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FaTuS;契約譚  作者: 元気ハツラツマン
二章 仲間探しの旅
20/91

第十話 街直し

✣ ✣ ✣


デウス達は迷惑を掛けてしまったので、街直しを手伝っていた。

「アブァリティア。それこっちに運んでくれ。」

「了解。」

デウスとヘルト、アブァリティアの仲はすっかり良くなった。そのせいか周囲とも仲がとても良くなっていた。

アブァリティアはデウスに言われた通り木材十本の束を二つ持ち、デウスの隣に置いた。

「ありがとう。」

「街直しのためだ。仕方ない。」

アブァリティアの考えは悪から善に変わっていた。

これもデウスのお掛けだろうか。

「デウス、アブァリティア。そこ危ないぞ。」

フローレの言葉を聞いて場所を移動するデウスとアブァリティア。

上から鉄管が降ろされてきた。

「もう少し静かに下ろしてくれよ!」

デウスはそれに飛んでいるフローレに言った。

「すまねぇな!こっちの方が手っ取り早いんだ!」

『そうは言ってもな。』

デウスは頭を掻きながら思う。

「ペンドラゴンはどうして旅に出ようと思ったんだ?」

ヘルトが聞いてきた。

デウスは少し話すか悩んでから口を開く。

「昨日も言ったがデスペランドーマを倒すためだ。」

「恨みでも持ってんのか?」

「そう、だな。思い出すと今でも辛い。」

「こんなこと聞くのは邪道だと思うが、デスペランドーマに何をされた?」

デウスは空の方を見て言った。少々の躊躇いを言葉に乗せて。

「……仲間を殺されてな。」

その言葉は辛さをいっぺんに感じれるほどのどんよりとしたトーンだった。

「そうか。」

それ以上は何も言わなかったヘルト。

デウスは空を見ながら微笑む。

『あいつらにはデスペランドーマを倒してから会いに行くか。』

デスペランドーマを倒すなど遠い話。

コクド達は墓の中で安らかに眠っている。

「デウス!サボんなよ!」

「サボってねぇよ!」

『今は街直しに集中しよう。』

デウスは体を動かした。

一本三十キロはあるだろう鉄管を片手で持ち、街の人の方へ運ぶ。

デアは出来ることが少なく、少し暇をしている。

「やることがないの?」

シャティスがデアの隣に立つ。

「シャティスちゃん。そう。シャティスちゃんは?」

「あたしもやることない。」

そう言ってデアの隣に座るシャティス。

まだ幼いが役に立とうとしている意思を感じる。

「お母ちゃんも頑張ってるから手伝おうとしたらダメって言われて。」

シャティスはそう言ってしゅんとした顔をする。

「シャティスちゃんは何をして手伝いたい?」

「んー。わかんない。」

「そう。じゃあ私の手伝ってもらおうかな〜。」

「ほんとに!?」

勢いの強い少女シャティスはデアに迫るように聞く。

「えぇ。簡単な作業だけどね。」

デアは紙をシャティスに渡した。

「これを見てお兄さん達に伝えることが仕事よ。」

「分かった!」

張り切って仕事に打ち込むシャティスの姿を見てデアはホッコリしていた。

『やればできる子ね。』

デアもシャティスの隣に立ち、仕事に打ち込む。

フローレとイリビード、インビディアはとてつもなく重たいものを空から届ける役目だ。

一度デウス達にそれを渡す。

シンプルでそこまで難しくないことだ。

ただ、人間には真似出来ない芸当だ。

ひとつに運ぶ重さは約千キログラム程だ。

イリビードやインビディアは丁寧な搬送だが、フローレは少し荒めだ。

「流石に重たいな。」

フローレはそう言って荷物を片手で持つ。

「なら両手で運べば?」

イリビードがそう言って両手に荷物を持つ。

「片手の方が楽だ。」

フローレはその一言で片付ける。

「ま、いいけど。事故を起こさないでね。」

イリビードは荷物を定位置に運ぶ。

インビディアもそのあとに続いて荷物を定位置に運ぶ。

フローレのみ片手で荷物を持っている。

重いのは当然だろう。

それでも片手で荷物を持つフローレ。

事故は起きなさそうだ。

デウスとヘルトとアブァリティアの仕事はフローレ達から届いた荷物を点検して街の人に回す役目だ。

ボロが出ていたら直ぐに倒壊する恐れがある。

全員真面目に仕事に打ち込む姿はまるで業者のようだ。

「デウス。その鉄管はどうだ?」

「大丈夫だ。」

少しの傷も許してはならない仕事。デウス達は力を入れる。

デウスは鉄管を街の人に回す。

「手伝ってくれてありがとう。」

街の人に感謝の言葉をかけられる。

「いえいえ、元々自らが作り出した事件ですから。」

デウスは丁寧に敬語を使い、街の人にそう言う。

「それでも助かるよ。次は半丸太を十本持ってきてもらえるかな?」

「分かりました。」

デウスはそう言って仕事場に戻る。

「良く働く旅人さん達だ。」

街の人は感心している。

