異世界魔法事情
7話目、この世界の魔法について軽く説明してます。
ゼギルじいちゃんという新しい家族が出来たあの日から2年が経ち、俺は10歳になった(まあ、背格好からの推測なのでどこまで正確かは分からないが)。
あの日以来俺はじいちゃんから様々なことを教わっている、世界の歴史や国、そこで暮らす種族、貨幣の価値、戦い方等本当に色々と。
魔法は教わってないのかって?基礎的な知識自体は教わってはいるけれど実のところたいして意味がないのだ。
何故なら―――――俺やじいさんはおろか人族の誰一人として魔法を使うことができないんだから。
じいちゃんからこちらの世界に魔法が存在する事を聞いた俺は、すぐさま魔法を覚えるにはどうすればいいかと質問したのだが
「人族が魔法を使うのは無理じゃ。」
返ってきたのはそんな無慈悲な言葉だった。
最初はじいちゃんには使えないというだけで俺なら使えるんじゃないかと思った(一応転生者だし)ので、じいちゃんのかつての仲間のガラムさん(近くの街リュシオンで宿屋を経営してる熊の獣人だ)に頼んでみたが、帰ってくる言葉はじいちゃんと同じだった。
それでも食い下がる俺に、ガラムさんが差し出してきたのは魔力によって光を灯す魔道具だった。
そして俺は、僅かでも魔力を持っていれば起動できるというその魔道具を起動させることが出来なかったのだ。
それは俺の中に魔力が全く存在しないことの証明であり、俺が魔法を使えないという事を雄弁に物語っていた。
その後何故人族が魔法を使えないのか聞いた俺にじいちゃんが聞かせてくれたのは、この世界の歴史とそこから生まれた推察だった。
この世界ペルムリディアスが生まれたのは128年ほど前、ペルムスとリディアの衝突によってだった。
ペルムスはエルフをはじめとする妖精族、獣人族、吸血鬼等の魔族、龍族が住み魔法の存在する世界、対してリディアは人族のみが暮らし、地球と同様に魔法ではなく科学主体で栄えた世界。
そして魔法とは世界に満ちる魔力を自らの内に取り込み、体内で自分の扱いやすい形(要するに火や風などの属性)に変化させて操ることで発動するものである。
それゆえ魔法の存在しない世界で暮らしていた人族は、未知のエネルギーである魔力を体内に蓄えたり変化させて操ったりする能力をもっていないため魔法が使えない、と推察されている。
ペルムス側の種族と人族の間にできた子供なら魔法を使えるのではないかと思い聞いてみたが、その場合でも魔法が使える人族は確認されてないらしい。
せっかく魔法のある世界に転生したのに魔法を使えないという事実はかなり俺をへこませたが、落ち込んでばかりいるわけにもいかずどうにか気持ちを切り替える。
勉強するべき事はまだまだあるのだ、使えないものにこれ以上執着してもどうにもならない。
まあ、完全に吹っ切るにはまだ時間がかかりそうだけど。
説明が長くなりすぎないように考えた結果思った以上に短くなってしまいました。




