387:フロア10に備えて
「さて、再開していくぞ」
『ブン。お帰りなさい。トビィ』
では、第四坑道・ミクヒィカの探索を再開しよう。
「まずは改めて坑道予測を見るぞ」
『ブン。とは言え、仕様の都合で明らかになっている部分は普段以上に少ないですが』
「それはまあ、仕方がない」
さて、フロア10の坑道予測である。
まず構造は普通の坑道と出ている。
なので、露天や半露天であることを利用した超遠距離からの感知や攻撃を気にする必要はないようだ。
だが、徘徊している魔物のランクがスカーレット……緋色であり、レッド……赤色の上であることを考えれば油断は禁物だろう。
フロア9に居たレッドドラゴンがそうであるように、フロア全域を対象あるいは射程とする特殊能力持ちが居る可能性は決して低くはない。
「確か、初回限定で属性不明。だったな」
『ブーン。そう聞いてはいますね』
属性は不明。
これはフロア10の属性が俺の知らない属性であるからではなく、仕様としてそうなっているらしい。
と言うのも、各所の情報をまとめた限りの話になるが、フロア10に居るブラックキーパー・ミクヒィカ……黒キパの属性と坑道の属性がリンクしているらしく、属性がバレてしまうと黒キパの種類まで分かってしまうそうなのだ。
なお、黒キパが何種類いるか正確に掴んでいる組織はないようだが、既存の属性の数からして6~8種類はいると予想されているようだ。
まあ、俺としては拒絶属性で無ければ何でもいい。
「問題は出現する魔物だな」
『ブン。表示されているのはモスとポットの二種だけですね。後は四つの???です』
出現する魔物はモス、ポット、???、???、???、???の六種類。
モスは人の頭ほどもある巨大な蛾の魔物で、飛び回る際に鱗粉を振りまき、その鱗粉に触れるとDoT系の状態異常になってしまう。
ただ、そのDoTはトリカブト種の毒と比較するとかなり弱く、複数体から同時に鱗粉を浴びせられるようなことが無ければ、ヒールバンテージあるいは特殊弾『シールド回復』の使用で回復は十分に間に合うレベルだ。
問題は俺が調べた限り、モス種の鱗粉は赤のランク以降だと部屋中に広がるように変化する事。
部屋に突入する際には注意が必要だな。
ちなみに初出は第三坑道・アルメコウである。
ポット種は以前に浅層の方で遭遇した動く壺の魔物。
戦闘能力自体は控えめだが、倒した際に中身がバラ撒かれるので、中身次第では下手な魔物よりもはるかに脅威になる。
そして、その中身のバラ撒きは検証班曰くランクに応じて範囲と量が増大するらしい。
となれば、他の魔物たちの強化具合から考えて、フロア10のポットたちは倒されると同時に部屋中に中身をバラ撒くと想定するべきだろう。
「???の一つはブラックキーパー・ミクヒィカだな」
『ブン。そうなるはずです』
四つの???の内、三つは考えても仕方がない。
第四坑道・ミクヒィカに出現する魔物の種類は本当に膨大で、検証班でも把握しきれているとは言い難い。
なので、???には俺が遭遇したことがない魔物である、と言う以上の情報は無く、出たところ勝負だ。
そしてブラックキーパー・ミクヒィカ……黒キパは出来る事なら戦いたくない相手ではある。
と言うのも、俺が調べた限りの話になるが、黒キパの討伐に成功したという話は何処からも上がっていないからだ。
なんなら偽の討伐報告すら見つからないレベルである。
だがそれでも調べられた範囲で分かる事としては……。
黒キパは属性ごとに一種類居る可能性が高い。
人型であり、ポケットアリーナを使わなくても片言でなら喋る。
黒の魔物である事と、キーパーとしての補正が合わさっているためなのか、異様に戦闘能力が高い。
これぐらいまでは確定のようだ。
うん、ゴーレムの構成マテリアル的には勝負出来るだろうが、やはり戦いたい相手ではないな。
ただなぁ……。
「十中八九戦う事になるんだろうな。黒キパ」
『ブン……トビィ!?』
「いやだってなぁ。これまでの運を考えてみろ。今回の坑道探索だけじゃなくて、第一坑道の頃からだ。俺が新しい坑道を突破できた時には必ずキーパーとの戦闘になっていて、倒すことになってた」
