事件の始まりカウントダウン
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は4/4(土)投稿予定です。
アイリス達から立ち去った後、息を切らしながらイティルはとある談話室の一室のドアの前に立ち止まると荒い息の中震える手でドアをノックした。
震える為かリズム感の無いノック音がやけに響いたがイティルは気にする余裕もなく談話室の部屋へ入る。
「お、遅れて申し訳ありません「やっと来たの?」っ!っす、すみません!」
入った途端声は小さくとも高圧な態度の声にイティルは身をすくませる。
チラリと前を向けばテーブルを囲んでお茶をしているレベッカとその取り巻き達がお茶を楽しんでいる。
皆貴族だからか美味しそうな菓子に思わず目が入ったが自分の席は当然なく、彼女達がこちらを見る目は冷たい。その視線に気がつきイティルは体を震わせて顔を俯くしかなかった。
「本当、平民ってどうしてこうとろいのかしら?」
「ねぇ?約束の時間にはすぐに来てもらわないと。」
クスクスと厭な笑みを浮かべていう取り巻き達の声にジッと耐えていると、レベッカが制止したのが下を向いていても分かった。彼女は他の人間の話しの途中でも自分が話したい時に制止させるからだ。
「で、イティルさん?きちんとアイリスさんには話しができまして?」
「は、はい!ちゃんと生徒会を脱退してほしいと伝えました。」
「で、なんて?言ってました?」
その次に言うべき言葉を言いたくなくて口の中が乾いてきたイティルは思わず唾を飲み込む。
でも言わなければ言わないで酷い目にあうのはわかりきっているので、イティルは言葉を選びながら口を開く。
「あ、アイリスさんはその、脱退意思はありますが従者の義務としてコーデリア様の側を離れるわけにはいかないと「本当に取り繕うのが上手いわね。」・・・え?あの?」
大きなため息と一緒に持っている扇子がピシリと音を立てる。
イティルが即座に顔を上げるとその眼には怒りが見えた。
「何かと理由を並べて結局は辞めようとしないのよ、忌々しい。」
彼女の静かな怒りの言葉に周りは賛同していく。
この中で絶対は彼女の言葉で周りは肯定する異様な光景にイティルもまた麻痺した頭では何も考えられずにいると頭上から冷たいものが滴り落ちる。
頭から甘ったるいお茶をかけられたと理解するまでに時間はかからなかった。
「今日のあなたの罰はこれ。片付けときなさい。」
そう言って立ち去った彼女の取り巻きの1人が「良い召使いね」と捨て台詞を吐いた言葉を耳にしてイティルはカァっと怒りで顔を赤らめたが、反論しなかった。
私はただ勉強しにきただけなのに!
両親に無理して買ってもらった制服がお茶の色に染まっているのを見て彼女は泣きたくなる。
こんなはずじゃなかったのに、私一生このままなの?
グラグラと今までされた事が頭の中を巡り出す。
イティルは絶望を感じそして沸々とアイリスに怒りが向く。
あの子さえいなければ私がこうなる事もなかったのに!
「あれ?」
そう思っていると机の上にキラリと鈍い色を放つものに目がいく。
「指輪?」
彼女達の誰かの物かもと思ったが、イティルはなんだか指輪を嵌めたくなった。
思わず手を取って右手の薬指に嵌める。
中央に紅い石がキラリと光り彼女を魅了した。
これは・・・私のもの。
そう思った瞬間、彼女の眼は紅く染まりニヤリと嗤った。
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