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異世界転生した私、なぜか他人の人生をやり直しています。〜私はまだ、物語の外側にいるはずでした〜  作者: 燈霞


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少年になる。(14)

 夢、もしくは精神世界なのだろうか。神様と会ったあの空間とは違う、やたらとふわふわとした、心地いいのだか、地に足がついていないような不快感がごちゃ混ぜになった様なよくわからない感覚がする。何かが自分の中に入ってくる。それには不思議と不快感がない。柔らかな暖かい何かで包まれるような、そんな感覚。その心地よさに身を委ねていると、佐良の意識が徐々に浮上していく。


 「…大丈夫ですかね、この子。なんでこんな魔物のいる森の中で、一人で。こんなボロボロになって。まさか、親に捨てられて、このような残酷な仕打ちを受けて…!」


高いようで、心地のいい低音。そこに喉を震わせ涙ぐむ音が、至近距離でジャックの鼓膜を揺らす。


 「サイモンがここに来る前に魔力障壁が一度散った。何も出来ない子どもが出来ることじゃない。だから平気。」


ぶっきらぼうなのか、単に冷静なのかわからない少し冷めた女性の声。


 「受け身の体勢は取れてるから、基礎は出来てるんじゃないか?しかもナイフ持ってるし、丸腰って訳でもない。お、意識が戻ったみたいだ。聞こえるか?もう竜はいないぞー?」


薄く目を開けると、ぼんやりとする頭で周りの様子を視界に入れる。横に寝かされているようだが、胸のあたりには緑色のもやのようなものが漂っている。そのもやはジャックの傍らに立ち、濃紺の上半身までのローブをまとった、濃紫色の長髪を持つ眼鏡の青年の手のひらから出ているようだ。

すると突然ジャックの視界の上の方からにゅっと大きな手が伸びてくる。その手がジャックの髪をガシガシと乱していく。


 「見えるか?それにしても、よくひとりであんなの相手にしてたな!しかもこんなちっこいナイフで!すげーな!」


乱暴な手つきで乱れる髪に遮られながらも視界に入るのは、ワインレッドの短髪の青年。しゃがみ込む彼は、はじけるような笑顔でこちらを見下ろす。父さんのより大ききはないが、手のひらからはよく鍛えられているその硬さが伝わってくる。

目線を再び腹の方に向けると、少し離れたところに興味がなさそうに木に背を預け視線だけをこちらに向ける、銀の鎧を着た、銀の長髪をポニーテールに結った女性。


 「…あなた達は…?」


ジャックは腕で上体を起こしながら彼らに言葉を掛ける。


 「あぁっ!まだ、動いてはいけません!安静にしていてください!」


涙ぐむ濃紺のローブを着た背年が慌てたように言う。しかし、先ほど折れたと思った腕で身体を支えられている。衣服はボロボロだが、傷は塞がっている。


 「ジーク、おまえが治療したんだから、もう平気だろ?な?おまえも痛くないだろ?」


 「…はい。全然。あの、助けてもらって、ありがとう、ごさいました…。それで、あなた達は…」


 「一回、立ち上がれるか?」


ワインレッドの彼がジャックの腕を引き、ジャックを立たせる。ふらつきはするが動けないことはない。

今度はローブの青年がジャックの腕を曲げたり伸ばしたり。借りてきた猫のように、戸惑いながらもおとなしくしているジャックはされるがままだ。しばらくして満足したのか、安堵した様な声を漏らす。


 「平気そうですね。良かった。」


 「あ、あの!あなた達は、なんな…」


 「動けるし、異常もないならもういいでしょう。早く出発しましょう。こんな魔物の森に長居するのは危険。」


再び遮られるジャックの質問。


 「それもそうだな。おまえ、名前は?」


 「ジャック、です。それで、皆さん…」


 「じゃあ、ジャック、おまえの家の近くまで送って行ってやるよ!さっさと行こうぜ!」


この人達、全く話を聞いてくれない。そんなことは気にせず、ワインレッドの彼を先頭に魔力障壁の方へ歩を進める一同。え、あ、とジャックがもどもどしていると、最後尾にいたローブの彼から真っ黒い影が伸びてジャックの服の裾をつかむ。驚いて目を凝らすと、ローブの彼の背に背中を丸めて隠れる、目まで黒髪に覆われた、全身真っ黒な服をまとった長身の男。森の暗さとその黒さに同化しすぎて全く気配も気づかなかった。

ジャックはその黒い腕に服の裾を引っ張られたまま魔力障壁を抜ける。全身を霧に包みこまれたあと、視界が先ほどよりも明るくなる。しかし、既に日は落ちかけているようで木々から漏れる光には朱が混じっている。


 「このままだと夜になっちまうな。ジャック、少し我慢してくれよ?」


そう言うとワインレッドの彼はジャックを抱える。


 「えっ、ちょっと。何するんですか!!」


 「おー、しゃべってると舌かむぞー?」


景色がすごい速さで移動していく。彼は息を乱すことなく平然としている。彼のそうだが、おそらく彼の仲間であろうローブの人と、鎧の彼女、そして影の彼も軽々とそれについてくる。

その正体不明の人物の腕の中で、緊張がわずかに解けたジャックは疲れと混乱からか意識を飛ばした。


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