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秘されし赤林檎  作者: 敬重感泣
62/79

赤きネリネ13

「問題ないですよ。」

 恐縮して小さくなった青年に軽く手を上げてみせた。

「丁度よかったくらいです。指名しやすくなりますからね。それに。。。」

 何かを言いかけたツテラに気が付かず、首をかしげて青年は悩んでいた。

「。。。では父たちは」

「確か。。。セステリス様の父君と叔父君はガプロマス家の騎士候補であったと記憶してますよ。」

 そう言って手を空に向けるように勢いよく上げた。その途端に後ろから横に、目を開くのが難しいほどの風が起こった。

「どういたしましたか。」

 風の中から現れた男が並走しながら問いた。青年にも格好からそれがすぐに騎士だと分かった。

「聞いてたろう。今年のうちの推薦者はどうだったか。」

「そうですね。。。見込みはありますが。。。当然持ち上げる意義はセステリス様とは比べるまではありません。」

 そう言ってちらりと青年の顔を見た。冷たい目線にドキッとしてすぐに背筋を伸ばす。

「それと。。。」

 ツテラは真面目な顔で頷いた後、男の方に体ごと向けて小声で何やら話始めた。一方的にいくつか言って体を前に戻すと、男は軽く頭を下げて風を起こした。あっと言う間にどこかへ行ってしまった。ツテラのウィテカートにも青年は驚いたが、血を引かない彼らでもここまで力を使えることにさらに驚いた。

「すごいですね。。。本当に。。。」

 意気込んでいた青年も、だんだんと全く才のないことにだんだんと引け目を感じていた。

「あなたにはあなたの価値がある。そもそも騎士とは良き友人であることです。能力云々は重要視されるべきものではありませんよ。」

「はい。。。」

 しばらくの沈黙の中、ついに地区の正門近くまでたどり着いた。

「それではコンスピ、セステリス様をよろしくお願いします。」

 トカゲの背を下りたツテラが乗ったままのコンスピとセステリスを見て微笑んだ。コンスピは小さく頷くと、行きましょうと言って先導する。

 くさび帷子を被り、騎士と似たような外衣を纏った者たちが整列している間を通っていく。みな頭を下げているものの、数名少し顔を上げ三白眼でにらみつけてくる者も目に付いた。おそらく推薦候補だったものだろう。何だか気まずさを感じ下を向きながら青年は騎士についていく。

 閉じかける門の向こうからツテラの張り上げる声が聞こえてきた。

「閉鎖用意。出ている者以外は全員だ。鷲も飛ばせ。出し惜しみは無しだ。情報はヴィンディピタに集めろ。」

 ツテラが腕を払いながら指示を飛ばしている。兵士たちが一斉に手の甲を見せ、慌ただしく動き出した。

「あの。。。あれって。。。」

 青年の問いに、苦笑いのようなものを浮かべながら騎士は答えた。

「万全を期しているだけですよ。ご心配なさらず。」

「そうですか。。。」

 またしても何も言えなくなり、沈黙が二人の間に流れた。

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