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第40話「母の温もりと消えた剣」その13

第40話「母の温もりと消えた剣」その13




<命名ミッション5日目>

<初めてのクエスト2日目>

<罰ゲーム開始2日目>


【マジ区・ヤマの森の近く】



■ニナ視点

予定より1日遅れで、私たちはイロ村を出発し一路【ヤマの森】を目指していた。予定が遅れるのは好ましくないが、ヒトミお嬢様にとっては良い薬……もとい、良い経験になった様であり、ジーナお嬢様の強情さも、認識を改めさせられた有意義な遅延だったともいえる。


「ふふ、ホントに昔のメロディアそっくりですよ」


うららかな陽気に、つい口元が緩む。 今は御者台に一人で座っている為、少し気が緩んでしまったようだ。本来ならマリスさんがしてくれることではあったのですが、お嬢様たちを起こしに行くという、ランセル家のメイドたちが震え上がる”苦行”を押し付けてしまったせいか、ふらふらになっていたので馬車内で横になって貰っている。しかし、あの若さで一人でやり遂げた事には感心します……。


「ふむ、当家のメイドたちの鍛え方(指導)が足りていない様ですね、このクエストが終わったら考慮しないといけませんね」


等と、メイドたちが聞いたら蒼ざめる様なことを口にしていると、森へと続く道の終わりが見えてきた。そして、道の側の草むらに人の気配がする……。 マリスさんの宿で、数日の間に旅行者や冒険者が来なかったかを伺ったが誰も村には来ていないという事だった、となれば街道から村によらず、森に直接向かうしかルートが無い。馬も馬車も見えないとなれば……。


「こんな所で野盗ですか? あまりにも非効率ですね……」


魔力の波動を周囲に放ち探知を行うと、やはり前方にも微かに反応があり、気配の目の前を通り過ぎても姿を現さない事から、挟み撃ちにするつもりの様だ。 直ぐにでも止まれる様に私は馬車の速度を落とす……。 激しく急制動をかけたら、お嬢様たちが外の様子を見に飛び出しかねない。


ザザザザ……


「そこの馬車、止まれ!」


大剣使いが一人、剣士が一人、弓使いが一人、全員中装備の男たちが馬車の行く手を阻むように現れた。

彼らの背後の木陰にも、伏兵か連絡用の人員か迄は分からないが、気配がある。


「槍1、剣2……軽装備」


「大剣1、剣1、弓1、全員中装備……伏兵あり」


私の背後から後方の状況を伝えてくるマリスさんの声に対し、前方の状況を伝える。


「変です、こんなところに野盗なんて……」


「地元のマリスさんが言うのであれば、間違いないようですね……」


「私が出ますか?」


「いえ、私が行きましょう。どうやら、こちらの事は知っているみたいですし」


「え?」


「とりあえずは、ギリギリまで音を立てず待つようにお願いします」


「分かりました、お気をつけて」


ギッ……ストン!


私は御者台から降り、リーダーと思われる大剣使いの前へと向かって歩を進める。

丸腰のメイドが一人、それに警戒心を解いたのか、弓使いは構えを解き、剣士も剣を鞘に納めた、大剣使いは最初から獲物は背に腕を組んでいる。


「ほう、ビビらずに一人で来るとは、肝の座ったメイドだな……」


私はスカートの端を摘み、営業用スマイルで優雅に礼をする。


「お褒めに与り光栄ですわ、それにしても”冒険者”の皆様が何故このような所に?」


「な? 何故それを……、ち、違うぞ! 俺たちは野盗だ!」


軽くカマをかけただけだったのだが、自ら正体を暴露したようなものですね。


「ほう? 野盗の方々が街道から離れた森への入り口で、いつ来るか分からぬ獲物を待っていたのですか?」


「た、たまたまだ、俺たちはここを根城にしていただけよ!」


「近くにある村には手を出さずに、ここを根城にですか?」


ガシィ!


