表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇のカラス・改訂版  作者: 黒田明人
闇烏3
31/35

31

 

 3才になり、魔法と武器を駆使して魔物を倒せるようになった。

 実はあれから魔法の種類も増え、変装魔法や倉庫魔法、それに武器作り魔法と言えば良いか。

 とにかくイメージで何でもやれるので、オリジナルと思しき魔法を次々に考案していったのだ。


 倉庫魔法は空間魔法に属するのか、それとも時空魔法に属するのか知らないが、イメージとしては魔法の袋だ。

 というか、青い狸みたいな耳の無い猫が腹に持っている、カンガルーみたいな袋のイメージと言えば良いか。

 なので出し入れの口は小さくても中は広大なイメージで拵えてあり、恐らくはタンカーすら数百隻納まるぐらいになっているはずだ。


 そして変装魔法はマスカレード。


 仮面と着ぐるみのイメージなので、青年から壮年、老人に至るまでと、女も可能で動物も可能だけど見た目だけだ。


 武器作り魔法はメイキングマジック。


 見た事のある武器をイメージし、土から作るオリジナル武器なんだけど、土の成分によっては脆い剣しか作れない。

 ただこのメイキングマジックは、武器だけという訳ではなく、防具や小物類など、大抵の物も作れるようになった。

 最初はウェポンマジックという魔法でやってたんだけど、どうせ物作りするならと統合させたのだ。

 その結果、攻防一体的な武器も作れるようになり、この統合は成功だったと言える。

 盾剣と名付けたら良いのか、柄に小さな盾が付いたような剣を考案し、それは現在の愛用品になっている。

 その盾を使う場合は剣を逆手に持ち、盾で殴るのがメインで剣を盾の代わりに使う。

 もちろん、剣で受ければ相手が損傷するので、攻防一体とも言える訳だが。


 これらオリジナル魔法と思しき魔法を使いながら、魔物を狩り続けて数ヶ月。

 今ではたくさんの魔物の死骸を倉庫に入れており、いくつか解体すらしてある。

 意外な事に、魔物の肉は美味いのだ。


 今日も今日とて、メシは魔物の肉入りスープとパン。

 そのスープも大量に作っては倉庫に入れており、パンも自作に成功して大量に入れてあるので、出して食べるだけという簡単な事になっている。

 酵母菌が無かったのでふっくらパンは作れなかったが、蒸し器を作って蒸しパンにしてみたのだ。

 空気の穴あきパンにした事で、スカスカではあるが固いパンという感じではなくなり、スープに漬けるとすぐに柔らかくなる。

 ちょんと漬けては食べると言った方法で、柔らかいパン風にしたのだ。

 実は調味量などは近隣の街で購入している。


 どうやら魔物の部位が売れるようで、青年に変装してそれらを売り捌いたのだ。

 その結果、かなりの資金が倉庫に入る事になった。

 この世界の通貨は世界共通っぽくて、黒金貨、白金貨、金貨、銀貨、銅貨という風になっているようだ。

 換算率は物品によって異なるようだけど、平均すれば銅貨が10円相当、銀貨が1000円相当、金貨が10万円相当と言った感じになっている。


 100枚で次の貨幣1枚という事で、最高の黒金貨の価値は10億円ぐらいか。

 こういう知識は街で仕入れたのだが、勉強料とでも言うべき出費がかかった。

 初期に銅貨が大量になった時、試しにと両替商に両替をしてもらったのだ。

 ここで手数料が発生したのだが、その時に通貨の種類を聞いてみたのだ。

 本来なら倉庫に入れておけば良いから特に両替の必要も無かったが、情報収集の為に両替をした訳だ。

 もっとも、出費が痛いと思ったのは最初だけで、魔物の部位を売り続けていくうちに気にならなくなったのだが。


 今日も魔物を狩る。


 魔物と言っても動物が魔力を帯びたような感じになっていて、その身体の構造はそう変わったものじゃない。

 ただ、体内に血石とも言うべき石があり、これがまた高く売れる部位になっている。

