寝言は寝てから―4―
「お気に召す、めさんの問題やないやろ?って言ってんやんかぁ?! こうな、人と人との距離はな、大切にせんとな!」
「私とサーラは夫婦ですので。愛する妻との距離はこれが適当だと思います」
「ふ、う、ふっ?!」
なんでまた一文字ずつ区切られたのだろうか。そんなに驚かれるところか?
「愛してますよ、サーラ。私の最愛の妻」
「誰やん?! 他に誰ぞかおるんか?!」
「いません」
埒が明かないのでやや強引に、抱え込んでいた妻の腰を横抱きの形で私の腿に持ち上げる。欲情はしてもいいところだと割り切った。良く考えなくてもサーラに対して愛情を示すのは不埒ではない、はずだ。
すっぽりと私の胸板にはまってしまう華奢な体。逃げたいのか縋り付きたいのかわからなくさせるのは、背中に回ってくるサーラの手のひらがきゅっと私の服を握っているからだ。
顔は焦っているのに嫌がっていないから。
だから、私のような悪い人間に付け込まれる。
「私が、嫌いですか? サーラ」
「っ、……っ」
はくはくと唇だけが雄弁に上下する。声は出ていないけれど。
可愛らしさが常に限界を突破しているサーラの耳を食む。びくりと背筋が跳ねた。
気をよくして耳の下、顎の線、頬、鼻の頭、瞼、……そうしてようやく、愛らしい唇に到着する。硬直していたサーラがふぅっと気を抜いた隙に柔らかく乾いた粘膜を舐めてみた。
少し引かれる。
追いかける。
本格的に、肩を揺らして体ごと離れようとされた。
許さない。
「サーラ。サーラ」
「は、はっちん、その、なんやん、あれやんか」
「愛してます」
意味をなさない抗議を吸い取るように、ぴったりと唇を覆う。目を見開いた後、うろたえるあまりに瞼を強く閉じるこの子は愛おしい。
ずいぶん辛抱強くノックし続けていればおずおずと開いていく、サーラの大事な器官。
物を食べ、意志を表にだし、表情を決定づける、甘い唇。
他の誰でもない。サーラの物ですらない。
これは、私の物。
異界から落ちてきた娘は保護された女性となり私の妻になり。
それを証明するかのように今夜もまた、情熱的に愛される。
はい。このお話で、この小話は終了です。
あまりにも意味が分からない、というか燃焼不足のため、近いうちに短編でまとめ上げ直します。決意。




