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異世界に出戻りしました  作者: ころぽっくる
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稽古という名の地獄

8話目、稽古の様子とスキルの軽い説明です。

森の中にポッカリとできたような小さな広場、そこから何かが打ち合わされる音と二人の声が聴こえてくる。

そこにいるのはお互いに体に合った長さの木刀を手にして打ち合う隻腕の老人と少年。

こうした光景は特に珍しいものではない。世間はまだまだ不安定で人拐いのような連中もごろごろしているし、人を襲う危険な獣の出現頻度だって低くはないため自衛のために力をつけることは身分や種族を問わず一般的なことだからだ。

孫と思しき相手に稽古をつける老人はとても楽しそうで見ていて微笑ましいものだろう。

凄まじい風切り音と共に振るわれる木刀を必死の形相で躱す少年の様子を除けば。


「うおっ!!」

頭を狙い振るわれた木刀を体勢を低くすることでどうにか避ける。

髪の毛が何本か切られて宙を舞うが避けれた、と安堵する間もなく木刀が再び振り下ろされる。

避けられないと判断した俺は咄嗟に自分の木刀を割り込ませて受け流し、必死で脚を動かして距離をとった。

「うむ、よくぞ躱した!」

満面の笑みでそう告げるじじいを

「よくぞ躱した!っじゃねえぇぇ!!」

俺は怒鳴りつけた。


「何を怒っとるんじゃお前は。後息が上がっとる状態で下手に大声を出すでない、隙が生まれるからの。」

(誰のせいだと思ってやがる)

息切れ状態で大声を出したせいで盛大にむせた俺は声を出す余裕がないので頭の中で言い返した後、どうにか息を整えて言葉をしぼりだした。

「さっきの攻撃だよ!殺す気か!」

「何を馬鹿なことを。自分の大事な弟子を殺したりするわけないじゃろうが。」

心外だと言わんばかりの顔でそう言うが絶対に嘘だ。

「嘘つけ!攻撃全部急所狙いじゃねーか!」

「急所を狙うのは当然の戦術じゃぞ。第一ちゃんと反応できる速さに抑えるとるから問題はない!」

「当たったら死ぬだろーが!!」

「そのぐらいの緊張感がなきゃ訓練にならんじゃろうが。まあ、万が一当たりそうになったら逸らすなり止めるなりすればいいしの。」

「・・・!!!」

ヤバイ、怒りのせいで言葉が出ない。

「安心せい、ポーションも用意してあるから多少の怪我は問題なしじゃ。」

「安心できるかぁぁぁ!!」


もう分かるだろうが戦い方の訓練内容はただ一つ、じいさんとの模擬戦ガチである。

何故訓練がこんな無茶な内容になったのかと言うと、俺が選んだ武器とスキルのせいだ。

訓練を始める際にメインとなる武器を選ぶように言われた俺が選んだのは刀だった。

元々刀が好きだし、じいさんも刀使いの剣士だったから教えやすいだろうと思ったんだがそれがじいさんに火をつけてしまったのだ。

後で知ったのだが重量で断ち切る剣に比べて薄い刃で断ち切る刀は耐久性が低いため、この世界ではあまり人気がなく使い手が少ない。

そしてじいさんに師事した者の中で刀を選んだのは俺だけ、そのせいで自分の技全てをたたき込める相手が出来た喜びに舞い上がってしまったのだ。

最初はじいちゃんも喜んでるし、できる所までやってみるくらいはいいだろうと思っていたがその思惑は自分のスキルのせいで完膚なきまでにぶち壊された。


このスキルというのは魔法とは真逆で、人族にしか扱うことができないという代物だ。

何故人族にしか使えないのかは未だ解明されていないようだが、多分魔法が存在する世界にいきなり放り込まれた人族を哀れんだ神様が与えたんじゃないかと俺は思ってる。

スキルの由来はさておいて、とりあえずわかっていることはスキルにはランクと熟練度が存在するという事だ。ランクは下級コモン上級アドバンスド固有ユニークが存在し、熟練度はスキルの使用によって個別に加算されるようになっているらしい。

下級のスキルはある程度の才能があるものなら比較的容易く習得できるもので、多少の補正が掛かる程度のものらしい(限界まで鍛えた場合はそれなりに強くなるようだが)。

対して上級、これは特定のスキルを限界まで鍛え極めることで下級のスキルが進化したもの、その効果は下級とは比べ物にならない。中には複数のスキルを極めないと習得できないものもあり、そういったスキルは特に強力だと言われている。

最後に固有、これはひと握りの人族が先天的に習得しているスキルで後天的な習得は不可能、子孫に受け継がれる事もない。スキルによっては魔法以上に厄介なものもある。

そして俺が持っていたのは自身の限界を消し去る「固有スキル:限界突破」だった。


じいさんに言われてステータスを確認した俺はこのスキルの効果を馬鹿正直に話して、じいさんのやる気の火に油を注いでしまったというわけだ。

ああ、俺のバカ・・・。





今回は割とスムーズに書けました。

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