12話 弁解
会話文の書き方変えて見ました。
12話
先輩が帰ってすぐにケーキを買った両親が帰ってきた。
「ちょっと、何で庭から焦げ臭い匂いがするのかと思ったら何か勝手に燃やして火遊びでもしてたの? ってこれDVDプレイヤーじゃない!?それを段ボールと一緒に燃やしてたの!?」
さ
母さんはすぐに庭の違和感に気付くと父さんを置いてこちらに走ってきてそう言った。
「いや、違う違う。友達のおじいちゃんが送ってきたDVDプレイヤーがビデオレターを見終わると燃えるようにおじいちゃんに細工されていたんだ」
俺はとにかく必死に説明したがタカトのじいちゃんがサプライズ好きでスパイ映画に憧れてやったはと信じてはくれない。
「わかったわ、とにかくそのプレイヤーがタカト君のおじいちゃんの物だと言うならきちんと弁償しなさい。いいわね」
「わかった、明日タカトのじいちゃんから卒業パーティーに誘われているんだ。
それで明日の昼前にじいちゃんの知り合いが迎えに行くから来るからその人に確認してよ」
俺は説得を諦め、明日来る迎えに来る人に後を任せた。
「わかったわ、そこまで言うなら信じるわ。明日卒業パーティーに誘われているなら、お土産がいるわね。
お金を渡すからいつものランニングのついでに父さんと一緒にデパートに行ってお土産を買ってきなさい」
そう言うと話の途中に来たので事情が分からず、黙っていた父さんに話を振った。
「いやー、いいな。卒業パーティー。俺も昔母さんと行ったよ。懐かしいな」
話を振られた父さんは笑顔で懐かしそうに言った。
俺は懐かしそうに言うその話を聞いて以前父から聞いていた話を思い出した。
「確か当時父さんにベタ惚れだった母さんが誘って卒業パーティー中に母さんが泣きながら告白してきたんだよね」
俺はやってもいないのに怒られていた仕返しに二人を見ながら母さんの息子に知られたくないであろう秘密を言った。
すると俺の予想とは反対に母さんは動揺することなく無表情になり、父さんが顔を青くして汗をかきだした。
「そ、そんなこと言ったかなぁ、そうだ、俺もついていくならランニング用にジャージに着替えてこないとな」
父さんはそう言うとさっさと家の中に入って言った。
「ねぇ、ヒナタ他に父さんがそう言った時に他に何か言ってた?」
「本物の男は簡単に告白しないんだぜ、男なら惚れた女を惚れさせてみろって言ってた。
他には、俺の普段の飾らない態度に母さんは惚れて泣きながら告白してきた、お前も告白せずにさせるような男になれって言ってた」
母さんは俺に対して怒ることは全くなく優しく訊いてきたので内心驚きながら答えた。
「はぁ、…まあ別に女の子に好きになって貰うのも告白させるのも悪いことじゃないわ。
ただ今後ヒナタが告白する時に噛みまくって女の子の方から気を使われて告白されるような事がないようにしなさい。最悪一生恥ずかしい話として彼女に話されるはめになるから」
「わかった気を付ける。それじゃあ、俺もランニングのために着替えてくるね」
母さんはため息をついて、そう俺に忠告した。
俺は母さんが呆れたような情けないような何ともいえない顔で言ってたので怖くなり絶対に忠告してきた事は守ろうと思った。
数分後着替え終わった俺は妙に静かに着替え終わる俺を母さんと待っていた父さんと一緒にランニングを始めた。
「父さんと一緒に走るのは久しぶりだね、俺なんだかワクワクしてる」
「はぁ、はぁ、そうだな。久しぶりに走るとヒナタの成長ぶりがよく分かって、俺も嬉しいよ。
はぁ、前走った時はこんなに速くなかったのにな。はぁはぁ。」
「父さん、大丈夫? 庭から着替えに行くときからすごい顔色が悪かったけど体調悪いなら俺だけで行くよ」
「そうか、少し疲れているのかもな、なあヒナタ俺が着替えに言った後母さんは何か言ってたか?」
父さんはやはり仕事の疲れが取れていないのだろうか、それなのに無理して俺の為に一緒に走ってくれるなんて。
やばい、今日は本当にすぐ泣きそうになる。父さんの優しさが俺の心に伝わってくる。
「そうだな、他に父さんが何か言ってのたか、後は、告白するとしても噛みまくって女の子に気を使われて逆に告白されると一生ものの黒歴史だみたいに言ってたと思う」
「そうか、黒歴史か。…父さん疲れたから近道通ってデパートに先に行って待ってるよ。ヒナタはいつも通り走ってなさい」
「わかった、父さん。頑張って!」
俺は父さんの疲れはてた顔を見ると自然とそう言っていた。
父さんはこちらに一度手をあげると近道の方へ歩いて行った。
その背中は今まで見たことないほどに小さく、くたびれているように見えて、そんな背中を初めてみた俺は何でも悲しかった。
俺は落ち込んでいる気持ちを振り払う為にいつもより速く走った。
「きゃ」
俺は曲がり角でもいつもより速く走っていた為に避けるのが間に合わず同い年くらいの女子とぶつかってしまった。
「ごめん、よく前見てなかった。大丈夫ですか」
俺は尻餅をついている女子に手を貸すと彼女は俺の手を取り顔を上げ立ち上がった。
彼女は俺の顔を見るとじっと見詰めて来た。
さっきは尻餅をついていたので彼女の顔が見えなかったが、彼女が顔を上げ俺の顔を見ているので、俺も彼女の顔が直ぐ近くで見えた。
彼女は肌が雪のように白くて後ろで束ねられた青みがかった黒髪がとても映えて見えた。
それに彼女の青く力強い瞳に俺は小春さんに会った時に似た緊張感を感じているのかもしれない。
「はい、大丈夫です。すいませんコンタクトが外れてしまってよく見えないんです」
そう言うと彼女は片にかけているカバンから眼鏡を取りだしつけた。
「あ、あなたは!、ふ、古河ヒナタくん!?」
彼女は俺の顔を改めて見ると顔を赤くして驚いている
彼女は俺の名前を知っていた。しかし、見覚えがない。
「あれ、前に会ったことあったけ? 同じ学校でこんなに可愛い人がいたら絶対見覚えあると思うんだけどな。
ランニング中に名前を知られる事なんてめったにないし、ごめん誰だっけ?」
俺は可愛いと言う誉め言葉を混ぜて名前を忘れてしまったことをさりげなく謝る。
「い、いえ可愛いなんて、そんなことないわ。
わ、私は前に古河くんが助けているのを見ていてそれで名乗っているのを見て覚えていたの!」
彼女は顔を更に赤くしてそう言った。
その時の俺は名前の知らないこと可愛いと誉めて誤魔化し、結局元々知らなかったということにショックを受けていた。
いや、でも知らないって正直に言ったし、可愛いと思ったのも嘘じゃない、俺の人生の中でもかなり可愛い方だと思ったのは事実だ。
よし、何の問題もなかった。 俺は自分を納得させた。
「そうか、それじゃあ、知らないのもしょうがないな。
それで、怪我してない? 大丈夫だった。」
「うん、大丈夫。それじゃあ失礼しました」
彼女はそう言うと俺の返事を訊くことなく走って去っていった。