9話 棚からぼた餅
9話
隣のクラスの奴も来だしたので何とか隣のクラスの掃き掃除だけでタカトの掃除をやめさせた俺たちはクラスに戻った。
「ヒナタさん、隣のクラスの奴の見ましたか? すごい俺たちのこと注目して、感謝の目で見てました。人に注目されて感謝されるのは気持ちがいいっす、でももっと人が来るまで続けたかったです」
それはいつも自分の隣のクラスでいたずらしている奴が自分のクラスにいたら驚くだろ。
あの目はお前の事を感謝じゃなくて警戒していたぞ。
こいつはやっぱり子分にしなくて正解だったな、隣のクラスの奴も全然俺を見てなかった。 こんな目立ちたがりと一緒にいれば、俺のカッコいい噂がこいつの陰に隠れてしまうだろう。
「なあ、そのさん付けと敬語やめてくれないか、友達に敬語ででさん付けって変な感じだからさ」
「それは嫌です、それをやめるならござる口調になるでござる、でも今どきござる口調はださいのでいやです! 正直子分に成れなくて残念な気持ちになると同時にござるを使わなくて喜んでいる自分もいます」
いつも着ている目立つ真っ赤なジャンパーにござる口調だったらいたずらしなくても目立つだろうに。
こいつは注目をされた上で格好もつけたいのか。難しいやつだな。
「わかった。じゃあ、さんを君にするだけでいいよ」
俺も友達から日常的にござる口調で話しかけて欲しくないので妥協してさん付けだけを止めさせる。
俺は切ない気持ちになりながら教室に入っていった。
教室には葵の顔と背中をこちらを向けが見えた。
「おはよう、二人とも早いないつもこんな時間に着ているのか」
「「おはよう」」
「違いますよ。葉山はこの時間に来てますけど、葵は最もクラスに人が来ている頃に来てますよ」
葵と見越奏は俺の挨拶にこちらを振り向き挨拶を返したが、隣にタカトがいることに気付き俺に同情的な目をし、タカトが喋ると俺を信じられない物を見るかの様に目を見張っていた。
「僕がヒナタに朝から掃除を勧めたんだけど、ヒナタはタカトにライバル視されていることに気付かずただの友達だと思っていたことを今朝思い出して急いで来たんだ」
「私が来たとき誰もいなかったのに風間君が出てこなかったので不思議に思っていたら、ネコ君が来てどうして風間君がいないのか話してたんです」
「俺はヒナタさんを窓から急に現れて驚かせたんだ」
「ああ、俺は一年間お世話になった教室を綺麗にするためにタカトより早くから学校に来ていたんだ。そしてタカトは俺を驚かせた後俺の目的を知り俺の考えに感動して隣のクラスも掃除していたんだ。そうだろタカト?」
「えっあ、はい、ヒナタさんの言う通りです。俺はヒナタさんの考えに男として完敗して、これからはいたずらやめて毎朝掃除することにしたんだ」
カナちゃんとは幼稚園の頃からの付き合いだが注意される側のタカトとは違いよく俺の生活態度に対して注意してくるので、下心を注意され、周りにばらされたくないので極力誤魔化していく。
タカトも最初は分からなかった様子だが察して話を合わせる。
カナちゃんは最初は半信半疑なようだったが、タカトが話すと俺の事を目を細めて見詰めている。
葵も俺の事を何とも言えない顔で見詰めている。
何でタカトが話すと俺を見るんだ? 葵も事情は知っているんだから何も疑問はないだろ。
「すごいよ、ヒナタ君。風間君のいたずらを止めさせて、朝から一緒にするなんて」
カナちゃんはとても感動しているようで、疑っている様子はない。
「ああ、本当にタカトのいたずらを止めさせて敬語を使わせているなんてすごいよ …これだけでもこれからタカトと同じクラスになる人を助けているんだから、これは噂になるんじゃないかな」
葵はカナちゃんに聞こえない様に俺の目的に成果を認めてくれた。
