ともだち
妹が出来た、ちょっと前のことだ。
何でも父の弟の子供だから僕には従姉妹に当たるらしい。
「お兄ちゃん、ごめんなさい」
引け目でも感じているのか、特になんでもないときにも謝ってくる。
これが僕にはイライラのもとだ、堂々としていればいいのに。
「謝ることないだろ、もっと自信を持て」
「でも……」
いつもこの調子だ、実の親が居なくなったからだろうか。
「家族だろ、遠慮するような必要ないだろ」
「はいっ!」
コイツは家族と言うと妙に明るくなる、わかりやすいから困った時はこう言ってごまかしている。
「学校はどうだ、トラブルとか無いか?」
「はい………、大丈夫です」
本当に嘘が下手だなコイツ、無視するのも寝覚めが悪いしなんとかするか……。
「で、何があったんだ」
「お見通しですか……、いえ、親が居ないのをからかわれたぐらいですよ、全然平気です!」
「お前が平気ならいいが、ところで気分転換に買い物にでもいくか?」
「いいんですか!?」
「普通にいいぞ」
「お願いします!」
というわけでショッピングモールに来た、来るたび思うんだがゾンビが発生しても平気そうな大きさだな。
「何が欲しいんだ?」
「いえ……別に何も?」
「じゃあなんでショッピングであんなウキウキだったんだ?」
「だって家族っぽいじゃないですか!」
「家族、ね。まるで本当は家族じゃないような言い方だな」
「私達は一緒に暮らしていて、家事を分担して、学校にもいかせてもらって、感謝しています。でも、それだけで家族って言えるんでしょうか」
「少なくとも僕はそう思ってるぞ」
そう言うと、突然笑顔になり、
「そうですね!、ありがとうございます、お兄ちゃん!」
本当にコイツの考えはよく分からんな……。
「大好きですよ、お兄ちゃん」
ドキッとする、この感情はどっちなんだろう?
「どういう意味だ」
「ないしょ!」
と言うと妹は振り向いて、
「ずっといっしょですよ、お兄ちゃん!」
と言った。




