第39話 破断――繋がりの崩壊
押しても戻る。ズラしても繋がる。
(点じゃ足りない。まとめて、崩す)
レインは一歩引く。距離を取る。
「任せた!」
ユークが前で受ける。ラグが風で間を繋ぐ。クラウスが陣を展開する。時間を稼ぐ。
レインは両手を上げた。何もない空間に。触れる。掴む。目には見えない。でも。
(……ある。広がり。位置。繋がり。それらを一つとして捉える)
指が沈む。わずかに。"引っかかる"。
(……ここだ)
引く。強くではない。無理にでもない。関係を引き寄せるように。張力が生まれる。空間がわずかに歪む。空気が軋む。
エルドの目が、初めてわずかに動いた。
「止めろ」
前衛が踏み込む。止めに来る。ラグが割って入る。ユークが受ける。クラウスの陣が足を絡める。
一瞬、時間が生まれる。
(……いける)
さらに引く。広く。深く。三人の位置。その関係。繋がり。まとめて。引き絞る。張り詰める。限界。
(……ここだ)
手を、離す。
弾けた。目には見えない。でも確実に"何か"が走る。衝撃。一直線ではない。面で広がる。押し流すように。空間ごと。
「――っ」
三人の足が同時にずれる。半歩。それだけ。でも致命的だ。タイミングが噛み合わない。火弾が遅れる。水が先に出る。風が追いつかない。繋がらない。修正が間に合わない。
「戻せ――」
エルドの声。だが遅い。
レインが踏み込む。その"崩れ"の中へ。ユークが続く。一人仕留める。ラグが流れを読む。ずれた軌道、逃げ場に入る。クラウスの陣が展開される。逃がさない。
エルドが即座に組み直す。だが、わずかに遅れている。完全ではない。
(……足りてる)
レインは距離を詰める。もう一度小さく押す。エルドの足がずれる。その一瞬にユークが入る。一撃。結界が弾く。
最後の一人、水属性の生徒。詠唱に入る。だが遅い。ラグが先に入る。風で崩す。クラウスの陣が絡む。レインが手をかざす。動きが止まる。ユークが踏み込む。終わる。
静寂。一拍。遅れて、ざわめきが爆発する。
「……今の、何だ」「一気に崩れたぞ」
エルドが立ったままレインを見る。数秒。
「……構造ごと、崩したか」
小さく呟く。感情はない。でも認めている。
(……一回だけだな。同じことができるかは分からない。でも)
通った。それだけは、確かだった。
決勝。その二文字が、自然と浮かんだ。
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