二人ともすごい誉めてくるな、よく分からない内にタカトが勝手に感動してこうなったからラッキーだったな。
二人が驚いていたのはタカトのことだったのか、噂になるなんてどんだけいたずらしてたんだ。
知らなかった俺の方がめずらしいのか。
その後が多くのクラスメイトが来るとカナちゃんがすぐに大声で今日の事を伝えた。
クラスメイトはそれを聞くと俺を囲み尊敬するような目で見て、お礼を言う奴や朝の先生の様に誤解していたと謝ってくる奴もいた。またタカトが敬語で話すのを見て俺たちを不思議な目で見ていた。
俺はみんなにお礼を言われて変わったことによる成果を実感しながら、今までではなかった心が満たされる様な気がした。
その後先生がもどって来るとすぐに次のクラスを教えられて次のクラスに移動し始業式に向かった。
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始業式を無事に終えた俺は新クラスの三年三組の教室で係決めをしていた。
三組の担任は赤城先生でクラスメイトには葵とタカトと一緒になった。
俺は学級委員をすることにした、やる気のあるやつがいなくて擦り付け合いになりそうだからだ。
きっと学級委員は人を助ける機会に恵まれてその活躍は他の人にも注目されるはずだ。
係決め、終わりの会を終えたので、下校することになった俺だがそこには葵だけでなくタカトもいた。
「確かお前の家、俺たちの帰り道からだと遠回りじゃないか?」
「はい、でも急がば回れと偉い人も言っています。だから俺はヒナタさんを遠回りしてもお送りします」
こいつはちょっと前までは俺は知らなかったけど困ったやつだけど今は俺だけの困ったやつになっちまってる。
普通友達の家まで遠回りして送ることないよな、俺は親方じゃなくて友達って言ったのに。こいつが飽きるまで付き合わなければいけないのか。
「タカト、ヒナタは友達に送らせるような事をするやつじゃないから、困っているよ」
「えっ。なに!」
「そういうことだから、俺たち友達だろ、お前は弟子じゃないから送らず、途中で帰ってね」
「はっ、はい、わかりました。ですが俺は弟子になること諦めてませんから」
「ねぇ、朝から気になってたんだけど、朝にあった本当の話教えてくれない? 微妙に誤魔化してたよね」
「何を友達なら気を使って訊かない所だろ!」
なんだこいつめんどくさい、やっぱり俺がめんどくさい思いするんだな。
「タカト、葵は恋の相談に乗ってくれてるし、隠すことはないよ」
「そうなんですか! つまりヒナタさんの恩人つまりは俺の恩人…。ごめんなさい、これからも仲良くしてね葵君」
「…急に態度や行動が変わるのは兄ちゃんとヒナタで慣れてるし問題ないや、こちらこそ一年間よろしくね」
「タカト、俺もそれぐらいの喋り方で話して欲しいんだけど」
俺は強い眼差しでタカトを見ながらそう言った。
「でもこれは友達用で、未来の親方には、分かりました。まだ友達ですもんね。これからよろしく、ヒナタ君」
俺は朝からの問題を解決してようやく肩の重荷が取れた感じがした。
「それで、親方と弟子のこと知りたいんだけど?」
「ごめんごめん、忘れてた、こいつは俺が小春さんの為に変わろうとしている事を知って、尊敬します以下略って感じになったんだ」
俺は大まかな流れを葵に話ながら、今日一日を振り返りいたずらを止められて良かったこと事れで誉められたのがかなり嬉しかった事を思い出していた。
「そういう事だったんだ。朝からもやもやしてたのがすっきりしたよ、ありがとう。じゃあね、タカトもこっちの道だろ一緒に帰ろ」
笑顔で話を聞いていた葵は分かれ道でそう言うとタカトと一緒に帰って行った。
「じゃあな、二人ともまた明日」
俺は別の道を進む二人に手を振って俺も俺の道を進んで帰った。




