真実への実り♀3
24.真実への実り♀3
図書館で働く心優しい女性チユキさんに境界ドロップの場所を教えてもらって、その場所がなんと、私の学校の教頭先生だった。しかも教頭先生の名前はカノン、可愛い名前でビックリした。っていうのも失礼な事かもしれないけれど、でもとても似合ってる名前だと思う。
そして、教えてもらった次の日に教頭先生に会って話を聞きに行った。
お昼休みになり、職員室の扉をノックして中に入り教頭先生を探した。
なかなか見つけられなかったので、担任の先生に教頭先生の居場所を聞いたが、分からないという事だった。でも、もしかしたら今日は校長先生が来ているらしいので、校長室に居るのかもしれないとの情報を得られた。
校長室に行くと、前にシューゾーが居た。中に校長先生がいる・・・けれどもあんまり話した事がないから、正直中に入って話を聞くのも怖い。でも今聞かないとお昼休み終わってしまうかもしれない、忙しい教頭先生はいつまでも学校に居ないかもしれないし。勇気を出して、勇気を出して、勇気を出して。『よし、ノックする!』一人で言霊を吐く。
ノックしようとして扉を叩こうとした瞬間に扉が開いた。向こうの勢いとこちらの勢いがぶつかって思いっきり指を強打してしまった。
『イタイ!』思わず叫んでしまった。
『大丈夫?』出てきたのは、教頭先生だった。
『指が、ゆびがぁー、って教頭先生だ、探していたんですー』
『私を?いいからとにかく保健室に行きましょうか?』
『大丈夫です、少し痛む程度なので、それとこんにちわカノン先生』あ、名前で呼んじゃった。
『そう、それなら良いのだけれど、用事って何かしら?』
良かった、スルーだ怒って無い。でもこの先生と話す時は本当に今でも緊張するよー。
『えっと、境界ドロップて本を知っていますか?』
『・・・知っているわよ、どうしてそれを私に?』
『どんな本なのかなーって思いまして』
『・・・誰かに聞いたのかしら?』
『な、何をですかー?』何?もう見透かされたの?
『私の目を見て、良い?誰から、私が、持っているって、聞いたのですか?』
怖い、バレテル、イヤダ、やっぱり名前で呼んだから、おこなんだ。
『と、図書館で・・・でも悪いのは私で無理を言って教えてもらって、それはもうしつこく言うもんだから、仕事ができないーって感じで、それはもう仕方なくといった形で教えてもらいました』
『ふぅ、分かったわ。その事はもう良いから、何でそんなにその本のことを知りたいのか教えてくれるかしら?』
『えーっと・・・』良いのかな、教えちゃって大丈夫なのかな?でも教えないと、教頭先生も貸してくれないかもしれないあらなー。
『それは』って言ったところで、昼休み終了の鐘が鳴った。
『放課後で良いわ、職員室に来なさい、待ってるから』
放課後になり、職員室に行くと、職員室に教頭先生が居て、こちらに気が付くと声を掛けてくれた。
『イツキさん、こちらに来てください』
ついて行くと、小さな部屋に入った。
『座って話しましょう、そこの椅子に掛けてください』
『はい』なんかいつもより優しい?
