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「あなた、ずいぶんみすぼらしい恰好をしているのね。うちに来なさい。慈善事業の一環としてあなたを拾ってあげるわ」
かわいらしい声で、勝気な瞳で、そういって私に綺麗な服とおいしい食べ物と暖かな寝床を用意してくださったお嬢様。
あの時の恩は決して忘れません。
何があってもあなたにお仕えし、あなたを最悪の未来から守ってみせましょう。
そう、『思うがままに権力を乱用し人々を苦しめ醜い悪役と成り果てたその末路として、かつての面影など一切ないほど落ちぶれ死んでしまう』という最悪の未来から。
私、ミラ・ヴェスタは生まれたときから未来予知という能力を持っていた。
たとえば、まったく来たことのないはずの場所でもこの道を行ったらどこにつくのか言い当てることができたり、女王様のお腹にいるのが王子なのか王女なのか当てることができたり、近くの山で土砂崩れが起こることを予測できたり。
この能力は、近隣諸国から『魔術師の生産地』なんて揶揄される我が国においても極めて稀な能力らしく、大人たちは私を褒めてくれた。
ただ同時に不審にも思っていたようで、全国規模の謎の病の解決策を言い当てたとき、感謝の声以上に私を責めたてる言葉が投げかけられた。
いわく、私が特殊な魔術で病を広めただけなのではないかと。
そんなことできるわけないのに。
もちろん否定した。
でもそれを信用してもらうには、私は不思議な能力をひけらかしすぎていた。
村の大人も、友達も、家族さえも私を白い目で見て、ついに私を追い出した。
八歳という年齢で、着の身着のまま知らない土地に放り出されて、残飯をあさりながら生き延びていた私の前に現れたのが、ユーフェミア・レイズコット様だ。
その日参加していたパーティで年配の人から高貴な者の役目的なものを熱く語られた後だったらしく、ノせられやすいユーフェミア様は帰りの馬車の中でたまたま見かけたみすぼらしい同じ年頃の少女、つまり私を拾うことにした。
馬車から降りてきたユーフェミア様に手を差し出されたその瞬間、私はすべてわかった。
なぜ未来なんてものがわかるのか。
そして悟った。
私は何をするべきなのか。
つまり、この世界は前世の私が読んでいた少女漫画の内容とほぼ一緒の出来事が起こっており、ユーフェミア様に拾われた私はユーフェミア様が破滅の道を進んでしまわないよう軌道修正していく役目のために生まれ変わったのだ。
おまかせください、ユーフェミア様!
このミラ・ヴェスタ。
前世で義理と人情についてしっかり仕込まれております。
あなたのことをきっと幸せな道へと導いてみせましょう!




