彼の事情
「だって、俺あの世界大嫌いだから」
なんで、そんな事…
愕然とする
「何でって思ったよね。俺は家族なんて興味ない。あの地獄から抜け出したかっただけだよ」
「じ、ごく?」
「ああ、幼馴染のお前も知らないよな。あいつら外面だけは良かったからな」
そうして語られたのは俺が知らないコイツの家族と闇だった
感情豊かだと思っていた
それは作られたものだった
怒るとか悲しいとかの感情がよくわからないと
仲の良い家族だと思っていた
実際はかわいがられていたのは下の弟妹達でコイツは序列としては下だったらしい
外面だけはいいから食事は出してもらえた、服も数は少ないが与えられていた
ただ…親のストレスのはけ口としておもちゃにされていた
無表情だと気味悪いと言われ表情を作った
見えないものが見える体質でソレと会話しているとやはり気味が悪いと罵られた
服の下…見えない部分を殴るつねる
多少がっちりしていたし見た目も男らしいのに知らない男性相手に性的な事も強要されていたと
更にそいつらに気に入らない様子を見られると暴力を振るわれたと
ここまで聞いて俺ははらわたが煮えくり返る
その表情を読み取ったのかさっきまでの笑みが消えた顔で
「俺の事で、そんなに感情的になってくれるのはお前だけだな」
なんて寂しい事を言うんだろう…
表情は無いように見えるがとても悲しい顔をしているんだよな
「なあ、玲於奈。俺はお前の親友だ。だから、辛いことが有ったら、泣きたかったら俺を頼ってくれ」
「そう…だな。耐えきれなくなりそうになったら頼む」
ああ、こいつはここまで一人で耐えてきたのにまだ俺に頼る時期ではないと思っているんだろうか
この場所に放り出されたときの混乱もこいつに対する最初のいら立ちもすべてが吹き飛んで
改めてコイツのよりどころになりたいと思った
読んでいただきありがとうございます。
一応まだ、登場人物が二人ですが追々増やしていきます