 魔石というらしいが、どうにも血液凝固物のようにしか思えない品。

 この事から魔力は血液の中の物質から、生成される可能性が高まったのである。

 世界の常識としては、大気中にマナがあり、魔法はそれを使って発動するという事になっている。


 だが体内にもある訳で。


 その事から魔法とは、体内の魔力を触媒に、大気中のマナに作用させて発現させる不思議な現象、と言った感じか。

 この不思議なという所がネックだが、火の魔法なら可燃性物質の生成や、水の魔法なら大気中の水分の抽出かと思われた。

 だが水は大量に出る事から、どうにも水も生成している可能性も高まると共に、オレの転生のように何処かから持って来ているのではないか。


 そんな仮説も立った。


 どのみち、科学で全ては証明出来ないだろうと思ってはいるが、穴倉である家の中で寝転がった時などに色々と考察しているのだ。

 これも頭脳のトレーニングのようなものかも知れない。


 狩りの要領としては、原野のような場所で以前に狩った魔物の解体をする。

 そうすると血の匂いに魔物が引き寄せられ、それらを狩って倉庫に入れながら解体を継続する。

 解体が終わるまで狩ったら、ラストの魔物をまた解体する。

 この繰り返して一帯の魔物が狩り尽くされる事になる。


 飛行魔法が使えるのでそういうのをあちこちでやっており、近隣は実に静かな空間になっていた。

 それでも放置していればいつの間にか魔物が出現しており、狩れども尽きないって事になっているようだ。

 なので方角でその日の狩りの場所を決めるようになり、1周する頃にはまた沸いていると。


 隔絶した村を中心に、今日も狩りをやって戻ってメシを食って、色々な考察を楽しんでいるのだ。

 ちなみにこの隔絶した村の様相は、四方を断崖絶壁に囲まれた土地であり、降りれないようだ。

 推定で300メートルぐらいの崖が村を取り囲んでおり、空を飛ぶ者しか出入りが出来ない。


 恐らくこれを作った初代の魔法使いとか、数例出た先祖帰りの人達以外は出入り出来なかったと思われる。

 ちなみに、岩塩を作れる魔法使いが次の長になるようで、次の長は女性になるらしい。

 他にも魔法使いが居なくもないが、種火を出したりコップに水を出したりと言った感じの弱い魔法しか使えないようだ。

 それはともかく、そう言う事から先祖帰りは定期的に現れて、村に恩恵をもたらすと共に、滅びを防いでいたと思われる。

 それなのに何の勘違いかオレを投棄した事で、この村の将来はとても暗い事になっている。


 その理由は簡単だ。


 オレの住まいであるこの穴倉は、入り口を何度も作り直しているのだ。 

 つまり、崖が風雨で少しずつ崩落し、村の面積は日々小さくなっていくのだ。

 今のオレはまだきついが、充分に熟練すればこの村のような現象もやれると思う。

 だけど放逐した村を助けるとか、そんな奇特な事をやる気は無い。

 オレの次が現れるまで、村が消えてなければ良いがな、クククッ。


 今日も街で色々な魔物の部位を売る。


 強い魔物の部位ほど高く売れるので、遥か彼方のトカゲの化け物……ドラゴンと言うべきか、それを狩ったりもしている。

 それらの部位は近隣の街では取り扱いに困るようで、かなり遠いがお城のある街……王都で売っている。

 馴染みの店と言うか、この場合は商会になるのか、それも出来たしな。

 どうやら魔物の部位を売るには資格が要る様で、冒険者とやらにならないと専門ギルドで売れないらしい。

 だが、変装中だと出身地と言われても困る訳で、ガキの姿じゃ門前払いだし、そもそも隔絶村とか言えないし。

 そんな訳で困っていたら、あんちゃんが相談に乗ってくれて、そう言う事ならうちの商会で買い取っても良いと言ってくれた。

 倉庫魔法はかなり珍しい魔法らしく、誰にも言わないほうが良いと言われた。

