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初恋  作者: ことは
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初恋-blanche-

女の子の目線で紡いだ物語です。

私ね、ずっと君が好きだったんだよ。

君のくれた一輪の薔薇は、私の一番大切な宝物なの。


私は、小さい頃から入院ばかりで、学校にも行けなかったんだ。

だから、君が病室に来てくれるのが、いつも楽しみだったの。


あの白い部屋には、いつもお花を飾っていたの。

私の世界の、唯一の彩り。

君がくれた、私の宝物。


いつも話してくれる、きらきらした物語は、君の冒険譚。

今日、お花が咲いたよって駆け込んできてくれた日、看護師さんは怒っていたけれども、本当は、私も一緒に駆けたかったな。

時々、泥だらけで来てくれた事もあったね。

君の秘密基地の話なんて、わくわくが止まらなかったの。

私もいつか、君と一緒に遊びたかったな。


ねぇ、私、気づいてたんだよ。

君が頬にキスしてくれた事。

私の一番大切な思い出なんだ。

君への恋が、愛に変わった瞬間だから。

ずっと忘れないよ。

私が、何日も目を覚まさなかった日。

君の大好きな絵本の最後を、私に与えようとしてくれたんだね。

いつも、君が語ってくれるハッピーエンド。

だから、私も、あの絵本が大好きになったんだよ。

王子様の、魔法の口付け。

あの日、私はお姫様になれたの。

本当はね、少し前に目が覚めてたの。

微睡む中で、君の静かな泣き声が、子守唄の様に聞こえていたの。

君の顔が、私に近づいてくるのを感じて、胸が高鳴っていたの。

だからなのかな。

君のくれた魔法は、目を覚ます事よりも、私の心を包んだの。

なのに、私は最後まで、君に想いを伝える事ができなかったね。


きっと、私はこれからもこうして生きていくしかなかったから。

私は、もうすぐ居なくなるから。

だから、伝えても、苦しくなるだけだから。


そう想っていたから。

だから、引っ越す日に、君がくれた花束は、私の心を救ったんだよ。

まるで、花嫁を愛でる様に、君が捧げてくれたの。

本当に、幸せだったよ。

今も、幸せ。



君がくれたもの、君と触れた時間、君の全部、私の宝物だよ。

私の足跡が途絶える、その日まで、絶対に色褪せない宝物。


他の誰にもあげないよ。

私は何も返せなかったから。

君にだけあげる。

私の全部。




あれから、何年経ったのかな。

私は、少しずつ動ける様になったよ。

両親のお花屋さんで、お手伝いをしてるの。

いつか、あの街に戻って、君に会いに行く事を夢見て。


愛してると、伝える為に。





ーーーーーー





今日も、お店にお花を並べる。

今日は、幸せの予感がするの。


白い薔薇の花束は、私の大切な思い出。

だから、一番目立つ所に飾るの。


優しい鐘の音。

私、この音が好きなんだ。

胸が弾むもの。

だから、とびきりの笑顔で挨拶するよ。

今日の最初のお客様。


その瞬間、溢れる涙。

そこに立っているのは、あの頃と変わらない君。


心を満たす、伝えたい想い。

何よりも、強く願っていた事。

「会いたかったよ…。」

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