第24話 【魔王】VS【勇者】+【剣聖】+【騎士】
投稿日時が遅くなって大変申し訳ありません。
どうも戦闘描写に納得が行かず、あれこれ弄っていました。
現状納得が出来ていませんので、高確率で差し替えるかもしれません。
予め言っておくが、別に俺は2人の戦いに蛾みたく誘われたという戦闘狂のような理由からじゃあないから。
2人が後先考えず、本気の殺し合いをしそうになったから、茶化しながら茶々を入れただけなのだ。
……まぁ、最近デスクワークばっかりだったから、体動かしたいからっていう理由は、なくもないかな?
べ、別に人の苦労をよそに楽しそうにしてるなぁよし邪魔してやろう、なんて思っていないから!!
あと1ヶ月もしない内に内戦が始まり、そしてあの憎たらしいガスターク帝国との戦争が始まる。
それなのに、戦争に響きそうなくらい殺気撒き散らしながらやりやがって、何が『互いが燃え尽きるまでずっと』だよ。
そういうのは内戦終わらせて戦争終わらせてからしてほしい。
つまり、今俺がこいつらの目の前にいるのはその溜まっちまった鬱憤の受け皿。
「…という訳だ、いつでもいいからかかってきな?」
そういう訳だ、この際2人だろうと3人だろうと…ってあれ。
「…2人よりも3人の方が勝率も上がるだろう。
俺も入らせてもらうぞ」
そういって入ってきたのは眼帯をつけた俺の大嫌いな隻眼の奴だ。
ふむ、エルライドの近くに護衛が…まぁ近衛騎士の連中が取り囲んでいるし、盾にはなるだろう。
問題ないか。
最近ジロジロ見てくるからいい加減どうにかしようと思っていた所だ。
生憎と剣を交えれば相手の事が分かるみたいな特殊な頭していないから不明だが、この機会にこっそりと戦闘中にこいつの頭も覗いてみよう。
「…それじゃあ、はじめようか?」
ハルバードを構えて、俺は3人と相対した。
魔王対勇者と剣聖と騎士か。
……うん、これでようやくいい勝負が出来そうかな?
■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■
この戦いに、もとより『審判』という判定をする立場の者は存在しない。
4人中で、最後まで立っていた者が『勝者』なのである。
最初に動き出したのは、隻眼の青年―――フィリップだった。
単純な戦闘能力では彼が最もこの4人の中では劣るが、それでも常人の枠から言えばかなりのものだ。
だが、ごく短いとはいえ既に戦闘をしていたアキラとフォロカルは息を整えながら体力温存を図って動こうとしていなかった。
そして、その3人を相手取るユーリはこの4人の中で最も戦闘能力は高かったが、唯一といってもいい弱点があった。
基本的な身体能力が、この4人の中で最も劣っていたのだ。
それは種族的な問題が原因でもある。
ユーリの母カルラのエルフという種族は魔力が豊富なのに対して、身体能力というものが明らかに他の種族に比べて劣っていたのだ。
無論、戦闘技術型の種族と比べて劣っているわけではない。
元々エルフという種族の基本的な戦闘は魔法特化型。
ユーリのように面白半分に前線に出たりはせず、後方からひたすら魔法を打ち込む砲台のような戦い方を得意としていたのだ。
半分とはいえ、ユーリはその血を受け継いでいる。
ハイヒューマンのアキラ、獣人のフォロカル、そしてヒューマンのフィリップと比べれば、成長しきっていないユーリの基本的な身体能力はやはりこの3人と比べれば何段も劣るのだ。
ユーリの得意とする戦闘術の中には『高速機動戦闘』というものは確かにある。
しかし、それは測りきれないユーリの魔力によって爆発的に強化した時に発揮されるもので、それがなければただの魔力が多いだけの『子供』同然なのだ。
身体強化をした万全の状態で迎え撃てばいい話だったが、3人がかりでも自分を倒す事なんて出来ないという慢心からか、完全に出遅れた。
振り下ろされる剣を慌ててハルバードで受け流しながら旋回しフィリップに遠心力を利用した一撃を放つ。
だが、未だ身体強化をしていないユーリの一撃はフィリップにとって止まって見える速度だった。
最小限の動きで避けると、すかさず反撃の一撃をお見舞いしてくる。
フィリップの一撃を受け止めたが、足の踏ん張りが利かなかったのか、体重の軽さも加わりユーリは簡単に吹き飛ばされた。
「ああもうっ、隻眼の癖に生意気なっ!!