 どうやら彼もまた、かつて同棲していたロリコン男みたいなお人よしのようである。


 在庫の少ない部位を言われていて、昨日もそれを専門的に持って行った。

 なんせ隔絶村の周囲には、あらゆる種類の魔物が生息していて、多種多様の素材が採れるからだ。

 そんなこんなで資金はかなり貯まり、調合の為の器具やらを買い込み、薬草を採って薬を作ったりしている。

 その知識も商会のあんちゃんに教わったのではあるが。


 完成した薬……ポーションと言うらしいが、これも中々に貴重品らしい。


 冒険者御用達のような薬だが、民間薬としても優秀らしく、医者要らずのようだ。

 ただ、病気の場合には効かない場合があり、ガンや盲腸にはただの痛み止めの効果しか無いらしい。

 やはり、切除の必要のある病気には効かないんだなと思った。

 それでも怪我や過労、身体の欠損にまで効く薬も作れるようで、これからが楽しみでもある。

 そういえば、隔絶村のメシって塩味だけだったような。


 ここはひとつ、各種調味料を持ち込んでやるか。


 一度肥えた舌には、ただの塩味の料理はさぞきつかろうな、クククッ。

 魔物の肉も、一度食べたらまた欲しかろうな。

 家畜は居たけど、それとはまた違う味だぞ。

 聞けば家畜より美味いらしいし。


 意趣返しは当然だよな、クククッ。


 ◇


 青年姿……金髪と青い瞳に変装し、あたかも崖を登ったかのように見せかけて、荷物を背負って村に行ってみる。

 外来の客など殆ど記録が無いようで、ただ空を飛べる者達が連れて来た商人ぐらいしかないはずだ。

 物珍しさもあるが、警戒心旺盛のようで中々打ち解けない様子だが、昼飯にと用意していた材料で、作っていたら集まる集まる。

 一番近くに居る奴に試食をさせると、当然のように絶賛になる訳で、クククッ。


 美味かろう? 


 調味料をふんだんに使った魔物の肉はよ。

 そうなると我も我もとなる訳で、まずは試食で味を教えてやろうな。

 香辛料や各種のポーションに、魔物で作った塩漬けの串肉。

 この村に無いタイプの野菜を挟んだ、野菜焼きと呼ばれる食い物。

 珍しい果物に、それを使ったお菓子の数々。

 それらを試食として少しずつ味わわせていけば、村人達の欲求は高まっていく。

 しかし、貨幣経済など崩壊している村の事、通貨が無ければ買い物も出来ない。


 物々交換に出すにも、小麦は村の生命線。

 香辛料は欲しいが、塩も村の生命線。

 魔物の肉は美味いが、家畜も村の生命線。


 なので試供品を食べて舌が肥えても、追加の食物を手に入れる方法が無い。

 長老には、塩漬け魔物串肉の樽を贈呈し、次からの交易の便宜を図ってくれるとありがたいと告げ、

 そしてオレはまた下に降りていくように見せかけて下っていく。


 風魔法でサポートするので、脆い崖の影響は受けないのだ。


 さあ、彼らは外界の美味なる物を知った。

 それを得る為には何をすべきかを考える必要がある。

 次に行くまでにそれを考えておくんだな。


 オレは今、ひとつの構想を練っている。

 村の空き家を交換トレードにする事だ。

 誰も使わない家で食い物が得られるなら、それは恐らくいけるはず。

 前にも言った通り、種族限界数を割り込む村。

 かつてはもっと村の面積も広く、それだけ耕作面積も広かったんだろう。

 それが崩落で段々と減る事により、生存限界数が減ったと。

 だから空き家が出来る事になったんだろう。


 もっとも、かなり古い家なので、リフォームはやってもらわんとな。

 そして、その家の地下とこの穴倉を結ぶのだ。

 それでいちいち崖を下るとかっていう芝居をしなくてよくなる。

 まあ……いくらでも食い物が出て来ると変に思われるかも知れんが、それで何か言って居なくなれば困るのは彼らだ。


 胃袋を掴んだ者の勝ちだ、クククッ。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