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不自由な僕らのアナザーライフ  作者: たてみん


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171/192

171.糸センサー展開

 何とか街に生還した僕は喫茶店に入って一息入れていた。

 ふぅ、まさかあんなにあっさり死にかけるとは思ってなかった。


「すみません、お恥ずかしい所をお見せしました」


 目隠しを外し配信カメラへと頭を下げる。


『いや普通は死んでるから』

『むしろ門に辿り着いてからどうやってモンスターの位置を把握したの?』

「あ、あれは衛兵さん達の視線の先を追った感じです」


 良かった。観てくれてる人達は僕の無様な姿に落胆とかはしてなさそう。

 懐の広い方ばかりでほんと助かる。


『目隠ししてたのに視線とはこれ如何に』

「それはですね。ってあ、失敗した!」


 思い返せばあの時、衛兵さんの殺気と一緒にその視線まで視ていた気がする。

 そうか、だからあんなに鮮明にモンスターの位置を把握できていたのか。


「すみません。祝福を使わずに1日過ごす計画だったのに無意識に使ってしまってたみたいです」

『まぁまぁ失敗は誰にでもあること』

『大事なのはどう改善していくかだな』

「そうですね」


 今のままもう一度行ったら今度こそ死んでしまうかもしれない。

 なのでちゃんと対策を立てて行かないと。

 砂漠で出てくる主なモンスターはヘビ型の他は鳥とアルマジロっぽいのとサソリ。あとゴーレム。

 この中で鳥は羽ばたきで分かるし、アルマジロとゴーレムは不自然な砂の動く音で分かると思う。

 だから問題となるのはヘビとサソリの毒持ちコンビだ。

 ただしサソリはそこまで足は速くない、はず。

 そう考えると一番危険なヘビに真っ先に遭遇してたことになる。

 運が悪かったと言うべきなのか。

 いや、もし出会わずにクエストを達成してしまってたら今回の問題に気付けなかった可能性がある。

 なので生きてたしむしろラッキーだったと考えるべきだろう。

 それで対策は、うーん。


「目隠しをした状態で音も臭いも気配も立てずに接近してくる相手にどうやって対応するか」

『漫画ならオーラとかコスモとかを自分の周囲に展開して敵を感知するけど』

『リアルで考えればアクティブソナー的な奴だな』

『このゲームで言ったら魔力で代用?』


 オーラとかはよく分からないけど、ソナーは確か自分が発した音波が対象にぶつかって反射してきたのをキャッチして相手の位置を割り出すんだっけ。

 それを魔力でやれるのか。

 うーん、この世界でそこまで魔力を意識して扱ってこなかったからなぁ。

 今すぐ出来るのは短剣やボウガンに纏わせるくらいで、自分の周囲に展開するのはちょっと厳しい。

 祝福の力で視て触る事は出来るけど、今回はその祝福も使わない方針だし。


『他に敵の接近を察知するって言ったら鳴子なることかどう?』

『いやそれはトラップの類だろ』

「えっとすみません。鳴子って何ですか?」


 聞いてみたら、鳴子って呼ばれる鈴みたいに音が鳴る楽器をロープに取り付けて陣地の周りに張り巡らせることで、そのロープを誰かが揺らしたら音で報せてくれる装置の事らしい。

 ただロープは草陰に隠したり木と木に結んで張らないといけないので砂漠では出来ないだろう。

 ……いや、そうでもない?


「もしかしてフランの糸で代用出来たりする?」

(くすくす!)