―――満たせ満たせ我が身をその力によりて高めよ!!」
吹き飛ばされ距離が稼げたおかげで、ようやくユーリは全身に身体強化の魔法をかける。
全身に力が漲った事を確認するかのようにハルバードを強く握る。
「よし、これで―――あっ!!」
「―――よう。
これで…なんだって?」
ユーリは背後から突然よく知った声を聞いた瞬間に防御をせず飛び上がった。
すれ違い、ユーリがいた場所に常人では視認出来ない一撃が空振りする。
ユーリが目にしたのは、いつの間にか音もなく移動していたアキラだった。
フォロカルと戦った時に見せた無音高速移動術を駆使して、ユーリの背後に回りこんだのだ。
「―――キーっ!!
やってくれるね!!」
「言ってろ慢心バカが!!
人の楽しみを邪魔しやがって―――飛斬っ!!」
剣を幾度となくアキラは振る、そしてそれに呼応するように飛ぶ斬撃がユーリ目掛けて襲いかかる。
空中に浮かんでいるユーリはかわす事も出来ず、防御しながらもケラケラと笑っていた。
飛ぶ斬撃がユーリを襲うが、ユーリの纏った影の鎧は傷ついた様子もなく、ただ揺らめいている。
「おおっ、さっきやったアッキーの必殺技!?
飛ぶ斬撃とか…ツボ押さえてるね!!
―――けど」
それどころか、ユーリはアキラの攻撃を楽しそうにそう評している。
着地する瞬間ユーリはハルバードをアキラの頭上目掛けて振り上げていた。
「当たらないとねえええええっ!!」
ユーリのハルバードとアキラの剣がぶつかり合う。
フィリップの時と違い全身を強化したユーリは吹き飛ばされるどころか、むしろ身体強化したアキラに膝を付かせる。
アキラのいる周囲の地面が陥没し、周囲に地響きが起きる。
その地響きは王宮を超えて王都にまで響いていたが、王宮からの事前の通達により王都に住まう者たちは反乱軍や帝国軍からの攻撃だと思わずに、ただ迷惑そうに過ごしていた。
王宮も大変な騒ぎである。
王宮が壊れていないのが不思議なくらいゆれている、倒れた書類の保管庫を非力な文官たちが慣れない身体強化の魔法を使って悲鳴を上げながら戻している風景がそこかしこで発生していた。
「こんの…バカ力が!!
周りの迷惑も考えろっ!!」
「いやいや、ちゃんと王都と王宮の耐震強化はしてるから!!
じゃないと普通に今の一撃で城壊れてるし!!
という訳で、もう一発―――っ!!」
追撃しようとハルバードを振り上げたユーリだったが、背後からフィリップ、そして【剣聖】がユーリの攻撃を阻止した。
「やらせんっ!!」
「大人しくやられてもらおうか!!」
飛ぶ斬撃や直接的な斬撃も含めて複数の攻撃がユーリに襲いかかる。
ユーリはこの状態で受けてしまえばアキラが態勢を立て直して完全に囲まれてしまう事を危惧し、すぐさまその攻撃を避け、距離を開けた。
「ははっ、ようやく3人揃ったか!!
さぁ来い、遊んでやるよ!!」
ハルバードを構えると、ユーリはフォロカルに襲いかかった。
当たれば必殺の一撃をそれも全力で叩きつけようとしたユーリだが、フォロカルは剣で受け流してみせた。
即座に反撃が出来なかったのは、ユーリの一撃を受け流すのに慎重になり過ぎたからだ。
「くっ、なんという荒々しい一撃だ。
術理に欠けたその技、鍛え上げてみないか!?」
遠回しに『弟子にならないか』と誘っているのだが、ユーリは鼻で笑うと更にもう一撃、フォロカルにハルバードを叩きつけた。
「はっ、バカ言えっ!!
俺の専門は魔法なんだっつーの!!
近接戦闘はただ『楽しいから』やってるだけ!!
別に俺くらいになれば剣の道究めて『理』とやらに到らなくても十分なんだよ!!
