冬の終末の訪問者たち
鳥かご売りがやって来た。
激しめの拒絶をして追い返した。
かごを見ると、地面に激突した時の嫌な気持ちを思ってしまう。
鳥屋がやって来て、足鎖をじゃらじゃらといわせて、とても愛想よく僕を市場に誘った。
春が近いから、歌うものが好まれると。
表のうす皮一枚に善意を印刷した生き物をまじまじと見返す。
彼の中身は、僕が理解できないものに執着している。
鳥類愛好家が通りすがって、双眼鏡を構えて観察を始めようとするのでしっしっと追い払う。
鳥撃ちが窓をのぞきこんでいる。
地下に棲む小人たちに鋳てもらったような光る藪睨みの目だ。
見定めようとしている。
僕の背中のひきつれ跡について思考を巡らせているのだろう。
彼らが頻りに姿を見せるようになって僕は季節の終わりより世界の終わりを考えるようになり、憂鬱に空を見上げることが増えた。
長い長い冬のセットをちゃんと消化したつもりだったのに。
ある日、春が来る前に失った羽が天から名残の雪と共に降ってきた。
灰になったはずなのに。
忘れていても構わないことを思い出す、この世が何度か水に沈んだことを。
水と炎と、氷と病と何度か繰り返してきたことを。
終わりについては既に創生の歌に織り込まれていたことを。
僕が放っておかれたことを。
この地に立つより前、自分の歌った終末の旋律に無関心だったことを。
背中のひきつれがぴりぴりと痛んだ。
春を待たずに、水がやってくる。
僕は空を見上げて、深海になる空へ息を吐いた。
《終》




