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FaTuS;契約譚  作者: 元気ハツラツマン
二章 仲間探しの旅
11/91

第一話 ヒラナリ国

✣ ✣ ✣


ここで冒険者カードのことを詳しく開設しよう。

先ず、ステータスだ。冒険者のステータスを表す欄だ。ステータスは攻撃力、守備力、体力、忍耐力、鬼力きりきの五つだ。攻撃力は冒険者の攻撃力+武器の攻撃力のステータスだ。守備力は冒険者の守備力+防具の守備力のステータス。体力は冒険者の生命値を表すステータスだ。忍耐力は寒い場所、暑い場所での忍耐力を表すステータスだ。鬼力は冒険者の覚醒状態を表すステータスだ。要するに限界突破した時の全ステータスのことである。次はジョブだ。ジョブは解説済みのため省く。次は装備だ。武器、頭、胴、腕、腰、脚の六つの項目がある。最後はスキルだ。スキルは冒険者の取得している攻撃方法の一種や回復手段の増加のこと。魔法の類もスキルに含まれる。

解説終了。


✣ ✣ ✣


デウス達は街を出た。

デルドラからおさらばしたデウス達だが、行く宛がない。

とにかく南方に進むことにした。

「フローレ。一度調べたいことがある。」

「なんだ?」

デウスはフローレの服を少し切り取った。

「痛っ。」

「これってフローレの鱗ってことになるのか?」

デウスは切り取ってからフローレに問いた。

「鱗になるが、切ってから言わないでくれ。」

物凄く痛そうだ。

「すまんすまん。」

歩きながらそんなことを話していると、イリビードが言ってきた。

「これからどうするの?」

「そうだな。このまま真っ直ぐに突き進んで街が見えたらそこで一度中に入ってみるって形で。」

デウスは計画を立ててからフローレに手を出した。

「?」

フローレは頭を少々傾け、疑問に思った。

「どうせなら飛んで行こうぜ。」

「あぁ。そういうこと。分かった。」

フローレは龍に姿を変化させる。

「じゃ、私も龍になろっと。」

イリビードも龍のすがたになった。

「よいしょ。」

デウスがフローレの背に乗り込む。

それにつれてイリビードの背に乗り込むデア。

「よし。行こう。」

デウスの宣言にフローレとイリビードは飛び立った。

やはり徒歩と比べてかなり速い。

風に髪が揺らぐデウスとデア。速度的には六十キロちょいだろうか。

「主。街は見えるか?」

「いや、まだ見えないな。」

そこでデウスは異変に気づいた。

やたらとモンスターが増えてきた。

モンスターはデウス達に攻撃を仕掛けることなく、同行している感じだ。

「どうなってるんだ?」

「この先に街があるらしいが、どうやら我らを打ち返そうとしているそうだ。」

「それ誰が?」

「このモンスター達の言葉だ。我々の味方をしてくれるらしい。」

フローレはモンスターの言語が分かる。

モンスターが人間の味方とはなかなか無い。モンスターを操るのは契約者か生物使いだ。

しかし、デウス達以外の人の気配はしない。

「とにかくモンスター達の指示に従おう。」

デウスの言葉に全員賛成。

「……このまま街の前まで行っても大丈夫そうだ。」

「そうか。なら前で一度降りるぞ。」

モンスターと共にデウス達は突き進んだ。

約一分。街が見えてきた。それと同時に人が待ち構えている姿も見える。

「少し離れて降りよう。」

敵陣営から六十メートル程離れた状態で降り立った。

「問おう!お主らはなんじゃ!」

「俺達は旅人だ!」

デウスが対応する。

「お主、名は!」

「デウス!デウス・ペンドラゴンだ!」

その言葉を聞いて敵陣営が一瞬防御が緩んだ気がした。

「ワシらに何を望む!」

「街に入らせてほしい!」

敵陣営の中から一人長老と見える叔父さんが歩いてきた。

「お主らは何処の街から来た?」

「デルドラ国だ。」

デルドラは有名な街だ。世界でトップファイブに入る情報量の多い街だ。

「ふむ。ならジョブを聞かせてもらおう。」

「契約者だ。」

「奥のお嬢さんは?」

「私も同じく。」

「この周りのモンスター達は?」

「俺達と同行してくれたモンスター達だ。」

敵陣営は話が聞こえないため静かに待っていた。

「街に滞在するとな?」

「あぁ。五日間だ。」

「そうかい。別に何日でも滞在していいのだが、」

「いや、やめておくよ。」

交渉成立。デウス達は街に入れることになった。

「この少年と少女を街に入れる!お主らもそれで良かろう!」

叔父さんの言葉に敵陣営は了承し、解散していった。

「フローレ。」

「分かってる。」

フローレの姿は人間に戻った。

共にイリビードが人間の姿なった。

「取り敢えず街に入る前に冒険者カードの提示をしてもらいたい。」

「分かった。」

門番らしき者に冒険者カードを提示した。

デアは冒険者カードのジョブを自ら変更したため契約者と書いてある。

「よし。通って良い。」

門が開いた。

門番が言った。

「ようこそ。ヒラナリへ。」

門の奥は大きな街となっていた。


✣ ✣ ✣


デウス達はヒラナリに入った。

とても大きな街だ。賑わっている。

「ここがヒラナリか。」

モンスター達は護衛を済ませ解散していった。

「意外と広いな。」

