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ほんばん

勇者捕縛、7日後。


 魔王は王座に座り、眉に皺を寄せていた。


 この7日間で、自分の認識がなお甘かったことを知ったのだ。


 勇者の策略を前に、魔王はただ顔をしかめるほかなかった。


 魔王の誤算――そのすべては、勇者の装備にあると言える。


 勇者の装備を、外すことができないのだ。


 スカルフェイスの隙間から猿ぐつわをかませることには成功したが、全身を守るように覆う鎧や兜、加えて刀と剣も外せない。


 呪いの効果というやつなのだろう。


 さらにこの呪いが厄介なのが、勇者の狂化がいつまでたっても解けないことだ。


 これではどんな拷問も意味をなさない。


 もちろん、呪いの装備を解呪する術は探した。


 呪いを解呪する方法は、ただ一つ、魔族が使うことのできない神系魔法でしか成しえない。


 しかし、先の戦闘で落とした町の神父に、人質をとって魔法を使わせる方法は不発に終わった。


 どんなに目の前で人を殺そうと、体を痛めつけようと、神父は魔族のために魔法を使おうとは決してしないのだ。


……やはり、方法が短絡的なのだろうか?


 この問題は、勇者の信仰を捨てさせることと、密接につながっているような予感がある。


 ならばと幻術をかけて解呪の神系呪文を使わせようとしたが、これも失敗に終わった。


 正常な神経ではないと、神系の魔法は使えないのだ。


 そして、魔王の一番の誤算、それは、勇者を、またしても逃したことである。


 前回も一週間、今回も一週間……ちょうど七日キッカリに今回も勇者は消えた。


 これが偶然でないとすれば、答えは一つだ。


 勇者は、ウイルス感染した状態でこちらに乗り込んできている。


 なるほど絶命の痛みも、狂気の中ではゼロに等しいだろう。


 魔王の背筋が寒くなる。


 魔王の間の扉が空く。


 呪いの装備に身を包んだ勇者が、雄叫びを上げ切りかかってくる。


 面白い、いいだろう


 魔王は立ち上がる。


 必ずお前を屈服させてやる。


 今はそのために、余の全能力を使うとしよう


 魔王の手刀と、勇者の双剣が激突した。

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