不器用な共鳴(7)
そろそろ春になる頃、色々な環境が変わる。
佐藤さんは無事に国試を合格し、地元の病院で理学療法士として働く。
アラタさんは私達のバイト先のエリアだけではなく、数ヶ所エリアを管轄していくことになった。
まだ肌寒さはあったけれど、コブシの白い花があちこちに道を挟んでいた。
これからなかなか集まれなくなるということもあって、佐藤さんがご飯食べようと提案してくれていた。
結局、アラタさんと3月末でバイトを終了するスタッフの送別会に佐藤さんがついてくる感じになってしまった。
言い出した佐藤さんが“ついで感半端なし。“と言っていたが、ヒナコの彼認定で良く来店してくれていたため、違和感ないくらいスタッフに馴染んでいた。
アラタさんは、
「たまには顔出すんだけど…。担当者が休みの日には。」
と、言っていた。
店休日の前日に行うことになり、出来る限りのスタッフが参加していた。
「ここ、良いですか?」
ユウくんが私とアラタさんがいる席に座った。
少しびっくりしたがアラタさんが“どうぞ。”と言った。
「…飲み物頼む?」
私は沈黙が堪えれず、ユウくんに尋ねる。
「まだ、未成年なんでジンジャーエールで。」
と、少しぶっきらぼうに答えた。
「長谷川くんだよね。ヒナコちゃんからホールですごく頑張ってるって聞いてるよ。」
アラタさんはにこやかにユウくんに話しかけていた。
「ヒナコさんやリナさんと仲が良いんですね。」
少しトゲのある言い方のような気がした。
「そうだね。仲が良いかな。以前、リナちゃんとは付き合っていたし、今もかたちは違うけど大事だと思っているからね。」
さらっと、アラタさんが答えた。
「なんかズルい感じですよね。」
ユウくんはアラタさんをしっかり見て、そう言った。
少しまわりが焦っていたが、
「…ズルいかもしれないね。綺麗事に聞こえるかもしれないけど、別れても大事だよ。もとに戻ることはなくても、大事にしたい人だよ。」
と、さも当然のようにアラタさんがユウくんに伝えた。
「リナは愛されてるなぁ…私も大好きだよ。」
と、ヒナコが気を遣って話の間に入り、いつものようにハグをした。
その場は一旦、空気が落ちついた。
その後は佐藤さんがヒナコが止めるも酔っぱらい、怒られと相変わらずのやり取りで和んだ。
「リナ、送るよ。」
アラタさんがいつものように声をかけてくれた。
「途中まで良いですか?」
ユウくんがアラタさんに尋ねた。
「話するなら場所変えようか?」
アラタさんは私とユウくんに提案した。
穏やかな彼がかなりイラついているような気がして、顔を覗くと”大丈夫だよ。”と笑った。




