ぜつぼうからのきぼう
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「……勇者」
教会、ステンドグラスからそそぐ光に目を細め、勇者は静かに、自由の利く体を噛みしめた。
いつぶりの自由だろうか
「今何時でしょうか? すぐにでも王に報告したいことが……っ」
喋り、動き出そうとした勇者はその場にかがみこんでしまった。
「勇者、大丈夫か?」
「大丈夫です、少し体に違和感があるだけですので、それよりも、早く王に報告したいことがあります。ことは一刻を争うのです」
「…うむ、わかった。司祭、事情は分かったな? すぐに城へ向かいなさい。私は勇者の介抱をする」
近くにいた若い司祭の男がうなずいた。
「…わかりました」
「いえ、俺が…」
「勇者、あなたは疲れているのです、死んだばかりだ、無理もない、とにかく一度腰を落ち着け、何か温かいものを飲んでから、城にむかいなさい」
「しかし……」
「みなさい、体が震えているではありませんか、今シスターに温かい飲み物を用意させます、それまでおとなしくしているのです、いいですね?」
(確かに……体も思うように動かないし、気分も悪い…)
「……わかりました」
勇者は、教会の椅子に座ると、一度大きく息を吐いた。
(スラきちは…うまくやっているだろうか、それとも…俺が最後なのだろうか?)
「神官さま、私の仲間はこちらにいらしているでしょうか?」
「!…今はそんな事よりも、自分の回復に努めなさい」
「神官さま、そんな事ってどういうことです? 何かご存じなのでしょうか?」
「後で話します、今はとにかく気を落ち着けなさい」
「いえ、今すぐ教えていただきたい、私の仲間は、何人、こちらに来しました?」
「……一人……です」
「誰です?」




