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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇〇一 迎えトンネル

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プロローグ 記録室より

 私は、特異事象調査課の記録分析官である。


 現場には出ない。

 私の仕事は、各地から上がってくる報告書を読み、照合し、分類し、一つの事案としてまとめることだ。


 机の上には、毎朝、誰かが置いていった書類が積まれている。

 差出人の名がないものも、少なくない。


 その大半は、退屈な誤報だ。

 見間違い、聞き違い、あるいは悪戯。


 私は淡々と「異常なし」の判を押し、書庫の奥へ送る。

 それで、たいていの事案は終わる。


 だが、ごくまれに――読み終えたあとも、消えない報告書がある。


 夜、目を閉じると文面が浮かぶ。

 書いた人間の指の震えが、こちらの指先にまで伝わってくるような。


 そういう数件を、私はここに書き写しておくことにした。

 なぜそんなことをするのか、自分でもうまく説明できない。


 最初の一件は、四通の報告書だった。

 ある廃トンネルをめぐる、記録。


 断っておく。

 これを最後まで読んだところで、あなたに得るものは何もない。


 むしろ――読み終える頃には、なぜ私がわざわざこれを書き残したのか、その理由の方が、わかってしまうはずだ。


 では、始めよう。


 事案番号は、便宜上、〇〇一とする。

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