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「ねえ、マスターから聞いたんだけどさ。夏休みのあいだ管理人だって? どゆこと?」
言ったキイの背後で、夏の青がまぶしい。
真っ白な飛行機雲がすっと走れば、完璧なのに。
「いろいろあって」
「いろいろって? てかさ、無理でしょ、あんたには」
「僕もそう思うけどさ」
「まったく、何、考えてんのかな、あの人」
キイがスマホを取り出す。
「どうすんの?」
「マスターに真意を確かめようかなって」
キイが耳にあてる前、僕は、スマホの画面を手でおおった。
その影が、不自然にも思えるほど黒い。
「ちょっと、何よ」
「もう、日本にいないんだ。マスター」
休憩時間が終わり、部活再開の合図が遠くで響く。
キイとの会話はそれで終わり。
セミの声がやけに響く、夏休み前の午後のことだった。




