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「あ!ティナ!やっぱ来たわね。」


満面の笑みで手を振り此方に走ってくるのはこの国の王女のレオーナである。


「淑女が走ってはダメだろ。また乳母のナーチに怒られてしまうよ。昨日はありがとう」


あの茶番劇を終わらせてくれて。とレオーナに昨日ちゃんと言えてなかった礼を言う。


「ティナの為ですもの。当たり前だわ。それよりも!早く貴女の剣の稽古が見たいわ。その為に今日早起きしたんだもの...ねぇあのシスコンはいないの?」


「シスコンって...タハト兄上の事?兄上ならセルーク様と喧嘩してるよ。」


「あら、毎回毎回飽きないわね。」


そう、兄であるタハトと同僚のセルークはクリスティーナが来る度に口喧嘩をしている。クリスティーナが来る時は必ず口喧嘩しているのでいない時もしているのだろうと思う。


「あ!クリスじゃないか!...レ、レオナ、レオーナ様までいらっしゃったのですか。失礼しました。」


「アラルド、久しぶり。今日は学園が休みだし身体を動かしたくて来たんだ。悪いが僕の相手をしてくれないか?」


アラルドはクリスティーナと同い年だが学園には通わずにそのまま騎士団に入団した。その為、クリスティーナが女性だとは気付いてない。


「副団長もしかしてまたセルークさんと?俺は構わないが...」


「やっぱりいつもセルーク様と喧嘩しているんだな。アラルド、助かるよ。レオーナ、危ないからいつもの席に座って見ててくれる?」


クリスティーナが稽古する時は必ずレオーナもやってきて見学席で座ってクリスティーナを見ている。


「ええ。頑張ってねクリス。」


レオーナはクリスティーナがこの騎士団では女だと思われたくないと知っているので皆がいる時はクリスと呼んでいるのだ。






「クリス、来ない内にまた腕を上げたんじゃ無いか?」


「そうかな?アラルドの剣を受け止めるのに必死で分からないや。」


「よく言うよ。あんなに軽々しく俺の剣を避けて素早く切り込んで来るんなんて俺自信なくすよ。」


と苦笑いを浮かべながらアラルドはクリスティーナに言う。アラルドは同い年の中では圧倒的に強く一目置かれている存在である。女性であり学生のクリスティーナがそんなアラルドと互角でやり合うこと自体、凄いのだが本人であるクリスティーナは自覚していない。


自覚の無い原因は兄であるタハトや父であるハイドの存在だ。騎士の家系であるルーベルト公爵家は小さい頃から剣の稽古を行う。


剣の才能があったタハトは小さい頃からその頭角を現すがクリスティーナは努力型の天才なのでタハトがすぐに習得出来たのに対してクリスティーナは1週間程かかる。1週間で習得してしまうのも一般人からしたら有り得ない事なのだが。


「何言ってるんだよ。僕は剣の才能は全く無いからこうやってアラルド達に手加減して貰いながらじゃないとキツイんだよね。僕はまだまだだ。」


「は?俺が手加減してると?てか、謙虚も行き過ぎると嫌味に聞こえるぞ。」


「いつも剣に関しては父上や兄上にダメ出しばかりで褒めて貰えたは事は一度も無いんだ。だから謙虚とかじゃないよ。」


「あぁ〜そうだったな。お前の所は騎士家系だったの忘れてたわ。なんか、スマン。でも、お前は俺ら一般人にしたら超人だからあんま他の奴にはは言うなよ。」


「うん?分かったよ。」


「ねぇ!いつまでお2人で話しているつもりなの?ティ...クリス、そろそろ貴女のお兄様も口喧嘩終わったんじゃないかしら?」


アラルドを睨みながら降りてきたレオーナは先程セルークと喧嘩していたタハトがクリスティーナと剣の稽古をする為に此方に来るのでは?と言ってきた為、稽古に付き合ってもらったアラルドにお礼を言ってレオーナとタハトを呼びに行く事にした。




「俺、殿下に睨まれるような事したか?...殿下、もしやクリスが好き、で...殿下って男色なのか!?」


クリス気を付けろよ。等とブツブツ、アラルドが呟いていたがタハトを呼びに向かったクリスティーナは勿論、クリスティーナを独り占めしていたアラルドにイラついていたレオーナも、気付きはしなかった。





ここまで読んで下さってありがとうございます。


王女の正体とは!?

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