↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪後に娼館送りになったら、義弟が大金を持って私を迎えにきました(私たち不仲のはずでは???)  作者: 千堂みくま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/39

39 あなたが好き

殿下とアリサさんが出て行って、私も退出しようとすると陛下から呼び止められた。


「リアーナ嬢、宰相がそなたの身分を戻したようだ。今をもってリアーナ嬢をコンテルノ公爵とする」


「謹んで拝命いたします」


陛下にカーテシーをしながら、私は隣に立つユリウスをちらりと盗み見た。


(これでいいのよね。ユリウスも私が公爵に戻るのを望んでいたんだもの)


彼はコンテルノ公爵家から抜けて、アラン宰相閣下――シェラーズ侯爵の義弟となったらしい。

なぜそんなことをするのかと以前は疑問だったけど、彼の望みを知った以上、私には異論はない。


(異論はないけど……)


――リアーナと結婚するのは俺です。


ふいに脳内にユリウスの声が蘇って、私は顔が熱くなるのを感じた。

今になって分かったけど、宰相閣下が言った「今のままだと好きな人と結婚できない」という言葉は、私のことだったのだ。


(だめだめ、陛下の前なんだから! 変なこと思い出してる場合じゃないわ)


ふうぅと深呼吸して、平静な顔を取り繕う。

私とユリウスを見ていた陛下は「あー、ごほん」と咳払いして言った。


「ユリウスはシェラーズ侯爵家の養子となった。彼はリアーナ嬢との婚約を望んでおるようだが……。そうだな、ユリウス」


「はい」


「こっ……」


(婚約!?)


初耳すぎて、どう反応していいか分からない。


(な、何それ……、いきなり婚約? いえ、セドリック殿下とも初対面でほぼ婚約は決まっていたけど……)


心臓がばくばくして、頭の中が沸騰寸前のように沸き立っている。

とてもじゃないけど冷静になんて考えられない。

赤い顔のまま口をはくはくさせていると、陛下はさらに咳払いして言った。


「私としては、ユリウスの望みを叶えてやりたいと考えている。どうだろうか、リアーナ嬢。前向きに考えてはもらえんか?」


「そっ……、そうですね……」


必死で答えを探しつつも、私は何かおかしいと違和感を覚えていた。


(陛下はユリウスに気を遣ってるみたい? ユリウスって何者なのかしら……)


もしかしてどこかの国から来た、訳アリの王子様なんだろうか。

いつか本当のことを話してくれるんだろうか。

ちらりと視線を向ければ、私を見ていたユリウスとばちっと視線が合った。

そっと手を取られて――恋人のように指を絡める繋ぎ方をされて、さらに頭が爆発しそうになる。


「嫌ですか、リアーナ」


「い……、嫌じゃ、ないわ」


あわあわしすぎて、自分でも何を口走ってるのか分からなくなってきた。


「……あなたと婚約します」


ぼそぼそと答えれば、陛下は「そうか、それはよかった!」と嬉しそうな声を上げた。


「では俺たちも失礼させていただきます。行きましょう、リアーナ」


「え、ええ……」


ユリウスに手を引かれて、謁見の間を後にする。


(流されてしまった……)


やや強引に婚約してしまったと思いつつも、私の胸には後悔はなかった。

だって私は、自分の気持ちをすでに自覚していたから。


「私、あなたのことが好きよ」


ロータリーにたどり着いて馬車が見えた時、思わず口に出すと、隣を歩いていたユリウスが驚いたように足を止める。

紺碧の瞳には私だけが映っていた。


「私は子どもの頃から王子様の婚約者で、自分はこのままお妃様になるんだろうと思っていたわ。だから……恋をする前に、結婚が決まっていたようなものだった。私はずっと恋を知らずに生きてきたの」


「リアーナ……」


「セドリック殿下も同じね。彼はアリサさんに出会って、やっと恋をしたんだわ。私は彼より自分の気持ちに気づくのが遅かっただけよ」


いつからか、と訊かれると即答できない。

でも私は辛いことがあるたびにユリウスの顔を思い浮かべていた。

彼が傍にいてくれたらいいのに、ずっと一緒にいられたらいいのにと願っていた。


「あなたはいつから私を好きでいてくれたの?」


イタズラするような気分で問うと、ユリウスは私を見つめながら「そうですね」と呟いた。


「きっと出会った瞬間からあなたが好きでした。リアーナを最初に見た時、俺はこの人を守るために生まれて来たんだと思ったんです」


「そんな前から?」


「ええ。やっと俺だけのお姫さまを見つけたんだと、嬉しかった」


「じゃあすごく待たせちゃったわね……」


ふふっと笑うと、ユリウスは私の頬にそっと手で触れた。


「俺は待つのは得意なんです。でも……そろそろご褒美がほしいですね」


彼は少し顔を傾けて、ゆっくりと私に近寄ってくる。

ユリウスの望みに気が付いた私は、静かに目を閉じてその時を待った。

やがて唇に柔らかなものが触れて、胸にじんわりと温かな感動が広がった。


(私……ユリウスとキスしてるのね)


好きな人とキスをするのは、こんなにも嬉しくて、切なくなるものなんだ……。

目元からぽろりと涙が零れて、唇を離したユリウスに笑いかける。


「嬉しくて泣いてしまったわ」


「リアーナ……、もう一度いいですか?」


ユリウスが熱が籠った声で囁き、私は誘われるように目を閉じた。

また唇が重なる。

私たちはいつまでもそこに佇んでいた。





おわり



という訳で、ユリウス君の長い初恋はようやく実りました。

義弟の粘り勝ちでございました・・・!

いかがでしたでしょうか?

もし面白かった!という方がいらっしゃいましたら、☆をぽちっと押してくださると嬉しいです!

よろしくお願いします~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。