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凪る嵐に光明を  作者: 雪風風兎
凪編 第壱幕 八大地獄へいらっしゃい
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09 北北東を目指して


 ぼく達は今、貨物列車に客車をつけてもらい閻魔丁へと向かっている。


「そういえば、なんで凪が地獄ここにいるの?」

と青空。


 それ、私も君に会った時に言えば良かったよ……と真っ直ぐ見つめてくる黒い瞳を見ながら、そう思った。


「ねぇ〜、ねぇてば〜」


 青空とは小学校からの知り合いだ。別の高校に進学してからは、会うことが少なくなってしまったが、今でも仲がいい昔からの友人である。

 主にLINEでの話だが。


 それと、彼はぼくが地獄や死後の世界について調べる原因となった一人だ。


 空色交じりの黒髪を、青い翼、天使の翼型をした髪留めで留めているので、いつ見ても印象強い。それに顔が美形なため笑顔を見せれば大抵の女子は撃たれ死ぬだろう、が中身が子供っぽいために無駄美人と評されることもしばしばだけど。


「ねぇ〜凪〜〜、話し聞いてる〜?」


「うぅ」


 いくら昔からの友人とはいえ”異性”が目の前にいるとなんというか、慣れない。


「なぁ、お前本当に女なんだな」


 ぼく達の会話に飛沫が割って入ってきてそのまま飛沫の方と話すことにしよう。


 青空の話しはスルーしといて。


「はい、女です」


 ぼくは飛沫の問いをそのまま素直に返した。


「そうだよ、凪は女だよ……って何故ここにいるのさ、凪〜」


 先程の話になるがぼく達は鹿の血を浴びたために銭湯に行くことになり、その時ぼくが女湯に入ろうとしたところに飛沫がぼくのことを男の子だと勘違いしていたらしいことが発覚した。


 なんか悲しい。スカート履いてたのに! 男と間違われるって……。そういえば地獄に来てから知らないひとにも”ぼく”っていう一人称で話してたからなー。

 それが原因だと思われるな。いつもは知らない人には”私”ってちゃんと言っているのに。


 まぁ、服が汚れたために今、ぼくは制服なんだけどね〜(冬服)暑い。


 大炎町で買った着物は閻魔丁(向こう)についたらクリーニングやってもらうからと青空に回収された。


「おい〜、無視しないでよ〜、なんで凪は地獄にいるのさ〜」

 

 お風呂に行ってから濃い緑色をした半袖コーチシャツに着替え、ズボンもズボンで青藍色の半ズボンになってりなんとも涼しそうである。

 靴は左右のカラーが反対になっており右が青、左に赤となっていた。


 てかどこから出したんだろ? 涼しそうで羨ましいんですけど。


「そういえばさっきの鹿肉のジビエとかステーキとか美味かったなぁ」


 青空の話を聞き流しながら話しを進める。

 飛沫がとどめを刺した鹿は、ぼく達で美味しく頂きました。


「美味しかったけどやっぱり血をかけられたのはね〜」


 ぼくは飛沫に対して嫌味を含んだ苦笑いをして答えた。


「ね〜、聞いてよ、聞いてってば〜」


 急に青空が泣く子供のような声を出したので青空の方を向くと半泣きというか目がうるうるして泣く寸前の顔だった。


 そういえば青空、中学の時に女子と口論しては女子より先に涙溢してたな、今改めて思うとメンタル案外弱いんだよね。

 次の日には何もなかったようにケロッとしてたけども。


「ご、ごめんてば青空〜、無視してごめんてば」


 びゃくくんの言ってた通り、ほんと体だけ大きくなって中身は子供のままだなぁ、まぁ、青彩あおいは青空のこういうところが可愛くて好きとか言ってたし、いわゆるダメな子ほど可愛いてやつだろうか?


「それで? 青空は何の話だっけ?」


 ぼくは青空の話を完全にスルーしていたため何の話しか聞き直す。


「だ・か・ら!! なんで地獄ここにいるの!! ってゆっとんの!!」


「なんで地獄にいるかって——」 


 ぼくは地獄にいることをかくかくしかじかでここまでの経緯を説明した。


「——それで貨物駅に行って青空と出会った訳なの」


 一通りの説明を終えたのでひと息をつく。


「そうなの?」


 青空は子供のように飛沫に向かって問いをかけたようで飛沫がそれに答える。


「あぁ、そうだ、今話した通りだ」


「それでいて神器を忘れるとか……」


 ダメだっと青空はボソッとそう言うとアハハハハ間抜けだ間抜けだ! と笑い転げる。


 ほんと、泣いたり笑ったりコロコロ表情が変わる人だな〜。



 そんなこんなでぼく達を乗せた列車は閻魔丁へと向かって行くのであった。




 ——夢を見た。


 辺り一面青々しい草花が生える草原、紫色に染まった気持ち悪い空、目の前にある謎の襖。

 襖からは大学生らしい女性の影が覗いている。

 襖に映し出されている人影は知っている人物なような気がする、だけどそれが誰か分からない。


 一歩一歩襖へと近づいて思ったことが一つ。

 こうやって、今見て感じてることを夢だと認識している、これはきっと明晰夢という夢の一種。


 襖にあともう少しというところで不意に、海渡みとと一緒にいる時と似たような、でも少し違う……海渡が姉ぶるあれが茶番程度にしか感じない程の姉オーラが襖の向こうから流れ込んでくる。

 姉オーラが徐々にぼくの身をやさしく包み飲み込む。


「君がここに来るのはまだ、少しだけ早いよ」


 意識が途切れる間際、お眠な妹を甘やかす優しい姉の様な声を耳元で言われたような気がした。


 飲み込まれた拍子、どこか安心できる、そして昔抱いた憧れなどの感情が込み上げてくる。


 なんだか分かった気がした、ぼくを包んでくれているのが誰かなのかを——




名前 火野ひの なぎ 本作の主人公


誕生日 7月5日 穴子の日


年齢 17歳


性別 女


血液型 O型


身長 160㌢


体重 乙女の秘密


所属 富士宮北富士高校 2年


部活 弓道


守護星座 蟹座


好きなもの 苺 可愛い物 彼氏 パン 


家族構成 母 父 弟 


最近の悩み 胸が小さいこと

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― 新着の感想 ―
[良い点] あとがきに凪ちゃんのプロフィールが! 誕生日の7月5日って穴子の日なんですねー(*'ω'*)知らなかった(笑)
[良い点] キャラクター同士の会話が生き生きとしていてライトな感じに読み進められます。 [気になる点] 作家さん全般に言えるのですが登場人物の名前に凝り過ぎている感があります。作品の伏線、あるいはどう…
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