055 塔の発生原因と召喚の因果関係?
ひさびさの投稿です。
今回はスマホだけで書いたのでなんだか違和感が……。
「ところで、本筋からそれまくってるけどいいの?」
面倒くさい話題から二人の意識をそらす意味もあって、そう言う。
「よくありません……」
「いけない、いけない。
つい夢中になっちゃったね。
ええと……、塔に現れる魔物がみんなミュルカちゃんの世界の物の姿をしていたって話だったかな?」
ザームさんが話をざっくりと元に戻した。
「こうなってくると、ミュルカがなんと言おうと、塔とあなたに何かしらのつながりがあると考えるべきですね」
「というかさ、私の世界とこの世界に、なんじゃないの?
今までにも何度も召喚してきたんでしょう?
それがみんな私の世界からだったとしたら、召喚しすぎで悪影響が出た、とかありそうな気がするんだけど」
個人指定で勇者だの原因だのに祭り上げられるのが嫌で、ごまかし半分適当なことを言ってみる。
けれど、ザームさんが何やら難しい表情になってしまった。
「……どうしてこう、君はするどいのかねぇ」
そして、ため息混じりに一言。
……って、ビンゴかいっ?!
「前にも、君の世界と何か関わるんじゃないかって話題が出ただろう?
気になって少し調べて見たんだけどね、確かにミュルカちゃんの言う通りなんだよ。
歴代の召喚された人物は同じ世界からやってきた可能性が非常に高い。
ここでミュルカちゃんだけ違う世界から召喚されたと考えるのが不自然なくらいに、共通項が多いんだよ」
「というと……?」
「まず第一に、魔術が存在しない世界であること。
各国で異なる言葉を使っていたという話。
そして、基本的に単一民族で構成された国で、民族的に髪と瞳が黒かそれに近い焦げ茶、かつ、肌の色もうっすらと黄色をおびた白のみ、だそうだ。
あと、民族性として争いを好まない傾向が強くて、義理と和を重んじる。
他には、こちらで季節の変化が少ないことに驚いている様子があったそうだね。
こと、春に何かの花が咲かないと嘆いている人がほとんどだったらしいよ」
「……うっわ、明らかに日本人……」
思わずそう呟くと、ザームさんが小さく笑った。
「当たってるかい?」
「あたってるけど……。
こうなってくると、私の世界というよりは、私の育った国とこの世界の関係みたいだね」
「そうなのかい?」
「ザームさんが自分で言ってたじゃない。
単一民族の国って」
「……それだけで特定できるのかい?」
「他の情報も判断材料にしたけど、ほとんど単一民族のみで構成された国って案外少ないんだよね。
その上で、私とほぼ同じ身体的特徴の人種で構成されたとなると、もう一段絞り込めるし。
その上で、春に咲く花にこだわりが強いとなるとねぇ。
花見大好き日本人としか?
まぁ、私がそのくくりの中に含まれる可能性が、高いって前提があってのことだけどね」
「なるほどねぇ。
それだけしっかり根拠を説明してもらえるのなら、その理論は正しいと仮定しても問題ないだろうね。
――つまり、度重なる召喚が二つの世界になんらかの影響を与えた結果、あの不自然な塔が生まれた、という推論は検証に値する根拠のある説になったということでもある」
「とは言っても、どうやって検証したらいいんでしょうか?」
「問題はそこだねぇ。
何をどうしたら検証できるのかすらわからないわけだから」
難しい顔で考え込んでいる二人を見ながら、お茶をすする。
こういう分野は私の担当じゃないから二人に任せておけばいいだろう。
クッキーもつまんじゃおうかな、なんて考えていたら、ディノが私の方を見ていた。
「何?」
「いえ、あなたなら何か思いつくことがあるのでは、と思いまして」
「買いかぶりと他力本願、どっちなの?」
思わず尋ねると、苦笑いが返される。
「そういうつもりはなかったんですが、折角三人いるんですから、三人で考えた方がいい案が出そうじゃないですか」
ちっとも悪びれない言いように私も小さく笑う。
確かに同席してるんだから少しくらい頭を使うべきかもしれないな。
「ん~……。
私だったら、の話でいい?」
「もちろんそれで構いませんよ」
「……私なら、塔が発生した頃に変な動きをした人を探してみるな」
「塔が発生した頃に、ですか?」
「こっそり召喚しようとした人が見つかるかもしれないよ?」
なんとなくの思い付きで言っただけの言葉に、二人が思い切り硬直した。
「……な、なに?」
あまりのリアクションに、つい引き気味になりながら尋ねると、ザームさんが盛大なため息をついた。
「どうしてそんな風に思ったのか聞いてもいいかな?」
「どうって、ごく単純な発想だけど……?
