表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不自由な僕らのアナザーライフ  作者: たてみん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

184/191

184.港町のクエスト

 ギルドで魔神の話を聞き、ついでに僕に出来そうな依頼が無いかも訊ねてみた。

 いくら港町だからと言っても街を歩いてたのは半分以上が普通の人間だったし、陸上の依頼もそれなりにあるはず。


「ラキア様にお勧めのクエストですか……」


 お姉さんは分厚い依頼書の束を捲りながらうんうんと悩み始めた。

 あれ、もしかして思ったより出来る依頼が少なかったかな。

 そう思ってた所でお姉さんの頭にピコンと電球が灯った錯覚が見えた。


「これとか如何でしょうか」


 差し出された依頼書には『養殖場のお手伝い』と書いてあった。

 仕事内容は主に養殖場の掃除と獣魔(従魔)への餌やり。可能であれば獣魔のカウンセリングもして欲しいと書いてある。

 その為、必須条件として自分でも従魔と契約していて良好な関係を築いていることとある。

 その点はフランと良好な関係を築けている僕は問題なくクリアできている。

 更にはランクに関係なくギルドから好印象を持たれている事とも書かれていた。

 

(ということは僕は無事に良く思われてるってことだな)


 嫌われてはいないと思ってたけど、ちゃんと見える形で評価もらえると安心する。

 報酬はお金と、粗品?


「あの、この『粗品』というのは何でしょう」

「その時々で変わるそうです。

 前回依頼を受けた方は『たわし』でしたが、市場に出回らない品の場合もあるそうです」


 依頼主からの評価で変わる感じかな。成果報酬というか。

 確かにそういうものがあったら気合を入れて頑張ろうって言う人は多いだろう。

 そしてたわしだった人はどれだけ低評価だったのか。

 ともかく受けてみよう。

 依頼書に記載された地図を元に現場に向かうのだけど、ここで1つ注意だ。


(この道は、普通の道で合ってる?)


 以前地図を頼りに歩いてたらうっかり隠し通路に飛び込んでしまった経験から、今回は左右の道の繋がりなどを確認しつつ慎重に進んでいく。

 そのお陰で道中で7か所も隠し通路を見つけてしまった。

 いやこの街、隠し通路多すぎじゃないかな。

 それらはまた後日調べるとして、今日は無事に海岸沿いに建てられた家に到着した。

 えっと受付は、横に併設されたプレハブ小屋か。


「こんにちは~」

「……は~い」


 入口で声を掛ければ出てきたのはタンクトップに短パンというマラソン選手を思わせる格好のお姉さんだった。

 マラソン選手と違うのは頭の鉢巻きと滑り止めグローブを着けてるところか。


「ギルドで依頼を受けて来たんですけど」

「人手が足りなくて困ってたのよ。助かるわ。

 早速だけど付いてきて」


 依頼書を見せればすぐに話は通じてそのまま養殖場へと連れて行ってもらえることになった。

 でもその入り口の扉に手を掛けた所でお姉さんは僕の方に振り返った。


「私はシャコ。あなたは?」

「ラキアです」

「じゃあ、ラキア。この先は撮影禁止の他言無用。

 外部に情報を漏らしたら命は無いと思って」

「えっ」

「まぁ最後のは半分冗談だけど、口外したら信用は地に落ちると思っておいて」

「分かりました」


 凄い脅し文句だけど、それだけ重要な施設ってことなんだろう。

 僕が頷いたのを確認してからシャコさんは重そうな扉を開けた。

 その先にあったのはプール?

 幅10メートル、深さ5メートルのプールには謎の生き物が泳いでいた。

 魚、ではないな。

 見た目はクラゲが近いと思う。

 全身が半透明で、でも触手はなくてヒレっぽいものを動かして泳いでいた。

 後で検索したら『クリオネ』が似ていた。ただしこっちのサイズは1メートル近いんだけど。


「えっと、この魚?をここで育ててるんですか?」

「そうよ。アコヤンと呼ばれる貝の獣魔なの」

「貝!? それにしては貝殻が無いみたいですけど」

「学者先生が貝だって言うんだからそうなんでしょう」

「はぁ」


 この世界では貝殻が無いのが普通なのかなと思ったけど、屋台では普通に貝殻の付いた貝を焼いていた。

 もちろん大きさも10センチ足らずの普通サイズだ。

 今目の前にいる獣魔と同じ種とは到底思えない。

 けどまぁ種族が何であっても気にする必要はないか。

 僕の役目はこの獣魔のお世話をする事なのだから。


「それで何をすればいいですか?」

「基本的にはそこの壁に立てかけてあるブラシで掃除をして、アコヤン達に餌やりをしてくれればいいわ。

 餌はそっちの箱の中ね。中身は魔道具で自動で補充されるようになってるから。

 最初は餌やりも完全に自動化してたんだけど、量の加減が難しくて数体食べ過ぎで死んでしまったから、今は餓死しないようにある程度自動で与えつつ、追加を手作業で個別に与えるようにしてもらってるの。

 個体によって食べる量が違うみたいだから」


 箱の中を見てみればアジっぽい魚が氷水の中に詰め込まれていた。

 これを食べさせる、か。

 なるほどちょっとイメージ付いてきた。

 つまりこれは水族館でイルカやアシカの飼育をするようなものか。


「あと依頼書にはカウンセリングもってありましたけど、もしかして芸を仕込むとかですか?」

「いやいやそんな利口な子達じゃないから。

 ただその、あ、ここは去年増設した2号館なんだけど、1号館にいる子に比べると発育が良くないの。

 最近は動きも鈍っていると報告を受けてるし何か原因があると思うんだけど。

 私は1号館の方で手が離せないから、代わりにこの子達の不調の原因を調べてもらえたらなってダメ元で書いておいたのよ」


 なるほど。というかそれが原因なんじゃないのかな。

 ここまでの説明の間、シャコさん以外の職員を見ていない。

 もしかしたらこの養殖場をひとりで経営してるのかも。

 そして養殖の専門家のシャコさんは1号館で手いっぱいで2号館は素人のバイト任せ。

 魔道具を導入して自動化を図ったみたいだけど、それで上手くいくなら誰も苦労しないって話だ。

 相手は生き物。

 シャコさんは利口じゃないって言うけど獣魔である以上、普通の動物よりも感情豊かである可能性が高い。

 ならちゃんと彼らと向き合って接する必要があると思うんだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