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闇のカラス・改訂版  作者: 黒田明人
闇烏2
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 もうすぐ14才になるって頃、月の友との付き合いもすっかり慣れたものになっていた。

 裏のモデルも順調で、殺しの仕事も相まって、資金は3千万を超えた。

 オレに語学の才がある事を知り、海外での仕事もやれるかと聞く。

 海外のほうが規制も緩く、今でも何とかなってるが、行った先での仕事がでかいとか。


 売る気か? まあ、仕方が無いよな。


 この国の法律じゃ、すぐにトップまで行く事になる。

 確かに今までは罪にあたわずな年齢だったが、これからはそうはいかん。

 切りたくなるのも理解出来る話だ。


 行き先を聞くと、フィリピンだと言うが、タガログ語は知らないぞ。

 そう言うと、英語が喋れたら構わんと言う。

 どんな組織か聞いてみると、本当に聡いなと言われる。

 別に売るのは良いが、買い手を確実に頼むよと。

 共産系は洒落にならんから、可能なら欧州系を頼むと。

 売るのがバレたせいなのか、マフィアが相手だと言う。

 もうすぐ14才の女だが、殺しに忌避が無い優秀な暗殺者向きの奴だと紹介したらしい。


 これが巧くいけば、うちの組織も楽になる。


 だから受けてくれるよなと、そう言われれば断れない。

 だけどさ、きっと相手は勘違いしていると思うぞ。

 男と寝て隙を付いて殺す女だと思われるぞ。

 ちゃんと言ったのかな、狙撃も近接も可能なオールマイティだと。


 まあ、信じないだろうけどな。


 タグボートで沖合いの船に乗り込む。

 時刻は深夜の11時。

 金はドルに変換して、服のあちこちに分散して入れてある。

 24万ドルの金は、10ヶ所に1万ドルずつ入れてあり、スラックスの左右のポケットに2500ドルずつ、小額紙幣で入れてある。

 残りの金は北米の金貨にして100オンス分を、カメラ用の防水容器の中に100枚入れて首から提げている。


 だけどこれが3キロ弱なので少し重い。


 ブラの中に入れてあったり、ショーツの中に入れてあったり、靴底に敷いてあったり、靴下の中に入れてあったり。

 そんなのを考えられる限りに分散して、500ドル札で20枚ずつにしてある。

 高額紙幣は信用の薄い国だから、かさばって困ったが何とかした。

 銀髪のウィッグの中は、金色に染めた髪の2段構え。

 西洋風に化粧してほりの深さを演出し、服装はどっかのマフィアみたいな格好になる。


 後はミラサンで完璧だな。


 昼頃に一度試しにしてみたら、お前それなら外に出てもいけるぞと言われたけど、ちょっと惜しいと思った? 

