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異世界に出戻りしました  作者: ころぽっくる
9/33

初めての買い物

9話目、投稿です

あの地獄のような稽古が始まってから数日後、

「じいさーん、早く早く!」

「そんなに慌てんでも街は逃げんよ」

俺ははしゃぎながら、じいさんはそんな俺に苦笑しながら街へと向かう道を歩いていた。

なぜ稽古を休んで街へ向かっているのかというと、買い物とお祝いのためだ。


昨日、いつものように稽古をしている最中に突如頭の中に声が響いたのだ。

<熟練度が一定値を超えました。嵐刃一刀流・雨天習得>

<熟練度が一定値を超えました。嵐刃一刀流・雷天習得>

一瞬何が起きたのか分からなかった俺は動きを止めてしまい、直後のじいさんの攻撃を逸らせずに吹き飛ばされて後頭部を何かにぶつけて気を失った。

目を覚ました俺は稽古の最中に集中を切らした事をじいさんに怒られたものの、スキルを習得出来た事を告げるととても喜んでくれた(まだ始めの一歩を踏み出しただけなのだから調子には乗るなと釘は刺されたが)。

そしてスキルを習得したお祝いに街で俺用の刀を買ってくれることになったのだ。


街までは普通に歩いて一時間ほどかかるので俺とじいさんはのんびり会話しながら歩いている。

「この大陸の形は?」

「歪んだ星型。」

「国と種族は?」

「北が龍族のアルタール。東は魔族のグリム・ロア。西は妖精のネブラフォレス。南東は獣人のリンガイア。南西が人族、リディア。」

なんでこんな会話してるのかというと、今回の買い物は刀を除いて全て俺がやることになったからだ。

要するに初対面の相手ともボロを出さずに会話できるか確かめるための最終確認をしているのだ。

これで大丈夫と判断されれば今後の買い物も俺がさせてもらえるようになるのだから気合も入る。

「人族とそれ以外の間で戦争が起きなかったのは?」

「虚神が現れたから。」

融合の衝撃で混乱する世界に突如現れ、目に付く全てを破壊した怪物、虚神。龍族すら小鳥のように打ちのめしたそいつを倒すため、世界中の種族が一丸となった数万の軍勢が挑んで刺し違えとなったらしい。

「冒険者ギルドの起源は?」

「地形や生態系等の変化を調べる調査隊。」

あれ、質問が途切れた。何か間違えたか、と思っていたら

「最後、これから行く街は?」

と聞いてきたので

「大陸の中心地、リュシオン。迷宮を見張るために造られた街。」

そう答え、「合格じゃ。」と笑いながら告げられた時にようやくリュシオンへ到着した。


(でっかいよなぁ)

最低でも5メートルの高さはありそうな防壁を見上げながら商人や冒険者と思しき人達に混じって衛兵に呼ばれるのを待つ。

呼ばれた後はじいさんのおかげか特に問題もなく通行が許可された。

そして門を潜ると――――――――

(・・・すごい・・・)

様々なモノを売る店、そこに集まる人達、そしてその人達の活気に思わず圧倒されて立ち尽くす俺の方が叩かれる。

振り向くとニヤリとした笑顔のじいさんが

「感動しとる所悪いが立ち尽くしとると邪魔になるからの。」そう言って俺の背を押して歩き始めた。

「2度目なのに随分感動しとったの。」

そう言われてもガラムさんを訪ねたあの時は宿屋に直行、その後夢破れて周りを見る余裕もなかったんだから仕方ないと思う。

まあ、今はとりあえず買い物を済まそう。


「こんなもんかな。」

じいさんに教えられた店を巡っての買い物は無事終了。名前こそ違うが野菜や生き物は大体地球の物と同じなのでそこまで苦労はしなかった。

(銅貨、銀貨、金貨、白金貨、晶貨。それぞれ100枚で繰り上がり。覚えやすくていいもんだ。)

そんなことを考えながらじいちゃんに報告を済ませ、いよいよ刀を買いに武器屋へと向かうことになった。

じいちゃんの行きつけという武器屋の主人はジェスタという名のドワーフで、じいちゃんが用件を伝えると「ちょっと待ってろ。」とだけ言い残し店の奥へ行ってしまった。

「じいちゃん、なんか気難しそうな人だけど大丈夫?」

小さな声で呟くが

「口下手じゃが腕は確かじゃ。安心せい。」

と動じない。そんな風に話していたらひと振りの刀を持って戻ってきた。

「1度振ってみろ。」と言われたので周りに注意しながら振ってみると驚くほど手に馴染んだ。

あまりの馴染み様にびっくりする俺にじいさんは

「だから言ったじゃろ、腕は確かだと。」と笑って言った。

その後ジェスタさんにお礼を言って店を後にした俺達は、今日の宿を求めガラムさんのところへ向かうのだった。







ワクワクを上手く表現できているといいですけど。

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