真実への実り♂1
25.真実への実り♂1
ツバキを取り返して数日すると、ツバキも退院して、一番重症だった部長とリンとそれからハルと俺この五人がやっと揃った。
そう、俺の家に。
『って何でだよ!?』
『何だ突然?なんでも何もお好み焼きにはマヨネーズとケチャップだろ?』
『オーロラソース作ってどうすんだメガネ!って違わい!何で俺の家で皆でお好み焼き焼く事になってるんだ!』
『確かにお好み焼きにオーロラソースは今まで食べた事ないな』
『シノさん拾う所間違えてますよー』
『おねえちゃん、間違えてますけど、ユウキの扱い方は正しいと思います』
『さすがツバキだ分かっているな。良し、私がお好み焼きを口の中に運んであげようさあ、大きく口を開くんだ』
『何ですと!部長そこは私が担当します』
『お前はのりを箸で一枚一枚食べていろ!これも修行だ!』
『はい、喜んで!』
いい加減にしてくれ。お母さんにも迷惑が掛かるじゃないか。
『皆楽しそうで良いわね友達は大切にしないとダメよね?私も若返った気になっちゃう』
『いや、おねぇさん充分若くて綺麗ですよ』
『いやね、だれ?お世辞の上手い子が居る、と思ったらシノさんだったかしら?いつもユウキがお世話になっています』
『いえ、いつも雑用とか主に雑用とか他にも雑用とかさせているんでこちらの方がお世話になってる感じです』あー、雑用要員だったんですねー。どうりでっておい!
しかも、全然迷惑そうじゃねー、むしろ馴染んでんだおい。
『たのもー!』突然ドアが開いた。
そこには一升瓶を抱えたメイド姿のチーリ先生がいた。
何からツッコミを入れたら良いか分からねーぞ!だからもう入れねーぞ!
『おっ先生遅いですよー?』
『普通に迎え入れんなー!』この一言に全てを込める。何で来た!何で着てる、何を持って来た!
『っていうか、ギャップ萌え狙ってるなら完全に敗北だからな!』
『ユウキはヒドイこと言うね、先生少し傷ついちゃったな』
『すいません、ちょっと言い過ぎました。まさかその歳で本当に狙っていたとは思わなくて』
それってもっと傷つかないかな?我が子ながら恐ろしい。
『明日の朝覚悟しとけ』なんか耳元で囁かれた。本当に先生の声だったか?悪魔かと思った。
『それより、カミーナ飲もう!折角持って来たんだでしぃ』
でしぃ?
『チーリもう飲んでいるの?その口癖治ってないのね』
『そうでーし、婚活コスプレパーティーに行って来た時のままでし。酔っ払ってしつこくしてきた奴を張り倒して、そのまま逃げてきちゃった』
テヘってしても言ったことの衝撃で見えないですけどね。
周りを見ると、部長はツバキにお好み焼きを食べさせながら自分も食べていて、リンは青のりを食べてるし、ツバキはソース(オーロラソース)をほっぺたに付けて食べているし、先生と母さんはお好み焼きをつまみに酒を飲んでいる。それぞれ楽しそうにしている。
最後にハルを見ると目が合った。何をしているのかと思い近づいてみると、お好み焼きの種を作っていた。
『悪いな、一人で作らせちゃって』
『ううん、良いの、結構楽しいし、今中にキャベツと蛸とママレードとネギとヨーグルトと豚肉を入れてみたの、絶対においしいから食べてね?』変なの入って無かったですか?天然なの?ボケなの?わからないぃぃ!
『ああ、うん。そろそろリンにも食べさせてあげよう、かわいそうだしさ、俺の分もあげて良いし』
『え?でも、ユウキにも食べて・・・欲しいな』
『うん、食べる!もうガンガン食べちゃう』ずるいよそれ、断れないって。
『出来たー!はい、ユウキの分』
『お!キタキタ!でも先にリンに食べさせてあげよう』
『そうだね、リンさんお好み焼きできましたよ?そろそろ食べても良いんじゃないですか?』
『でも部長が修行って』
『・・・リン、それなら食べても良いぞ、これも経験だ』
『はい、喜んで!』
不思議と、ソースとケチャップをかけて、カツオブシを乗せるとおいしそうに見える、やっぱり青のりは食べ飽きたのか、かけていない。
『うん、おいしい!最高です、ハルさん』
なに?食べているところを見るとおいしそうだ、ちょっと食べてみよう。そう思う前に皆にちゃんと配られていた、さすが優等生で委員長全体が見えている。
皆はぼ同時に一口食べる。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん、おいしいよ』
『良かった!そうだよね、初めての組み合わせだけどきっとおいしいと思ったんだよー私の分忘れてて食べれないから残念だわ』
『な、なるほど、これはこれでお酒が進む味だよそれは、うん、さすが私の自慢の委員長だ』
本気で照れてるんですけど。
『先生と母さんって知り合いだったんですね?』
『そうよ、何を隠そう同級生だったんだぜ?!』
『同級生だったけど、チーリちゃん男子からすごくモテてたよね?』
『へぇー、でも確かに先生可愛いから持てそうですよね』
『ハルちゃん、ありがとう。でもその話題はもう辞めましょう。昔を振り返ってあの頃の方が良かったなんて、今が満足していないみたいじゃない。私は皆の先生していて充分あの頃より満足なの・・・決して結婚できてない事を見て見ぬふりしてるわけ
じゃないんだからね!』
なんか最後のが本音のような気がするんだけどな。
『ユウキこのお好み焼き貴様に食べさせてやるからこっちに来い、部長命令だ』
突然呼ばれたので近くに行くと、新しくお好み焼きが焼かれていた。今度はかなり見た目からおかしい、そう色があ、ああ、青なんだ!
