=明日の運動会に出店する為、その商品作りを頑張っていた。最近とある漫画にハマる、パンダに良く似たササ族の貴族の青年。




