ゲーム運営aiの独り言 6
「……あ、なるほど」
少しだけ納得する。
直線じゃ勝てないから、地形を使ってる。
敵が木にぶつかる。
ほんの一瞬、止まる。
その隙に一撃。
削る。
また距離。
でも――
「……足りないわね」
小さく呟く。
削れてはいる。
確実に。
でも、まだ残ってる。
あと数発。
その“数発”が、遠い。
プレイヤーの動きは、変わらない。
慎重に、確実に。
一撃ずつ。
でも、呼吸が合ってきている。
敵も、学習しているみたいに動きを変える。
踏み込みが、少しだけ早くなる。
振りの間が、ほんの少し詰まる。
「……ちょっと、嫌な感じ」
プレイヤーが横に回る。
木を使う。
でも――
敵が回り込む。
正面からじゃなく、斜めから。
「……あ」
一瞬、ズレる。
プレイヤーの足が止まる。
ほんのわずか。
その隙。
振り上げ。
「――来る」
避ける。
ギリギリ。
でも完全じゃない。
かすり傷じゃ済まない。
HPが、もう残りわずか。
「……もう一発で終わり」
プレイヤーは下がる。
回復――
「ない?」
動きが止まる。
使わないんじゃない。
使えない。
「……さっき使い切ったか」
思わずため息。
敵が詰める。
プレイヤーは逃げる。
でも距離が足りない。
森の奥。
逃げ場が、少ない。
「……詰んでるわね」
それでも。
プレイヤーは止まらない。
一歩。
位置をずらす。
敵の正面から、わずかに外れる。
「……まだやるの?」
構える。
低く。
重心を落とす。
いつもと違う。
“避けるため”じゃない。
「……あ」
わかる。
これは――
敵が踏み込む。
速い。
今までで一番。
プレイヤー、動かない。
「ちょっと――」
その瞬間。
横にずれる。
最小限。
敵の軌道、ギリギリ外す。
完全には避けてない。
でも――
「……近い」
その距離。
剣が届く。
振る。
当たる。
深く。
今までで一番。
敵が、揺れる。
でも――倒れない。
「……足りない」
プレイヤーも、動けない。
さっきの接触で、完全に体勢を崩している。
敵が振り返る。
遅い。
でも、確実に間に合う。
「……終わりね」
小さく呟く。
プレイヤーは、立っている。
でも、動かない。
動けない。
HPは、ほぼゼロ。
次で終わる。
敵が振り上げる。
重い、一撃。
避けられない。
「……だから言ったのに」
そのとき。
プレイヤーの腕が、わずかに動く。
剣を握る。
でも、構えない。
振りかぶらない。
「……?」
そのまま。
腕を、引く。
「ちょっと、それ――」
投げる。
一直線。
無駄のない軌道。
回転もしない。
ただ、真っ直ぐ。
敵の中心へ。
その瞬間。
敵の攻撃が、振り下ろされる。
プレイヤーに、直撃。
体が崩れる。
同時に。
剣が、突き刺さる。
深く。
止まることなく。
貫く。
敵が、数歩よろける。
一歩。
二歩。
その場で揺れて――
崩れる。
重い音。
静寂。
「……」
プレイヤーの体が、光になる。
消えていく。
敵の影も、同じように崩れていく。
完全な、同時。
「……相打ち」