『さて、座ろうか、ユウキそして目一杯口を開けろ』
『断る!そいつの二の舞になるんだろう?』近くで倒れているリンを指差す。
『私が食べさせてあげようというのに・・・か?』
ちくしょう、可愛い。
『ユウキさん、お姉ちゃんが作ったモノを食べられないとなんてヒドイです!』涙を溜めるんじゃない。誰だって妹キャラを泣かせることは出来まい。仕方なく口を開ける。
『はーい、あーん』
もっさりとした食感の奥に味が・・・咽る。そこで気を失ってしまったらしい。
『起きて、ユウキ、皆が帰るみたいだよ?』
ああ、そうか俺寝てしまっていたのか。
『リン君は起きないからこのままうちに泊まらせちゃうから、ユウキは女の子達を送ってあげて、男の子の仕事です』
『分かったよ』上着を着こんで三人の女の子を従えて家を出る。
『今日は楽しかったよ、シノさんともたくさん話せたし、先生の昔話とかツバキも元気に楽しそうで、本当に良かった』
『そうだな、ハルさんとはもっと早く仲良くなれていたらと思う。これだけはユウキが部活に来てくれたたおかげだな』
『これだけってなんだよ』すねてやる。
ハルとツバキの家はすぐだったので、見送って、そのままシノの家の近くまで送る事にした。
『・・・』なんか二人だと何を話したら良いのか分からないな。
『・・・』何でユウキが狙われているのか、ユウキ自身分かってるみたいだけれど、私に話してくれないのは、私には関係ないから?自分から聞いたほうが良いのか?でも・・・。
『ユウキ』
『な、何?』
『その、あれから何も無いか?』
『あれからって、ツバキを取り返してからって事だよな?』
『ああ、そうだ』
そういえば何も無い。『何も無いよ、平穏無事だ』
『そうか、だが気を抜くんじゃ無い。敵は油断した時を狙ってくるものだ』
『ああ、分かった気をつけておくよ、ありがとうな』
『あ、そろそろこの辺で大丈夫だ』そういう事を言いたかったんじゃない。
『おう、じゃあ、気をつけてな』そう言うと踵を返して帰っていく。
『お前もな』このまま聞かないで良いのか?私はアイツが心配で気になってずっと聞きたかったんじゃあないのか?
後姿を眺めて、眺めて、眺めて、追いかけて。
シノを見送って白い息を吐いて思い出す、この間の事を。すごく助けられた、これ以上は心配をかけたり、危ない目に遭わせる訳には・・・
上着を後ろから引っ張られてシノの声がする『待って』頭が背中に当たってるのを感じる。振り返ろうとする前に『こっち見ないで』と言われる。
『どうしたんだ?』
『何で?』
『何が?』
『何で、ユウキが襲われるんだ』
『俺が・・・俺が格好良すぎるからかな?』
『何なのそれ、こっちは真剣に言ってるのに!怒らせたいの』
『そうだ、シノに・・・これ以上危ないことをさせるのはダメだ、だから怒られても良い』
『何なのそれ、少し格好良いな』
『少し・・・か?』
『う、うん、』
どっちなんだそれ。
『でも、話してくれても良いだろ。危ない事は何もしないから』
シノの手が腰を回ってくる、背中全体に暖かさが伝わってくる。
『・・・・・・そうだよな、本当なら、リンとかにも言ったほうが良いのかも知れないけどな』シノの手は冷たくなっている。その手を掴んで絡んでいた手を解いてシノのほうを向く。
俯いていた。顔を見せない。
『シノ俺は本当は・・・』話し始めると見上げてくる。近い、思わず言葉が止まってしまう。
なんだこの雰囲気は不味いだろ。『実は宇宙人なんだ』
『・・・・・・』
間があり。
フルスイングで右手を振りぬかれたらしい。左の頬が燃えるように熱い。まあ俺の萌えは鎮火したしたのでプラスマイナス0です。万事オッケー!
『サイテーな奴だと思っていたけれどここまでとはな、何で私はこんな奴を・・・』
『すまない、でも半分本当なんだ』
それから俺がこの街に来た経緯を話した。そして俺が狙われただろう事はその事が原因なんだろうと、だが、どういう理屈で俺を殺したいのかは分からない。
『本当になのか、普通なら信じられないな』
『そうだよな、俺だって何でこんな事になったのか』
『まあ、お前の話なら信じてやっても良いけどな』でもそれって、帰ったらもうユウキとは会えないという事だ。
『そういうことなら、出来るだけ力になるぞ、大切な部員の為だ』そんな事出来るわけが無いだろ、何を言ってるんだ。
『シノはなんだかんだで部活動が大切にしてるよな』
『それは部長として当たり前なんだ、当たり前すぎてな、それしかやり方が分からないんだよ。とにかく分かった!また学校でな』そう言って走って家に帰る。
それを見送って、自分も家に帰った。
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