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懐かしき我が家

 遅れましたー。

 猪狩君が去ってから少しした後、マヤさんとコボルト達の入国審査が終わった。


 気分を切り替える為にも、飲食店へ行って豪遊したいところだったが、マヤさんはともかく、コボルト達が入店できる店がすぐには見つからなかったので、自宅で出前を頼むことにした。

 コボルト達にマナーを教え、更にちゃんとした服を着せてからじゃないと、外食は店や他の客への迷惑になるもんなぁ……。


「キャウ、キャウン(なにこれ、なにこれ)!?」


「お前達、静かにねー」


 今も炭酸を飲んで騒いでいるし。

 もう、日本で食べるあらゆるものが、彼らにとっては驚きなのだろう。

 まあ、マヤさんは異世界でも似たような料理を食べたことがあるのか、落ち着いていたけどね……。

 異世界の文明、現代日本の田舎程度には発展していたもん……。


 それにしても頼んだ出前は、神様達のお供えリクエストもあって、嫌がらせのような注文量になってしまったなぁ。

 勿論、複数の店に分けて注文したので、店の労力(リソース)を圧迫してはいないはずだが……。


「それでは、そろそろ失礼させてもらうぞ」


 なお、夕食を終えたマヤさんは、探索協会の関連施設に宿泊することになっている。

 重要な来客用の特別室らしい。

 マジで政府から国賓みたいな扱いを受けるようで、国側の準備が整っていたら、今晩も晩餐会とかに参加させられていたっぽいな……。


 まあ、マヤさんとしてはちょっと(わずら)わしそうだが、異世界でも似たような扱いを受けたことはあるらしいので、受け入れている感じではある。

 それに宿泊場所には一度寄っているので、移動は「転移」で一瞬だから、その辺は気楽そうだし。


「はい、おやすみなさい。

 無事に家に帰ることができたのは、マヤさんのおかげです。

 改めてありがとうございました!」


 俺は頭を下げる。

 こうして帰国できただけではなく、戦い方とかも色々と教えてもらったので、彼女に対しては頭が上がらないよ……。


「私も退屈していたところだから、構わないよ」


 そう言い残して、マヤさんは姿を消した。


 さて……あとはコボルト達を寝かしつけて、俺もゆっくり眠りたいな……。

 だが、初めての日本に興奮している彼らは、大人しく寝てくれるのだろうか?

 夜中に遠吠えとかやめてくれよ……?


 うちのマンションってペット可だけど、さすがにコボルトが3匹では騒がしくて、ご近所迷惑になる可能性もあるよな……。

 仮にご近所迷惑にならなくても、日本の狭い部屋ではコボルト達には窮屈だろうし。


 う~ん……引っ越しを考えた方がいいのかしら……。

 今回の報酬で、中古の一軒家程度なら、頭金くらいは払えそうだし……。

 他にもコボルト用の服とか、日用品とか色々と買わないと……。

 くぅ……収入が増えても、出費も増えていく……!

 

 ともかくコボルト達の寝室は、元両親の部屋でいいかな……。

 両親が亡くなった時の、ほぼそのままの状態で残っているから、寝具を用意すればすぐに使えるはずだ。

 ……あ、壊されたら困る遺品は、「空間収納」に入れておくか……。


 そして準備ができたら、コボルト達を部屋に案内する。

 彼らはあまり経験の無いベッドに対して、少しテンションが上がっていたようだが、なんとか寝かせつけて、俺はようやく落ち着ける状態となった。


「ふ~……」


 脱力してリビングのソファーへと腰を下ろす。

 俺もすぐに眠りたいけど、歯磨きとか色々と準備があるので、その前に一休みだ。


「んむ?」


 頭に何かが載ったような感覚があった。

 ネコミミとネコミミの間に、妖精サイズの人が伏せるような感じかな?


「……水杜(みもり)か?」


「な……な……っ!?」


 ……ん?

 なんだか頭上で水杜が振動している?


「久々にモフモフを堪能しようとしたら、無臭だなんて……!!

 こんなの猫吸いの醍醐味が無いじゃない!」


「ああ『無臭』のスキルを使っているからな……。

 というか、猫吸いって……」


 まあ、今の俺は半分猫だけど。


「切って!」


「は?」


「スキルをOFFにして!」


「あ~、はいはい」


 仕方がなくスキルをOFFにすると、水杜は俺の両耳を引き寄せ、それに埋もれているようだった。


「は~モフモフ……」


 完全に飼い猫扱いである。

 俺、お兄ちゃんなんですけど!?

 くすぐったいんですけど!?


 ……いや、猫扱いも口実で、本当はただ甘えたいだけなのかもしれない。

 今回の行方不明事件では、かなり心配もかけたし……。

 今は水杜のしたいようにさせておこうか。


「ただいま……水杜」


「え、なに今更……?」


「いや、ようやく帰ってきたという実感が……」


「……そう。

 おかえりなさい、お兄ちゃん」


「うん……」


 なんだかんだで、我が家のリビングが1番落ち着く。

 でも、もうすぐ引っ越しするかもしれないんだよなぁ……。

 だけど頑張って稼げば、このマンションも買えるか……?


 うん、先のことはまだ分からないけど、明日からまた探索者稼業を頑張ろう。


 ……いや、やっぱ、2~3日くらい休んでからにしようかな……。

 庭に植えたトウガラシやイチゴの収穫が始まっています。

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