『それじゃあ、話してもらいましょうか?』
覚悟を決めて話し始めた、実は自分がこの街の人間ではないという事、ユウキという少年と入れ代わってしまったこと、自分で話していて信じられない事だらけだったけれど、それがいまの現状なんだと改めて実感する。
理解されないと思った、そんな事あるわけ無いでしょう!って怒られると思っていた。だからこそ、教頭先生の最初の言葉にはこちらが驚いてしまった。
『そうですか、やっぱりあなたも・・・』
『え?あなたもって?どういう・・・』
少しの沈黙そして、少し考えてから教頭先生は窓の外を見ながら話し出した。
『あれは私が、まだ教頭という立場になる前の話です、実際に教壇に立っていた時の話なの・・・』
話の内容というのが、これまた、ただただ驚かされて頭に入れるのが精一杯といつた感じだった。
『あなたの本当の父親とはこの街で知り合った、ちょうど彼が23歳の頃にあなたと同じようにこちら側に来てしまったの』
え?本当の父親がこちらに?突然の事に頭が混乱する。父親の存在なんて全く意識していなかった。
『昔、あなたの父親はここの学校で働いていたのよ。先生としては無理だったけれどとても頭の良い人だったから・・・便利屋さんみたいな感じね、門番もやったし、掃除もしたし、授業の手伝いなんかもしてくれた。とても生徒に人気のある人だった。私も彼のことを好きになってよく話したりしました。そういえば彼は時々あなたのように泣きそうな顔で屋上から夕日を見ていた。あと何度か彼とはお酒を一緒に呑む仲になっていて、その度に娘と妻を置いてきてしまった心配だと何度も同じ話をしていて、本当に辛そうな表情に本当に向こうの街から来たのだと理解した』
そ、そんな事って・・・『じゃあ、今もこの街に?』
少し驚いた顔をして、首を横に振り辛そうな顔で続けた『こちらのにはもういないのよ。そちらにいないって事は帰れなかったってことなのかしらね』
視線を落として何か考えるように、思い出すように間を空ける。
もう一度視線を上げてなおも続ける。
『あの本を書きはじめたのは、こちら側に住み慣れて来た時位から書いていたみたいね。何で書いたのかは、本人には聞いてないけど、多分しっかり自分のいる場所を確認しておきたかったのだと思うわ、現状を正しく理解しないと次には進めないって言っていたから』
『何で私があなたの事を知っていたかというと。あなたが今住んでいる方の父親が転校の手続きの時に、あなたの事を話してくれたわ。彼もあの時あなたの本当のお父さんと仲が良かった。最初の頃は一緒に住んでいたらしいし』
『でも、それって、二人とも辛いような気もする』だってそれはもう会えないかもしれないのに顔をみるたびに思い出してしまうから。
『そうかもしれないわね、でもきっとあなたの父親たちは、お互いの顔を合わせることで、お互いの大切な人の無事が確認できたから安心も同時に出来たと思う』
『ちなみに、向こうの世界のもう一人の自分が死んでしまうと、こちらの自分も死んでしまうという事は、彼が来て早々に分かった事の一つだったわ。話しによると、こちら側で事故死してしまった人Aさんがいて、その向こう側の世界のAさんは向こう側で同じく事故死をしてしまっていたらしいのこれは、偶然ではなくて、何度か確認された事でした。もちろん、私たちには知る術は無かったから、彼から聞いた話だけれどね』
『そのうち、色々な悪い事が起きていった、流行病や豪雨による川の氾濫、土砂崩れ、生活が不安定になり始めると、盗みなどの犯罪件数が増えてきた。それらの原因があなたのお父さんにあるという事を古き時代からある書物の中で突き止めた、そしてそこには戻る方法も書かれていて、その方法の通りにしてお互いが帰れるようにと私たちも手伝って帰ることに挑戦して、お互いそれから姿を見た人は居ない』
『これが私の知っている事の全てです。そしてこの本に、戻るための方法が要点をまとめて書いてある』そっと持っていた手提げ袋の中から一冊の本を取り出した。
最初はただの物語が書いてあると思っていたけれど、この本は、お父さんが実際に経験した苦労や苦痛、喜びや悲しみが詰まっていて、しっかりと戻る方法まで書いてあるということだ。
これをユウキに報告して実際に戻れるように準備していけば良いのかな?
『教頭先生、ありがとうございます。でも何で先生が持っていたんですか?』
『これを見つけて、あなたまで居なくなってしまうのをただ見ている事なんてできなかった。でも自分で見つけて私までたどり着いて真相を聞いてもまだ、戻る気持ちを持っているなら私には止められない事だったということで諦めます。今度こそ成功して、ユウキをこちらの世界に戻して、まだまだアイツには言いたい事がたくさんあるんだから』
家に帰り、何も食べずに部屋にこもって本を読んだ、一気に読み終わるまで一休みも無く。そして、読み終わって。眠りについて、そしてユウキと話す夢見た。
読んでいただき、ありがとうございまあした。感想やレビュー、評価を書いていただけたら幸いです。辛口なものでもお願いします。