目の前の大男は、私の胸ぐらを掴み釣り上げた。 困りますね、服が伸びてしまいます。


「このアマ! この場でひん剥いてぶち犯してやろうか!!」


「こまりますわ、こんなに沢山の殿方をこの体一つでご奉仕となると、私壊れてしまいそうです」


「……、心配いらねぇ、お前が奉仕するのは俺だけでいい、只俺のは並の奴よりでかいから、結局壊れちまうかもだがな!」


「そんな上玉、ひとりで独占なんてずるいぜ!」

「そうだぜ、俺だってメイドにご奉仕されてぇ!」


弓使いと剣士も釣られた様に口論を始めた、ホントにオスというのは単純ですねぇ……。


「うるせぇ! 馬車の中に”若い女”が後二人いるって話だ、冒険者も一人いるらしいが、メイド一人にに任せてブルってるような奴は大したこたぁねぇ、殺しちまえ!」


やはり、こちらの情報を知っている……。 何か裏がありますね。


「マジか? メイドがいるって事は、中には貴族のお嬢様が?」

「こりゃあ、ツイてるぜ、おーい! もういいぞー! だが、女は殺すな―!」


こちらの狙い通りに、弓兵も油断しているようで、弓を肩にかけ腰の短剣を手にした。 これで矢が誤ってお嬢様方に……という状態は回避できる。 私のお見立てでは、後ろの三人と油断しきっている二人ならマリスさんとジギーで殲滅できるでしょう。私はこの大男と、未だに木陰に隠れている伏兵を何とかしなくてはですね……。


「申し訳ありません、貴方の専属でご奉仕するのは構わないのですが、私、人目に触れる所では緊張してしまって……、うっかり歯を立ててしまったりとか……、せめてあそこの木陰でお願いしたく……」


目を潤ませ、怯える様な上目遣いで、伏兵らしい気配があった木陰を指さす……。


「う? んむ、い、いいだろう……」


ホントにオスというのは……。 大男は、私を脇に抱きかかえ、木陰へと向かう。


………


……


…


■ジギー視点


<もういいぞー! だが、女は殺すな―!>


前方から、セオリー通りの掛け声が聞こえてきた。 あーこれはアレだな、昔にあったパターンだ。


「ニナさんが、強そうなのとかやばそうなのを引きつけるのに成功したようだな……」


「え? そんなこと分かるんですか?」


キョトンとした顔で俺の方を見るマリス。


「ああ、ただ殲滅するだけならとっくに……さて、こっちもお仕事しないとだが、お前さんはどっちがいい?」


「はい?」


「後ろの奴らは3人だが、見た感じ下っ端で素人だから……」


軽装備しか与えられてない、見張りがメインと思われる印象だったのでマリスにそっちをと思ったが……。


「なめないでください! 前方は私がやります、お姉ちゃんとして良いトコ見せたいんです!」


「お、おう……」


なんか妙に燃えているマリスの気迫に、つい気圧された。


ギッ……


「隙は私が作ります、妹たちをお願いします!」


マリスは、先ほどから外の様子を伺いつつ、テーブルクロスを手繰り寄せ、ケープの様に羽織った。何をする気だ? 賊の男が顔を見せた瞬間……。


「さぁて、どんなカワイ娘ちゃんがいるの……」


「きゃぁぁぁl!!! 男! 男よぉぉ!! 入ってこないでぇぇぇ!!」


「うほ! 貴族の美少……」


ズドム!


「……がはお!」


ザシュ!


ケープの様に羽織ったのは、一瞬、貴族のドレスに見える様にするためだったようだ。隙だらけの賊はマリスの渾身の蹴りを股間に喰らい、前のめりになった所を斬り上げられた。


「やぁ!」


ドォン!


バランスを崩した賊の背後に、もう一人の賊が現れた瞬間、マリスは自分事、御者台から落とす様に体当たりをして馬車の外へと消えた。 ほお、あの一瞬でやるもんだ……、と感心していると。


「マジかよ! 女だけなの……へ?」


マリスの悲鳴で、中には女しかいないと勘違いした賊の一人が、顔だけ入れて来た所で俺と目が合った。


「よう、乙女の花園へようこそ♪」


ゴス!