デウス達は街に見とれていた。

小さく輝いているようにも見える。

「お?あんた達か?旅人ってのは。」

「あぁ。そうだが、お前は?」

「俺かい?スガラム・ソリートだ。因みにジョブは魔人さ。五日間軽くよろしくってところだな。」

スガラムが手を出してきた。握手を求めている。

「あぁ。よろしく。」

デウスは握手に応じた。

スガラムの手は力強く、努力の証が手についていた。まめだ。

「そうだ。あんたら泊まる場所は決めてんのか?」

「いや、決めてない。」

「なら俺の店で泊まるといい。正式には俺の親の店だけどな。」

「それは助かる。」

「ならついてこいよ。」

デウス達はスガラムについて行った。

雑談しながら歩いていると、スガラムが言った。

「着いたぜ。ここが、俺の親の店だ。」

意外としっかりしていて大きい。

「ここか。」

「取り敢えず入れよ。」

スガラムに連れられ中に入った。

外見通り察しはついていたが中が広い。

「ようこそ、ってスガラム。あんたどこ行ってたのさ。」

「ちっと散歩だよ。それより、ここで泊まるっていう客を連れてきたぜ。」

「あら、あんたも仕事出来るのね。」

「馬鹿にしねぇでくれよ母さん。」

家族の賑やかな会話を見ながらデウスは欠伸をする。

「そんなことより、ここで泊まるのはあんた達四人で良いのかい?」

「あぁ。」

「何部屋?」

「そうだな。」

デウスは悩んだ。デアがデウス言った。

「一部屋で良いよ。」

「それでいいのか?」

「うん。良いよ。イリビードさん達も同じ部屋で。」

「分かった。なら一部屋で。」

「そう。何日間?」

「四泊五日だ。」

「はいよ。なら銀貨四枚ね。」

フローレが払ってくれた。

「銀貨四枚ちゃんとあるね。なら階段を上がってこの鍵と同じ番号の部屋に入りな。」

「ありがとう。」

「いいよ。こちとら仕事でやってる事だしね。」

デウス達は二階に上がった。

鍵の番号は235。手前の部屋番号が201だからかなり遠い。

そんなことは気にせずに歩くデウス達。

一分ほど歩いて235の部屋に着いた。

鍵を刺し、鍵を開ける。

部屋に入った。

「広いな。」

部屋は意外と広く、窓もついている。

「ねぇ。まだ時間あるけどどうするの?」

イリビードがデウスに問いかけた。

「そうだな。することも無いし、一度解散して良いかもな。」

「鍵は誰が持つ?」

「俺が持つよ。」

「集合時間は?」

「六時半って所かな。」

計画を立てて解散することにした。

「それじゃあ六時半にこの部屋の前な。」

デウスの言葉に全員が頷く。

「それじゃあ自由行動開始だ。」

「デウス、我とはここで一度別れだな。」

「初めてだな。」

軽く話してからフローレは部屋を出た。

「待って。私もついて行く。」

フローレを追うように部屋を出たイリビード。

部屋にはデウスとデアが残っていた。

「さて、これからどうするか。」

「ご飯食べに行こ?」

「そうだな。長いこと飯食ってなかったし。」

デウスとデアは飯を食べに行った。

「出かけるのかい?」

「あぁ。」

「そうかい。」

スガラムの問いに返事をして店を出た。

「さて、どこにするかだ。」

「そうね。……ん?」

何かを感知したデア。同時にデウスも感知していた。

良い香りが漂う。鼻が喜んでいる。

「近くに飯屋があるのか?」

「そうじゃないかな。」

「行ってみよう。」

デウスとデアは香りのする方向を辿って歩いた。

デウスとデアは足を止めた。

歩いてすぐだ。目の前に店がある。

「ここから匂いがするな。」

「入ってみよ。」

デアの言葉にデウスが頷き、ドアを開いた。

中はレストランで、席には多くの人がいた。

「大っきい店ね。」

「レストランか。」

何故か懐かしい感じがするデウス。

そこに一人の店員らしき人物が歩いてきた。

「いらっしゃい。」

やはり店員だ。全体的に黒い服に身を纏っている。

「席は空いてるか?」

「あぁ。空いてるよ。何人だ?」

「二人だ。」

「なら奥から二番目の席に座りな。」

中々投げやりな店員だがいい加減って訳でも無い。

デウスとデアは席に着いた。

「何があるんだろう。」

「お品書きがあるよ。」

デアが手に取った品書きには汚いが読める字で食べ物の名前が書いてあった。

「バクの煮付け、オオグマの尻尾焼き、ルジカルの塩焼き、色々あるな。」

「そうね。私は、シグナリスの唐揚げでいいかな。」

「そうだな。俺は……ザンガル焼きにするか。」

品書きを元の位置に戻したデウス。

すると、奥の方から二つの皿を持った店員が歩いてきた。

「シグナリスの唐揚げとザンガル焼きだ。」

「まだ頼んでもないのに。」

驚きを隠せない。

これは魔法の一種だ。店の中の天井を這う機械で作られたモンスターが聞き取り、発動者に瞬時に聞こえるようになっている。

「まぁいいか。それじゃあ食べるか。」

デウスとデアはフォークを手にして、飯を食べようとした。

その時、突然ドアが勢いよく開いた。

「ここに契約者が来たそうだな。」

早速面倒臭いことになったと思うデウスとデアであった。

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