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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇一五 届いたことになっております

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報告書⑥ 来年の分

 六つ目は、あとから届いた、██課からの経過の回答である。


――――――――――――――――


 来年の分の通知は、例年どおり、おなじ月に出す予定である。

 手続きも、例年どおり行う。


 宛先の変更の届は、照会の時点で出ていない。

 宛先を変える予定も無い。


 差出簿に書いた者のうち一名については、市が引き続き所在を確かめている。


――――――――――――――――


 当課で検めたことは三つである。


 一つ、手続きは十一年とも正しく踏まれている。

 日数にも、記録にも、落ち度は無い。


 二つ、その月に使われた切手は二枚で、差出簿は一通である。

 差は百十円で、足し算で出る。


 三つ、戻ってきた一通は現物としてここにある。

 開けられずに棚にあり、棚を片づけた記録の側には出てこない。


 異常と呼べるものは、何も出なかった。

 誰も規則を破っておらず、誰の落ち度でもない。


 照会した先は四つ。

 市の三つの課と、郵便の側である。


 四つとも期限のうちに回答があり、どれも正しく、互いに矛盾していない。

 矛盾しないまま、届いたことになったものが、戻ってきている。


 当課の照会は、紙の突き合わせに限られる。

 人の行方は、突き合わせる相手が無い。


 通知は、来年もおなじ月に出る。


 処理票を書いた。


 分類、異常なし。

 処理、経過観察。


 観るのは来年の経過であって、この十一通ではない。

 十一通は、市の記録の上では終わっている。


 だから、送った。


 封筒は、返ってきた記録が無い。

 戻す先の帳面が無いので、当課で綴じ、書庫へ送る手続きをした。


 綴じる前に、██課から来た写しと並べた。


 十一通の宛名は、四人の手で書かれている。

 機械で刷ったものは、一通も無い。


 あの一通の宛名は、その四人のどの手にも当たらない。

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