40話
我慢の限界を超えたリリが一歩踏み出そうとした時、ロディがリスティリアの方を向いた。
「リスティリア、泣かなくて良いから。とりあえず一旦部屋に戻ろう」
ロディに言われると、リスティリアはレースがついたハンカチで目元を押さえながら頷いた。
(うがぁ〜っ‼ そうやって甘やかすから、アホが治んないのよっ‼)
リスティリアをエスコートするように歩き出したロディが振り返った。
『 た・ん・れ・ん・じ・ょ・う・で・ま・っ・て・て 』
口パクでも伝わるもんだなとリリは感心する。
(へいへい… 。そうしますよ)
リリは深い溜め息を吐くと鍛錬場へ向かって歩き出した。
歩きながらイライラをなんとかしようとするが、自分のやっていたゲームのリスティリア姫を思い出す。
(リスティリア……。あんなに良いお姫様だったのに、何であんな風になってんの……? 元のリスティリアはこんな感じだったんだ……。リスティリア姫は、私のやってたゲームの方が良いな……)
リリは、初めて罰ゲームじゃない部分があった事に触れた。
(このゲーム何なんだろ? 違和感って言うか 一致してる部分があったりなかったりが激しい……。私がいるのは、私のしてたゲームと違うって思って行動しないと駄目かも知れない……ガチで……)
その時、壁の上から竹富と里道が下りて来た。
「リリ。リスティリアと何があったのだ?」
竹富達は、先程の様子を見ていたようだ。
(さすが忍者。ちゃんと見てたんだ)
広い場所だったから声までは聞こえてなかったようなので、リリはロディとリスティリアとの出会いと、外界に行きたいと言われた事や理由などを伝えた。
「は?」
「それは……」
竹富と里道は絶句してしまった。
(まぁ、そうなるよね 。竹富や里道にしても、リスティリア姫の性格があんなだったら、反リスティリア派に光神の里がつくの納得だよなぁ……)
リリは、なぜ光神の里が反リスティリア派だったのか疑問だったが、ようやく腑に落ちた。
(リオは知らなかったのかな……。リオの記憶には、なぜ光神の里が反リスティリア派についたのかなかった……。リオはどう思ってたんだろう……)
リオと水鏡で繋がっていた時『リオはサッパリした性格だな』って思ったから、もしかしたらあのリスティリア姫とは反りが合わなかったのかも知れない。