デウスは仕事場に戻り、半丸太を十本必要と伝える。

アブァリティアとヘルトは同時に

「「了解。」」

と言って半丸太を十数本用意する。

「さ、点検だ。張り切ってやるぞ!」

デウスのその言葉にアブァリティアとヘルトは笑みを浮かべた。

「あぁ!」

「そうだな!」

そう言って点検を始めた。


✣ ✣ ✣


あれから二時間ほど経過した。

街は随分と戻っていた。

「あと少しってところか。」

デウスは街を見渡して言う。

「随分頑張ったわね。」

デウスの隣に来たデアがそう言う。

「俺達がやったからな。ケジメぐらいは付けるさ。」

デウスが風に髪を靡かせながら言う。

もうすぐで街直しが終わる。

「デア達が居なかったらここまでスムーズには行かなかったよ。助かった。」

「一緒に旅をしてる仲間じゃない。手助けするのは当然の務めよ。リーダー。」

デウスはその言葉を聞いてデアの方向を見る。

しかし、そこにはデアは居なく、後ろの方へと背を向けて歩いていた。

デウスは小さいため息をつく。

『全く。ふざけて言ってんのか真面目に言ってんのかわっかんねぇなぁ。』

デウスはデアの足跡を付けるように同じ方向へと進み始めた。

すると、急に上から声が聞こえた。

「デウスくん。刳の主を決めてもらっていいかい?」

そこに居たのはソルディブだった。

ソルディブの名前は長いため省略する。

「そう言われても。俺じゃダメなのか?」

「ダメってことは無いけど憤怒がいるからね。」

現在デウスの右手の甲にはフローレの紋章が刻まれている。街直しの手伝いをする前にデアの手の甲からデウスの手の甲に転移させたのだ。

「別にそんなこと考えなくていいだろ。」

デウスはそう言って欠伸をする。

「眠そうだな。」

「少し疲れてな。」

その時、隣からデウスは声をかけられた。

「あの、すいません。」

その言葉がした方向を見るデウス。そこには一本角の女性の鬼神族ダエモニウムがいた。

「えっと、君は?」

「私の名前はバグラ・ヴィルランと言います。あの時助けて貰った鬼神族ダエモニウムです。」

『あの時?』

デウスの脳裏にはゴブリン戦の事が思い浮かんでいた。

「もしかしてゴブリンに捕まっていた人?」

「はい!そうです!」

バグラは目をキラキラさせてそう言ってくる。

「傷はもう大丈夫なのかい?」

デウスの問いかけにバグラは頷く。

「はい。傷も治りましたし、だいぶ回復しました。」

敬語を使うバグラは一本の角を太陽光で光らせる。

「そこであなた達に恩返しがしたくて、私に出来ることなら″なんでも″します。」

デウスはなんでもという言葉を耳にして少し笑う。

「そうか。なら俺達の旅を手伝ってくれ。」

「分かりました。その前にひとついいですか?」

「なんだ?」

「旅の目的を聞いても宜しいですか?」

「あぁ。目的はデスペランドーマを倒すことだ。」

「それが、目的、ですか?」

「あぁ。無理なら無理でいいんだ。」

デウスはそう言うと、バグラは顔を横に振る。

「いえ。無理ではありません。喜んでお供させていただきます。」

張り切ったように言うバグラ。

「そうか。それは嬉しい。ならソルディブと契約を交わしてもらってもいいか?」

「ソルディブ?とは誰ですか?」

「あぁ。俺の上部にいるやつだ。」

バグラはデウスの上部を見た。

そこにある龍の姿を見て少し驚いたが、

「分かりました。」

とあっさり了承を貰う。

「では、これからよろしくお願いします。ソルディブさん。」

「こちらこそ宜しく頼むよ。主さん。」

ソルディブとバグラは握手を交わした。

すると、バグラの身につけているアクセサリーのサファイアに紋章が刻まれる。

サイズはそこまで大きくないサファイアだが、それに紋章が刻まれる。

紋章の模様は硝子が割れたような模様だった。

「これが主と刳の契約の証だ。くれぐれも壊したり無くしたりしないでくれよ。主。」

「分かりました。そんなことはしません。」

新たな仲間が増えた。

これでソルディブの主も決まった。

あとは残りの仕事を片付ければ済む。

デウスはバグラに仕事を片付けると告げて仕事場に戻った。

「私も手伝います。」

そう言ってバグラがデウスのあとに仕事場に顔を出した。

「この力仕事は無理だろうから点検を任せていいか?」

「任せてください。これでも小さなものを発見したりするのは得意なんです。」

そう言って張り切って仕事に打ち込んだ。

デウスは点検から回されてきたものを運ぶ。

バグラの点検はとても正確だ。全くの傷のないものを一瞬で見分ける。

物凄い高等技術だ。

『いい目と感覚を持ってる。』

デウスはそう思いながら荷物を運ぶ。

仕事は順調に進み、無事に終わりを告げた。

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