普段ぷっつんしない人間は怖いって知ってた?
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は9/6(土)投稿予定です。
「君なら、今の状況を変えてくれると思ってね。だからこうしてここに来てくれたことに感謝している。」
「よく言うよ、こうなるように誘導したんでしょ?」
自分が面倒くさがりだという事を既に見抜いていた公爵が私をここへ来るように仕向けたのだと理解すると、彼は参ったなと困った顔を見せた。
「そこまで見抜かれるのは思わなかったな、君を不快にさせたなら謝る。」
「別に不快には思ってないですよ。あの3択ならここに間違いなく選んでただろうし。強いて言うなら説明してくれても良かったと思わなくもないけど。」
「ハハハ、でも、説明すると君は大人しく来てくれたかい?」
勿論と言いかけて、それはそれでどうかと思い至る。
最初に見せたあの子の態度を見て私は素直に協力すると申し出ていたかーーー。
下手したら断ってるかもしれないな。
そんなアイリスを見て彼は小さく息を吐いた。
「私の判断は間違っていなかったようだね。」
「うーん、まぁそうなるかも?」
「兎に角、君が協力してくれるなら我が公爵家全てを持って君をサポートすると誓うよ。権力でモノを言わせる輩の排除にはもってこいの爵位を持っているからね。」
まぁ公爵家だしなとアイリスはツッコミを入れていると、ふと彼は机に置いてある物を見やる。
そこには今のコーデリアより幼い彼女と彼女に似た女性に2人を後ろから抱き抱える公爵の姿を撮った写真が置かれていた。
「難しい年頃の娘だと言われたらそれまでだが、本当に妻に似て優しい子なんだ。あんな風に突っかかる物言いは最近なんだ、本当だよ。何が娘をあぁさせるのか・・・。」
公爵の悲しげな表情を見た後、アイリスは両親と一緒に写る幸せそうな少女の顔を見つめる。
・・・まぁ、世話になるしな。
アイリスは仕方ないと魔法を解除しながら腹を括った。
だからといって、すぐに調査をすれば怪しまれるのでティリエスはまずこの屋敷での信頼構築から取り掛かった。
先ずは学園の入学までに習得すべきカリキュラムを進める。
とは言っても精神年齢含め能力でも特化しているのでそんなに時間は掛からなかった。
身体能力は化け物級になった上に元々剣は触っていて基礎はできていたから騎士団の訓練にあっという間について行ったし、特に座学は一度本を呼べば内容を理解し忘れない。公爵家に置かれているありとあらゆる本を読み尽くせば座学は太鼓判を押され、本を読み込んだ事で魔法理論も直ぐに理解できたので使える魔法の幅が広がった。
さらに合間にメイド達の仕事も手伝ったりと行った結果、周りの人間とは友好的になり、優秀な生徒を演じたおかげで教師からの評判も上々だった、ただ1人彼女を除いてはーーー。
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