何かが調子悪くなる時は、大抵それに関係した失敗があるものだから。
今回の件でいえば、無断で無理な召喚でもしようとして失敗したせいで、二つの世界が不安定になった、とかありそうだなぁってだけよ?」
「なんとなくの思い付きで、こうも次々言い当てられてしまうものですかね……?」
「これが教育水準の違いなのかもしれないねぇ。
日常的に沢山の情報に触れる機会があるという話だし、発想力に差があるのかな?」
呆れたような関心したような、二人の言葉に、今度は私が目をぱちくりさせる。
「……ええと……?
図星だったの?」
「図星ですねぇ。
公にはされていませんが、そういうことを企んで失敗した人がいます。
ただ、理由が理由だったので情状酌量という感じで罪には問われていませんが」
苦笑いのディノの説明になんとなく違和感を感じて首を傾げる。
「何か気になるのかい?」
「うぅん……。
召喚って国家規模の事業なんだよね?
個人でできるものなの?」
「個人ではなく、一部の貴族達が集まってやろうとしたんだよ。
ま、結果としてかなり酷い失敗だったから、それに加えて罰則を課すのもね、というところかな」
ザームさんがどこかおかしそうに言って、お茶を口にする。
「条件を整えきれないまま強引に術を使ったものだから、参加した魔術師のほとんどが瀕死の大怪我だし、その内何人かは再起不能だね。
その上、召喚術を発動させようとした建物は半壊。
使用人やら家族やら、怪我人続出で経済的にも大騒ぎだね」
「……さらっと言ったけど、かなりの大事なんじゃ?」
「大事だよ。
ま、神殿に対して絡んでくる人たちだから、当分おとなしくなってくれて大助かりではあるんだけど」
……うん、やっぱりこの人も大概黒いなぁ。
「でもさぁ」
せっかく出してもらったんだから食べないと、と思ってお茶菓子のクッキーをかじりながら呟くと、今度はディノが首を傾げた。
「そんなことがあったのに改めて召喚するとか、いい度胸してるね?」
つい思った通りのことを言うと、二人がそろって肩をすくめる。
「本当の所、神殿としては召喚は避けるべきだと主張していたんだよ。
失敗事故の後半年ほどして塔が発生した時、原因は予想がついたからね。
だけど、調査隊を派遣しても傭兵ギルドを頼っても、塔の攻略は遅々として進まない。
そうこうしている間に塔のことが国外にも広まり始めて、外交問題にまでなってしまってね。
解決を急ごうにも状況は手詰まりで、他にどうしようもない、という多数派工作に負けたってところだね」
「負けないでよ……」
その結果、私が苦労しているんだと思うと、最初にやらかしてくれた貴族とやらを殴ってやりたいぞ。
「ディノ君は中心になる術者に選ばれる前も後も声高に反対してたんだけどねぇ。
最終的には神殿の最高権力者直々のお達しでやらざるを得なかったんだよ。
わざと失敗する、なんてことができる術じゃないから、やる以上は成功させないといけないしね」
「……まぁ、ディノが賛成派じゃなかったのは、召喚された直後の様子で察しがついたけど……。
逆に、そこまではっきり反対してたのになんで私の世話を押し付けられたの?」
私だったら、自分のいいように利用するためにも、手の内に抱え込むけどな、と思って尋ねると、ザームさんが朗らかに笑う。
「それは召喚されたミュルカちゃんがあまりにもそっち方面にむいてなさそうな上、徹底して非協力的だっから失敗責任ってことかな?」
「……そんなこと笑顔で言われてもなぁ」
「深刻に言っても変らないよ」
苦情をあっさりかわされて小さく肩をすくめる。
確かにまぁそうなんだけどさ。
「ま、そういう事情があるのをふまえておいてくれればそれで充分だよ。
くれぐれも、知らない人に声をかけられてもついていかないようにね?」
冗談めかした言葉に吹き出す。
子供に対する注意のようだけど、要は二人の目の届かないところで変な人間と関わるなということだろう。
「わかった。飴くれるって言われてもついて行かないから」
こっちも冗談で返すと、ザームさんは楽しそうにうなずいた。
本当、この人って、会話には面白味がないと嫌な人なんだなぁ。
お読みいただきありがとうございます♪