っていうか、そもそも俺そっちの才能無いの解ってるから誰が行くか!!」
ユーリの攻撃は言ってみれば棍棒を振るう小さな巨人のようなものだ。
冴え渡る技などなく、ただ圧倒的な力のみで振るわれる技とも言えない棒振り。
術理など、そもそもユーリ自身が求めてもいないのだ。
魔法という別の才能に特化しているユーリがそもそも剣の道を志そうなど、転生してから現在まで脳裏に一度として過ぎった事すらない。
フォロカルの誘いなど、そもそも的外れなのだ。
残念そうな表情を浮かべたフォロカルはフィリップと共にユーリを挟撃する。
同時にではなく、僅かにフィリップが遅れているのは挟撃というよりも連続でユーリに攻撃を与え他方が勝率が高いと判断したのだろう。
ろくに会話もしていないのに、殆ど阿吽の呼吸で合わせている2人にユーリはどう対処しようかと迷った。
だが、そう悠長に迷っている状況ではなくなった。
「…それじゃあ、真打登場だっ!!」
膝を付いていたアキラが戦線復帰してきたのだ。
「げっ、アッキーも来るか!?」
フォロカルとフィリップの連撃をフォロカルの一撃を受けず、フィリップに突撃しお返しとばかりに突き飛ばすことで回避したユーリは、すぐ目の前にいたアキラへの対処が完全に出遅れた。
アキラの剣に峰打ちなどない。
振り下ろされる斬撃は、かろうじて剣の腹ではあったが。
振り下ろされる斬撃にユーリは―――、
「―――まぁ、ちょっと本気でやろうか」
ユーリの足元にあった影が、大きく揺らいだ。
■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■
「百鬼夜行っ!!」
まぁ、面白くはあったがそろそろお終いにしないと。
ちょっとはしゃぎ過ぎて王都揺らしたら、アッキーには怒られるし、言い訳したら遠くからエルライドが睨んできた。
意味解らん、耐震補強はしっかりとしてるのに、主にアルベルトが。
あいつ器用だよなぁ…たまに俺より魔法うまいんじゃないかと思っちまう。
いや、あいつ俺よりも年上だから、普通にうまいだろうなぁとは思うが。
それよりも、『百鬼夜行』だ。
この面白おかしい戦闘を早期終結させるために、俺が以前から考えていた魔法を使ったのである。
ネーミングから分かるとおり、これは普段俺が使っている影魔法、そして闇魔法を併用した複合術式だ。
自分の影から、通常の物理攻撃、魔法攻撃じゃ通用しない『魔法生物』をこれでもかというくらい召喚する。
ちなみにこれ、百とか言ってるが単なる語呂合わせで、実戦じゃケタ余裕で2つは越せるから。
1人で軍団編成出来ちゃうぜ。
という訳で、ハイハイお仕事ですよ魔法生物共、アッキーとフォロカル、あと隻眼に突撃してこい。
「「「「「■■■■■■■■■っ!!」」」」
名状しがたい、おどろおどろしい真っ黒な形をした化け物がアッキーたちに襲いかかった。
ちなみに、アッキーからの一撃は魔法生物が盾になってくれた、魔法生物マジ便利。
まぁ、アッキーの剣はオリハルコン製だからすぐに消滅したけど。
それでも、一体消した程度じゃ毎秒10体召喚しているから、痛くも痒くもないけどね。
10秒もすればもうあっという間に演習場が真っ黒に、ははっ視界悪過ぎだろ。
フォロカルの剣以外は俺が渡しているオリハルコン製だからな、いいペースで切り殺しまくっているが、そっちに夢中で俺のことを相手にする余裕が無くなり始めている。
しかもフォロカルの剣は魔法生物に一切通用していないから足手纏い、避ける以外2人の邪魔をしないようにしている。
ていうかすごいなあの動き、ワイヤー使っていないのに立体機動してるぞ、どうなってんだよ【剣聖】。
今思いっ切り空中を蹴った様な…あれ、俺の目がおかしいのか?
…うん、フォロカルがオリハルコン製の剣持ってなくてよかった。
3人がかりだと、正直圧殺できそうにないだろうからな。
まぁ、殺す訳じゃないし、ちょっとぼこぼこにするだけだから。
「…いい加減倒れてくれないかなぁ」
「はっ、バカいえっ!!
この程度のザコが1万集まろうが倒れるか!!」
「…あと1000体は余裕だな。
適当に操作しているのが見て取れるな」
「当たらなければ、どうという事はないな!!」
…うーん、なんていうか皆さん元気ですね。
これ以上の魔法は…さすがに殺傷力高いからなぁ。
仕方ない、もう少し増やすか。
さすがに演習場がいっぱいになるまでしようとは思っていなかったけど、タコ殴りしないと止まりそうにないから仕方ないよな?
エルライドの笑顔が怖くてもうそっちの方向向けられないけど…何か良い言い訳かんがえとかないとな…。
「百鬼夜行全軍出撃!!」
―――戦いは数である。
まぁ、個として突出している強者3人のおかげでその後1時間かけてタコ殴りにして、ようやく止まったのは正直俺も予想外だった。
……そしてお約束な気もするが、しこたま怒られた。
何だろう、勝ったのは勝ったんだけど、何か釈然としない結果だ。
余計な事を考えていたら、更に説教されたのは言うまでもない。
読んで頂き、ありがとうございました。