『ブン。それはまあ、そうなのですが。それでもですよ』
「いやでも、今回だけ例外ってのは……なぁ?」
『ブブ……』
まあ、俺の運からしてまず間違いなく戦う事になるだろう。
だったらもう戦う前提で準備を進めた方が、色々と都合がいい。
と言うかだ。
「そもそも殲滅戦と言うハプニングの発生可能性がある時点でな。うん」
『ブン。そうでしたね……』
第四坑道・ミクヒィカには殲滅戦と呼ばれるハプニングがある。
このハプニングが発生すると、敵のリポップが無くなる代わりに、全ての敵を倒さなければ先に進むことが出来なくなる。
それは倒すべき敵の中にキーパーが含まれていても同様である……らしい。
で、開発が本気で俺の第四坑道突破を阻むのであれば、まあ、ここで殲滅戦を持ってくるのが妥当だろう。
そうすれば、俺は黒キパと戦わざるを得ないのだから。
「ま、これまでのキーパー戦に比べれば、ゴーレムの構成マテリアル的にはマシな相手だ。しっかりと準備してから進むぞ」
『ブン。分かりました』
俺はこれまでの道中で様々なマテリアルを回収してきている。
なので、それらと緋炭石を使って、まずはいつもの特殊弾を補充……いや、普段よりも増やしておく。
そして、隕鉄・拒絶を使って特殊弾『シールド発生』も4発作っておく。
黒キパと緋色の魔物たち相手なら、質のいいシールドは幾らあっても困らない。
その上で……ポケットアリーナを3つに増やす。
本当に殲滅戦が発生するならば、三度まで援軍……それもレッドゴリラの投げ込みのようなものも含めて外部からの干渉を封じた上に、バフを得て戦えるようになるポケットアリーナは重要だ。
まあ、連続使用に伴って、魅せるべき戦いのノルマが上がりそうな気配はあるが……そこは頑張るしかないな。
そうして準備を終えると、俺はフロア10に向かった。
△△△△△
トビィ
称号:『英雄闘士のマレディクタス』
燃料:100/100
アドオン:闘技場の英雄は赤き魔の姿に滾る
アドオン:昇降機方角把握
アドオン:オートコレクター
頭部:デイムビーヘッド(竜命金):魔力-魔術-境界-防御(特殊弾『シールド発生』ミスリル3、隕鉄4)
胴体:ヴァンパイアボディ(竜命金):侵食-生物-内部-回復
右腕:ヴァンパイアアームR(竜命金):侵食-化学-内部-付与(特殊弾『腐食性粒子』5)
左腕:パンプキンアームL(竜命金):侵食-物理-内部-拘束(特殊弾『影縄縛り』5)
脚部:アルメコウαレッグ(竜命金):拒絶-魔術-外部-回復(特殊弾『魔払い』3)
武装:ヴァンパイアネイル(ダマスカス鋼・氷結):侵食-物理-内部-付与
武装:フググレネード(ダマスカス鋼・氷結):火炎-化学-外部-遮蔽(特殊弾『焼夷ガス発生』10)
武装:グレネードホルダー(ダマスカス鋼・氷結):侵食-化学-外部-遮蔽(特殊弾『煙幕発生』10)
武装:デイムビーウィング(琥珀):電撃-化学-内部-移動
武装:サーディンダート(ルビー・火炎):魔力-魔術-外部-拘束(特殊弾『睡眠』10)
武装:ヒールバンテージ(鋼):魔力-魔術-外部-回復(特殊弾『シールド回復』5)
武装:フェアリーパウダー(鋼):魔力-物理-外部-強化
武装:イグジッター(鉄):時空-魔術-境界-脱出-『緊急脱出弾』(特殊弾『緊急脱出弾』1)
武装:ポケットアリーナ(鋼):魔力-魔術-境界-強化
武装:ポケットアリーナ(鉄):魔力-魔術-境界-強化
武装:ポケットアリーナ(ミスリル):魔力-魔術-境界-強化
武装:エンプティポット(鉄):時空-物理-境界-防御
武装:ナマコノワタ(鉄):魔力-魔術-内部-離脱
武装:フェイクウォール(岩):物理-物理-外部-遮蔽
武装:エクステンドアイビー-パンプキンアームL:侵食-物理-内部-拘束
武装:ポリプーロの契約武装『昴』(ダマスカス鋼・氷結1000):(火炎/侵食)-法則-異界-付与-『神降・火之迦具土神』
▽▽▽▽▽
今年一年ありがとうございました。
来年もまたよろしくお願いします。