 最後だと、メシ食いに高級料亭に連れてってくれたけど、女将の口は堅いんだろうね、当然。

 あっちでも元気でやれと言われ、ボートから船に乗り移る。


 いざ、フィリピンへ、ってか。


 ◇


 武器は更に増え、念の為だと拳銃は受け取ってある。

 小型拳銃だけど、弾に余裕があるから何とかなるだろう。

 後は以前も使っていたバタフライナイフ。

 串の刺殺武器も相変わらずで、内ポケットに増設して7本セットしてある。

 目薬容器はさすがに嫌なので、アルミの丸棒を適当に切断し、面取りをしてキリで穴を掘った特注品を持っている。

 握りに滑り止めの革を巻いて、親指の当たる部分に硬質のゴム板を付けてもらった品だ。

 鞘もアルミパイプで作ってもらい、抜け止めのゴムが付いている。

 竹串のスペアも5箱分、カバンに入れてある。


 海外では手に入り難いと思うが、500本あれば当分問題あるまい。

 スタンガンと催涙スプレーも、もちろん持っている。 

 実は増設分の2本の串は、タングステンの針になっていて、竹串では無理な場合の非常用だ。 

 こいつはティグ溶接の部品の流用になるが、予備が5本しか無いんだよな。

 考えられる範囲で色々と持っているが、プロは無理でもセミプロぐらいの装備になったと思う。

 防具に付いては一応、心臓の位置にセラミックの板を付けてあるのと、上着はケプラー繊維で作ってもらってあり、腹巻のような防刃帯も念の為だ。

 3年弱の仕事の報酬のうち、半分はこの装備で消えた事になるが、かつての死因から考えて無難な防備だと思う。


 さて、割り当てのシャワーの日か。


 3日に1回、深夜に10分だけのシャワーなのだが、首から下を軽く洗い流すだけだ。

 化粧と髪はいじる訳にはいかんが、つい先日、全部洗ってやり直したばかりだ。

 後は着くまで簡易でも構うまい。

 月の友は海に捨てているが、消臭剤必須なのが辛い。

 血の匂いはその手の奴らには敏感だろうから、下のケアは完璧にしないといかん。

 乗船当時、舐めた船員を数人、半殺しにした後、止めを刺そうとして船長に止められたが、船室に復讐に来たから結局、殺して海に捨てたっけ。

 あの時にちょっとトラブったが、止めて止まらなかった奴が悪いって事になったんだ。


 まあ、船長に1万ドル渡しておいたがな。


 そんなトラブルもあったが、それからは特に困った事にもならずに到着寸前だ。

 ボートで岸壁まで静かに進む。

 途中で金を全部寄こせとか、まだそんな事をやるのかよ。

 出すと見せかけてタングステンの針の餌食にして、海に捨てて自分で操縦して到着だ。

 ボートの無線機で船に連絡し、追いはぎが出たから処分したと告げておく。


 指定場所に行く前に、気配を探知して臨戦態勢で赴く。

 気配の怪しいのが実に25人も居る。

 弾は足りるが、目的は何だろう。

 合言葉で合流する3人に対し、周囲の22人は何の為かと聞くと、慌ててこっちだと……やれやれ、情報漏洩ですか。


 これはいかんな。


 どうにも雑魚な組織のようだぞ。

 こんな相手と取引してたら、すぐに発覚しちまうぞ、おやっさん。

 どうにも逃げ方が下手糞なので、途中で路地に飛び込んで別行動だ。


 あんな奴らと動けるかよ。


 あいつらには悪いが、ここは別行動といこうか。

 銀髪のウィッグを外し、金髪で行動開始だ。

 上着は裏返して着用。


 ◇


 結局、朝までに16人殺す羽目になっちまった。

 どうにもチンピラが多いと言うか、治安が悪いと言うか。

 突っ掛かって来るからどうしても殺す必要が出て来る訳で、お陰でたっぷりと楽しませてもらったよ。

 来月には14になるが、後6年で成人だ。


 何とかそれまで逃げ続けないとな。


 あの組織は対抗組織に壊滅させられたようで、おやっさんに後で連絡しないと拙いかな。

 その対抗組織も戦闘員を16人減らしてきつくなったようで、他の組織と揉めているらしい。

 戻れないならどこかの組織に混ざりたいが、外道はお断りだ。

 契約ぐらいは守ってくれないと、おちおち寝ても居られん。


 案ずるより産むが易しと言うか、背丈も少し伸びた関係で、5才ぐらいは上に見える。

 お陰でホテルにも泊まれる年齢に見られるようで、金さえ出せばいけるようだ。

 1泊80ドルの宿を1ヶ月の連泊にして、2400ドルの支払い。

 オレは今日からドイツ人だ。

 慣れないキングスを何とか駆使したが、頼むから違和感に気付くなよ、ドイツ人なんだから、クククッ。


 ホテルで久しぶりに風呂に入る。


 まともに石鹸も使えなかったから、痒いのなんのって。

 全てを洗ってメイクのやり直し。

 物音がするが、泥棒か?

 タングステンの出番は困るんだがな。

 シャワーを出しながら、そっと様子を伺う。

 ダミーのカバンの中を探っているようだが、本物はビニールのゴミ袋に入れて一緒に入浴中だ。

 服を着てそっと後ろに回り、首筋にスタンガンで気絶させ、正体を探る。

 ホテルマンのようだけど、手癖の悪い奴か。


 こんなのクビにしろよ。


 フロントに連絡して引き取ってもらう。

 平身低頭でそいつは拘束され、キャッシュバックで口止めされる。

 それなりの評判のあるホテルのようで、こういう騒ぎは致命的らしい。

 ライバルホテルじゃないの? って言ってやった。 

 なんにしても、タダになってありがたい。

 

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