「ぶぎゃぁぁ!!」


賊の顔面に蹴りを入れ、外へと蹴りだす。


「いいか、動くんじゃないぞ!」


二人の嬢ちゃんに声をかけ、馬車の外へ飛び出す!


ダン!


「ひぃ! 鼻が! 鼻がぁぁぁ!!」


先程の賊が鼻を潰され、転げまわっている。ちっ、槍じゃなかったか、長物は先に潰しときたかったんだがな。


「て、テメエ! よくも!」

「ぶぶぶ、ぶっ殺してやる!」


残りの二人が、武器を構えて威嚇しているが、いかんせん……なってない。 構えに腰が入ってないし、足も震えている。 ヒトミ嬢ちゃんでも行けるんじゃないかと思ってしまう程に”雑魚っぽい”のだ。


「あー、キミたち? 降参するなら半殺しで手を打ってもいいんだが、どうする?」


「さ、3対1で勝てると思ってんのか、このヒゲ野郎!」


「そ、そうだ! 俺たちは人を殺すのも、なんとも思ってな……」


「ふん!」


ズバァァン!!


「あえ? なん?」


ドシャァ!


「人を殺すのを何とも思ってないんだったら、殺されても文句は言えねえよな?」


あまりにも隙だらけだったので、つい殺ってしまった(一刀両断)。まぁ時間もねえし、仕方ねえわな。


「さて、次は……をいをい」


「い、いい、 いやだぁぁぁぁ!!」


厄介だと思っていた、槍使いが槍を捨てて逃げだした……。 


「まぁ、こっちは助かるけどよ、だけどな……ふん!!」


ビシュ!…………ザン!


「ぎゃぁぁぁ!!」


「命中、ヨシ!」


つま先で跳ね上げた槍を右手に構え、逃げた賊に向けて放ち、見事命中! キレイに決まって変なポーズをとってしまう。


「さて、残るはキミだけなんだが?」


「ひい! ずびばぜん! ごろざないで!」


「あいよ!」


ズダン!


「ぎにゃぁぁぁぁぁぁ!!!! 足が! 足がぁァ!!」


俺はバスタードソードを賊の両足に向けて振り下ろした。 逃げられても面倒なんで両足を膝から斬り落として紐で太ももを縛る。調理と同じ要領で、てきぱきと止血をして転がしておく。


「さて、余計な時間喰っちまったな、マリスは……」


馬車の前方から剣戟が聞こえる、まだ無事な様だ。 俺はマリスの応援に向かうべく駆け出した。


………


……


…


■ジーナ視点


”ぞく”とかいうのが襲ってきた、ボクとお姉は”動くな”と言われた。マリスお姉が馬車の前から入ってきたぞくを蹴って、斬って、ぶつかっていって、ぞくと一緒に外に飛び出した。次は馬車の後ろから、ぞくが顔を入れてきた。ジギーが、ぞくを蹴っ飛ばして外に追い出した後、ジギーも飛び出していった。


………


……


…


「ジギーすごいな!」

「ああ、これが……実戦……」


お姉の隙を突いて、馬車の後ろから外を覗き見ると、ジギーが戦っていた。お姉もボクを連れ戻そうとしていたが、いつの間にかジギーの戦いに、一緒に見入っていた。


「お姉、ボク、ジギーみたいに強くなりたいよ……」

「そうだな、私たちはまだまだ子供なんだと、痛感したよ……」


お姉もくやしそうだ。 ジギーがあっという間に3人を倒して馬車の前、マリスお姉を助けに行く様だ。ボクたちも馬車の前へと移動するのだった……。





<命名ミッション5日目>→続行中

<初めてのクエスト2日目>→メイド長、貞操の危機?

<罰ゲーム開始2日目>→効果発動中




日曜に書き上げるつもりがこんな時間……。戦闘の表現が想う様にいかないです。もっと他作品を見て勉強あるのみですな。

確定申告が迫ってきたので次回更新は遅れると思います。orz

( ;∀;)ケイサンメンドクチャイ

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