伊吹 第21話「周りは確定事項で進んでいく」
伊吹 第21話「周りは確定事項で進んでいく」
エントランス。
掲示板に新しい張り紙が増えていた。
『最近、夜間の騒音は確認されていません。
また、麗子・夕凪様ご夫妻により治安が安定しています』
「・・・ご夫妻?」
伊吹はその文字を見て固まる。
「治安が安定? ここで何が起こってたんだよ」
***
管理人が清掃していた。
「すんません。この張り紙、間違えてますよ」
「騒音ですか」
「いや“ご夫妻”の方だよ。作成中に分かるだろ」
「え? あのいつも一緒の」
「一緒にいる=結婚してるじゃないんだよなぁ」
「でも仲良さそうですよね」
「それは否定しないけど!」
後ろから、ひかりが来た。
「あーあの2人? 付き合ってるやろ普通に」
「当の本人たちは否定してんだよ」
夕凪に連絡する。
再度、本人に聞くことにした。
何が起こってんだよ。
俺一人、世界線でも変わったのか。怖すぎるだろ。
スーパーマーケットのイートインコーナー。
子供たちが走り回っている。
夕凪と麗子さんが何か食べて、何か飲んでいた。
近づく。
「伊吹も食べる?」
ピザだった。
「なぁ、マンションの張り紙、見たか」
「見たよ」
「お前ら、付き合ってんの?」
モグモグ食べていた麗子さんが言う。
「定義が未確定です」
「まぁ、いないと気になるかな」
俺は脱力する。
「お前ら、勝手に夫婦認定されてんだぞ! いいのか、あれ」
買い物中の親子。
母親が子供に言う。
「ほら、いつも仲良しのお兄さんとお姉さんよ」
「ママ、あの2人、カップル?」
「そうね」
「なんで第三者が関係を確定してんだよ!」
この状況が理解できない。
俺の方が間違ってるのか?
いや、そんなわけない。




