第6話 「3分の距離に行くのに、3時間かけた理由」
第6話 「3分の距離に行くのに、3時間かけた理由」
卵が無い。
最近新しくできたスーパーマーケットに行く。
ルート確認。
玄関。
いざ。
いや待て。
もし災害が発生したら。
どうする。
戻って来る。
災害持ち出し用。
リュックに詰めなおす。
インターネット起動。
役所や警察の地域情報を確認。
地域の掲示板、最近の出来事をすべて暗記。
ついでに。
近隣のAED設置場所を把握。
マンホールの型番チェック。
これらが終わる頃には、3時間が経過していた。
家を出る。
スーパーマーケットに3分で着いた。
新しいスーパーマーケットだ。
まずは全体像の把握。
1周する。
細部の把握。
2周目突入。
イートインコーナーがある。
大きめの電子レンジ。
走り回る子どもたち。
「麗子ー!」
背後から声。
振り返る。
ひかりだ。
「今日なんか予定あるん?」
「特にないです」
「近くのパンケーキ屋行けへん?」
「・・・パンケーキ」
「行くでー」
腕を組んで引っ張られる。
今日の服はお腹が隠れている。
しかし、半分肩が露出していた。
パンケーキ屋に着いた。
カラフルな店舗。
「どれにするん?」
「糖質、脂質、カロリー計算・・・」
「気にせんと食べやー。今日は無礼講やん」
「・・・無礼講」
真顔で、プロテインとシェイカーを机上に出した。
ひかりに、むしり取られる。
「いやいや、没収! 麗子、ふわふわ好きやろ」
・・・ふわふわ・・・食べたい。
ひかりと同じものを注文。
パンケーキが届く。
「めちゃ美味しそう!」
「美しい・・・」
ふわふわだ。
「うまっ!」
「・・・・・・(涙)」
「泣くんかい、嘘やろ」
「・・・美味しいです」
「良かったやん」
幸福度が上昇した。
代償。
血糖値、死亡。
帰宅。
卵を買い忘れた。




