寝言は寝てから―2―
「あぁ……すまんことッスよ見苦しいもん見せて」
「かまいません」
ぐるりとシーツを巻きつけたことをなんととらえたか、彼女が淡々と謝ってくる。手を煩わせたことかと合点して速攻で構わないと断言したが違う。
むしろ私としては切実に見たい。
隠したこの手で、シーツを剥ぎ取りたい。
甘い唇の味を知ってからのお預けは、我慢のきかない駄目な男には辛すぎる。
見苦しいもの、という台詞に違和感を覚え……何に対する彼女の謝罪なのかを考えて、さらにうろたえた。
そんなことなら、さらに謝られる筋合いはないのだ。いっそやましさに視線が泳ぐ。
柔らかそうな喉元から鎖骨のライン。ミルク色の肌。赤い唇は下だけが少し、そう、ほんの少しぽってりとしていて実に噛みたくなる。
ふぅ。
意地で隠しているが限界に近い。股間が。
「サーラ。状況をご理解していただけてますか」
「なんのやん?! っつかはっちん、…………はっちん?」
この年になって痛いほど張りつめるとは思ってなかった。かわいい俺の嫁が美味そうで困る。
無防備に距離を詰めてくるのも、きっとこの状態の男の心理を知らないからだと推測した。年齢を知った今ではどうしてこんなに無知なまま育ったかという疑問が残るが、しかしサーラには性的な知識がごっそりと抜けている。かなり偏った教育を意図的に慎重に行い続けなければ、ここまで純真な人間には育たない。
というか、真面目な話、その手の無邪気さがあるからサーラはまだ俺の牙を免れてるだけだ。もしも万が一の未来、嫁が俺に身構えたり、警戒を始めたとしたら。
まず第一に俺は嫉妬すると思う。
知らないはずの事実を教えたのは誰だと、どこの間抜けの仕業だろうかと邪推して、いいや正式な伴侶の雄として推測し、怒り狂うだろう。
どうでもいいが、くそ、本気でかわいい。
「サーラ。その、……サーラ」
「……なんやんなぁ、はっちん。枕? そんなん抱きたいんか?」
まぁ確かにふかふかなんは気持ちいいけどな。
サーラは苦り切って枕を胡坐の間に挿し込んで体勢を変えた俺を呆れたように見て、自分も同じような姿勢を取った。
サーラの足の間に陣取った枕に俺がいみじくもあほらしく嫉妬したのは言うまでもないだろう。
ふざけるな、そこは俺の場所だ。
「……んーで、ちょい話を戻すで? なして私、こんな格好なん?」
「サーラが、私の嫁だからです」
「は? や、今までもそ、………………あぁ。さよか」
赤くなった。体温が上がったのだろう、ふわりと芳しい香が寝台の上にただよう。
俺の好みを熟知している家人たちは抜かりがない。こんなところにまで罠を仕掛けてくる。
ああぁぁぁ。理性が試され続ける。




