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上手くいけば

参謀「う……うむ、それで、この能力を使って、勇者は何をするつもりなのだ?」


勇者「この要領で、この世界の全人類に命令を出します」


「!」


「ある時刻に、私に魔力を送れ、と」


「!! そんなことが」


「パーティーの魔力を集めて放つ魔法があります、それを応用し、全人類の魔力を自分に集める」


「…しかし、一般人に魔力の伝達など」


「基本的な魔法技術があれば十分可能であると考えられます」


「魔法博士…どうですか?」


「ふむ……確かに、…理論上は可能じゃろうが…」


「ええ、その技術を世界中の人間に伝授するだけでも、時間がかかるでしょう」


「…それで、そこまでして、本当に魔王達に勝てるのか?」


「……初戦では、いいとこ五分かと」


「…五分……いや、それより初戦とは?」


「魔王の言動から、この世界には、魔界と人間界をつなぐ旅の扉があると考えられます」


「ふむ」


「そして魔界には、他の人間界へと通じる旅の扉があるはずです」


「……! そうか」

「はい、まずこの世界の魔王を倒し、旅の扉までの道を開きます、その後、魔界を通じてほかの人間界に乗り込み、その世界の国と協力して同じ命令をする」


「……なるほど……しかし勇者、その旅の扉のある場所は分かっているのか?」


「十中八九、魔王城、それも魔王の間でしょう、ですが安心してください、ここに来る前に試しましたが、旅の扉は、どんな魔法攻撃でも壊れる代物ではありません。」


 参謀の言葉の意味を読み取り、先回りして勇者は応えた。


 今までにない大魔力同士のぶつかり合いだ。 その余波で壊れるかもしれない、そう考えるのは、自然といえるだろう。


 しかし旅の扉はいわば時空の歪みである。こちらの魔法攻撃もすべてその時空に吸い込まれるため、破壊できるといった代物ではないのだ。







「……確かに……希望はあるように思う……しかし五分か…」



 参謀は額に手を当て、目を閉じた。


 魔王城から放たれる結界の範囲は、日々拡大を続けている


 魔物が徐々に力を増しているのも確かだ。

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