 任せてと力強く頷くフランを見て僕は再チャレンジするために街の外に戻ってきた。


「回復薬、解毒薬、準備よし」


 目隠しした状態だとアイテムボックスが使えない事が判明したので予め取り出してポケットに入れておく。

 これで万が一失敗しても死ぬ危険性は大分下がるだろう。


「じゃあフラン、お願い」

(くすくす)


 僕の合図を受けてフランが周囲に目に見えない程の細い糸をドーム状に展開した。

 大体僕のお臍を中心に直径3メートルの網の目状に張り巡らされた糸は僕の体に繋がっているので、モンスターなどがこの糸に触れたらその振動で位置を特定できるって寸法だ。

 後はちゃんと機能してくれるかだけど。


かさっ

「お、早速反応あり」

シュッ、すかっ

「あれ?」


 糸に接触した何かがあったので短剣を突き刺してみたけど反応なし。

 おっかしいなぁ。


「フラン、今のは何だったの?」

(くすくす)


 風で流れて来た枯草の塊?

 タンブルウィードっていう奴かな? もしくはケセランパセランか。

 糸にぶつかれば何でも反応してしまうので仕方ない。

 偶然近くを通ったのか僕を狙って近づいてきたのかの区別は現時点では判断出来ないだろう。

 ひとまず全部対処していくしかない。


くぃ

「よいしょ!」

グサッ


 よし、今度はしっかりとした手応え。

 そして刺した時の手応えで相手の全体像は大体把握出来るから視えてなくても止めを刺すことが出来る。

 この調子でどんどん行こう。


 そうして順調に何体かのモンスターの撃退に成功したのだけど、問題点もいくつか見えてきた。

 その最たるものは風に弱いという点だ。

 細くて軽い糸だからね。どうしても強風が吹くと飛ばされてしまう。

 対策としては太くて硬くした糸で骨組みを作ったり、風上に向けて紡錘型にしてみたり。

 それでも先日の砂嵐の中では使えなさそうだ。

 他にも敵味方の区別が付けられないのでパーティーを組んでたら使えないって問題もある。

 まぁその時は仲間の反応から敵の位置を予測できるから使う必要もないのか。

 

「?」


 背後の糸に接触反応。

 大きさからしてヘビやサソリではないな。もっと大きい何か。

 まぁ一切の気配も無く背後から接近してきてる時点で敵だ。


「ふっ」

キンッ!


 振り向きざまに放った短剣の一撃が防がれた?

 手応えからして相手も武器を持っているのか金属のように硬い皮膚をしているのか。

 続く斬撃は後ろに跳んで避けられた。

 5メートルほど離れた所で小さく着地した音がした。

 この身のこなしと気配の消し具合。もしかして強力なレアモンスターを引き当てたのか?


「……」

「……」


 油断なく短剣を構えているんだけど、相手も動く様子が無い。

 警戒されているのか何かを狙っているのか。

 じりじりと神経だけがすり減っていく。


「……ふぅ」

「?」


 唐突に相手が力を抜いた気配がした。

 こちらの油断を誘う罠か? とも思ったけど違った。


「おい、俺だ俺」


 話しかけてきた?

 ということは人だったのか。

 だけど僕に背後から気配を消して襲い掛かってくるような友人はいない。


「オレオレ詐欺は間に合ってます」

「勇者チームのシェイドだ」

「……あぁ」


 そういえば居たねそんな人も。


「それで何か御用ですか?」

「お前の成長具合を確かめに来たんだが、面白い事をやってたからちょっと試してみただけだ。

 まさか急に攻撃されるとは思わなかったぞ」

「いや背後から忍び寄ってきた方が悪いと思いますよ」

「まぁそうだな」


 その気が無くても銃を人に向けた瞬間に殺人未遂が適用されるように、武器を持って背後に立った時点で殺されても文句は言えない。

 シェイドさんは元暗殺者だから身に染みて分かっていることだろう。

 だから実際怒ってる気配は無い。


「じゃあこれからも精進しろよ」


 そう言って帰ろうとするシェイドさん。

 え、本当に様子を見に来ただけなの?


「それと、その戦術は遠距離からの攻撃に弱いから対策を考えておけ」


 一応アドバイスくれたけど、本当に特に何をすることもなく去って行ってしまった。

 暇だったのかな。



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