39話
自分から説明すると言ったまま、リスティリアは次の言葉を発しなかった。
リリのイライラが徐々に高まる。
(現実じゃ直接話したり出来ないとか、お貴族様はややこしいのあったりするだろうけど、ゲームなんだし姫とか王子でも普通に話してんだろうがぁ〜っ‼)
イライラしながらも根気よく待っていると、本当に本当に小さな声が聞こえた。
「レオに……会いたいのです。もう一週間も会ってなくて……」
「は?」
(会いたい……だけ? 会いたいって理由だけで危険な外界に行くのか? ……こいつバカ?)
もしや聞き間違いとか、他にも理由があるのではとリリ思った。
「えっと……ちょっと確認なんだけど、会いたいってだけで外界に行こうっての?」
(お願いだよぉ〜っ‼ 言葉足らずであってくれぇ〜っ‼ ゲームのリスティリアはこんなバカ姫じゃなかったぞ? 知的で優しくて思いやりがあって、民に愛された姫だったぞ? ……だから、私もレオを諦めてエンディングを何度も見たんだ。頼むからっ‼ さっきのは聞き間違いか、言い間違いであってっ‼)
リリは心の中で祈りまくった。
「はい。会いたいのです」
ガーン
リリの頭の中で盛大に銅鑼が鳴った。
(バカ姫だった…。何でだよっ⁉ 何でリスティリアがこんなアホの子なんだよっ⁉ ちょっとぉ…。やめてよぉ…。こんなのとレオが国を治めてくとか……。それを見届けなきゃならないとか、罰ゲームにも程があるだろっ‼)
軽い目眩をおぼえながら、リリは未だロディの後ろにいるリスティリアをロディ越しに射殺す勢いで睨見つける。
(アホくさ……。こんなバカ姫の為に命掛けられるかっつうのっ‼)
怒りを押さえるべく小さく溜め息を吐いた後、ゆっくりと話す。
「あのさぁ、悪いけどお断りよ。私には私の仕事があんの。それほっぽって外界に行けると思う?」
ついうっかり『お姫様の散歩に付き合えるか』と口走ってしまいそうになる。
(ヤッバ……。姫って紹介されてないのに知ってたら駄目っしょ)
リリが内心冷や汗かきまくりになりながらも
「じゃあね」
と、言って踵を返すと、ロディの後ろからシクシクと泣く声が聞こえた。
(は? 泣いて……る……?)
コマ送りかのようにゆっくりと振り返る。
「光神様は、私がレオに会いたいと言うのはおかしいとおっしゃるのですか……?」
(はぁ〜っ⁉ 何言ってんだ、コイツっ⁉)
リリの我慢が限界突破し握った拳がフルフルと震え始める。
(姫だろうが何だろうがブン殴りたいっ‼)




