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ヲタサーの姫は魔王さま  作者: オシボリ
33/37

33話

「あんたは? いや、あなたがマオの、エグゼローザの母親か?」

 女性は、ふふっと笑みを浮かべる。

「誰が来たのかと思ったが、そうか、あの子の知り合いか。まさか、あちらの世界の住人か?」

 質問を質問で返された。だが、否定しないということは合っているのだろう。彼女が、マオの母親であり魔王の娘、エストリア。

「一応こちらの世界で生まれ育った。ただマオ、エグゼローザと知り合ったのは向こうでだ」

「マオというのが、お前たちのあの子への愛称か。別にどちらでもよいぞ。こちらの世界であの子を愛称で呼ぶものはいなかった。戻ってきて、変わったと思ってはいたが、うむ、いろいろあったようだな」

 どうもさっきから、彼女は何かを楽しんでいる気がする。何を考えているのか。何かを考えているのか。

「あなたは愛称では呼ばなかったのか?」

「必要あるのか?」

 また質問で返された。彼女は本当に母親なのか?

「しかし、私を監視していた兵士どもが、やっと来たのかと思ったが、まったく別のものたちが来るとは。貴様らの目的は? あの子を連れ戻しに来たか?」

「そのとおりだ。返してくれるか?」

「返すもなにも、あれは私の娘だ」

 そしてまた一つ、ふふっと笑う。

「ただ、終われば貴様にくれてやってもいいぞ。もう用済みだ。まぁ生きているかはわからんがな」

「生きてって、あんた、マオに何をしているんだ!」

「教えて欲しいか? いいぞ、もう最終段階だ」

 はははっと、彼女はさらに盛大に笑った。


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