第9話〜7割の一撃
今回から少し書き方を変えています。読みづらかったらごめんなさい
無限に広がっていると思える草原にあるのは荷馬車と巨大な鬼のような化け物、そして大人とは言えないが少女と呼ぶには少し雰囲気に凄みのある女性がいた。
その女性の名は八神アリア
対峙する鬼はデモンズオーガと呼ばれる、紛うことなき魔王種であり、世界最強の生物の一種
アリアの握る金属バットでは心許無く思えるのは仕方ないことだろう。
荷馬車の御者は、金属バットという存在を知らないにせよ、あのような細い獲物でどうにかなるとは思えないでいた、それはデモンズオーガにしても同じ思いでいたのだが
その1人と1体の共通認識は先ほどの一撃で消え去った。
あぁ、どうしてこんなにも戦うことが楽しいのだろうか、血が湧き、血が沸く
痛いはずの体が心地よく感じる
「半分じゃ足りなかったな…次は7割だ」
そう呟いたアリアの言葉に驚くのは聴こえていたデモンズオーガだけであった。
自らの攻撃をある程度相殺しただけでなくダメージまで与えてきた攻撃が全力ではなく半分だった事に。
それがハッタリではない事は体がわかった。
だが既に振り抜かれ重みを持った拳はデモンズオーガの意思では止められないところまでいっていた。
「ふっーー」
短く息を吐きバットを振り抜く
デモンズオーガの攻撃は既に目の前に迫っており、体の大きさのせいでとんでもなくとは言えないが速い一撃が止まって見えるほどの速度のそれは、今度はデモンズオーガの腕ごと肩から根こそぎ引きちぎった。
数瞬後
聞こえるのは空気を叩いた爆音と、更に少し遅れてデモンズオーガの悲鳴だった。
右腕があった肩を抑えながらデモンズオーガは思った。
半分が7割になったところでこうも変わるものかと。
だが、今の一撃を思い返してみれば至極簡単なことであった。
体重移動が、腕を振った速度が、使った筋量が、込めた握力が
殴るという結果に追随する全ての要因を全力の7割にしたのだから、威力は数倍以上にもなるのは当然のことであった。
「ーーーーっ!!!?」
再び金属バットを構えた八神アリアの姿は、デモンズオーガの目には既に人間とは思っておらず、最強クラスの強さを誇る自身のプライドさえもかなぐり捨てて逃げ出す。
「はぁ」
ため息を殺すことが出来ずにまた漏れ出てしまった。魔王種なんて言われててもこの程度…か
私を殺したっていう魔物はこれよりも強かったはずなんだけどな。
ため息をついた八神アリアは、逃げるデモンズオーガへの興味を失っているような顔を見せながらも金属バットを片手で高々と掲げ、一気に振り下ろした。
草原の土が盛り上がり、衝撃波のような物の後を追う、威力は言うまでもなく高く大きな土の波は巨大なデモンズオーガさえも飲み込み、そして衝撃に耐えきれず胴体部分から弾けるように二つに分かれ絶命した。
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