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乾坤一擲  作者: 響 恭也
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唐入りー終戦と講和ー

 平壌の戦いの後、明は勢力を増した女真族の手当てに苦慮することとなった。ヌルハチは信長からの援助を最大限活用し、次々と諸族を下し、女真族最大の版図を半年ほどで作り上げた。

 ヌルハチと信長がつながっていることは明も気づいているが、ヌルハチは形式上明の臣下を名乗っており朝貢も行っている。面だって罰することもできず、黙認するしかなかった。

 朝鮮は遼東地方に地方政権を作っていたが、国土をほぼ制圧されており、さらに明の軍も大打撃を受けており、すぐに対応は不可能である。ひとまず李成梁に命じて講和を結ぶこととした。条件面はいろいろとあったが、表立っては日本国王織田信長と冊封を結ぶ。だがこれは実質上は対等の同盟である。明の国力を集約すれば日本を大きく上回るだろう。だが海を渡っての遠征は元の時代に敗北しており、軍事的に侵略は難しいと判断された。結局は講和を結ぶのが一番利が多いと判断されたのである。

 台湾、琉球、朝鮮は日本の冊封下に入ることを認めた。これにより、中華思想そのものに揺らぎが生じる結果となり、明という国家の衰退を招く端緒となったのである。


「さて、何とか講和をすることができた。次は蝦夷地じゃの」

「はい、何とかなりましたね」

「李朝の王族でとらえておった者に適当な姫は?」

「ああ、李舜臣殿に嫁がせますか」

「うむ、せいぜい悲恋物語を描こうぞ」

「兄上にそう言う洒落っ気があったとは」

「儂と帰蝶の恋物語を描けば源氏物語よりも良き話となるがな。帰蝶が恥ずかしがるでの」

「うん、いい年こいてのろけられる兄上はさすがです」

「あと台湾だが、伯陽をそのまま王としよう。よく治めているようだしな」

「ええ、それが良いかと。明の討伐隊を撃退した英雄になっておりますし」

「うむ。民をよく導く才がある。木蘭がいなければ儂の娘を…いや、孫娘をやってもよいほどじゃ」

「兄上、まだ適齢期の娘いるんですか…?」

「いや、よく考えたら末の娘が先日嫁いでおったなと」

「忘れないでくださいよ。さすがにそれは」

「うむ、年かのう…」

「まあ、次世代が育っておりますし。我らの楽隠居も近いですかなあ」

「そうなったら皆と尾張で隠居したいものじゃ」

「そうですなあ。懐かしいです」

「おぬし尾張国主だろうが、懐かしいもあるまい」

「まあ、それでも若いころを共に過ごした皆に会うことも少なくなりましたし。それに逝った者もおります」

「うむ。だが儂の代で日ノ本に安寧をもたらすことができた。それは胸を張ることができるというものじゃ」

「確かに。尾張時代はいろいろと苦労しました」

「だがなあ、あのころが一番楽しかった気がするぞ」

「ええ、若いっていいものです」


 信長と秀隆は水入らずで昔話にふけった。信長は一足先に帰国し、秀隆は李舜臣の王位相続を確認し、支配体制が整うのを確認し、信長に送れること半年のちに帰国したのだった。

少し短めです。

次の更新で話を進めていきます。

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