表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/81

不器用な共鳴(6)

休憩室に入ると他のスタッフがいたが、仕事に戻る準備をしていた。


少し気まずい感じがするが、


「今日の賄いリナさんですか?おいしかったです!」

と、1人のスタッフに声をかけられ、ホッとした。


「良かった。ありがとう。」

私は笑顔で返事を返した。


「楽しみ。早く食べよ。」

ユウくんは楽しそうにそう言いながら、軽く手を合わせ“いただきます。”と言った。


そして、“うまっ”と言いながら、軽くスタッフと話しながらたべている。


少しするとスタッフがいなくなり、2人になった。


今までのテンションではない雰囲気がいたたまれなかった。


「リナさん、僕の事苦手ですか?」

ユウくんに突然、尋ねられた。


「…ユウくんこそ、私の事きらいじゃない?」

少しきつい言い方をしてしまった。


「嫌いではないですけど、正直苦手ですかね。いつもいい人な感じがして、でも、何となく違う。」

何が言いたいのだろうか…ユウくんは、ボソボソと喋りながら”ごちそうさま。”と手を合わせた。


「それに似てるんですよ。母の感じに。漠然とですが。何かに怯えてる感じが…。」

ユウくんはそう付け加えた。


私はどう答えたら良いのかわからなかった。


その後、私は手持ちぶさたで国試の過去問に目を通し、ユウくんはテーブルにうなだれて目をつむっていた。


休憩が終わり、また仕事に戻る。

かなりモヤモヤしたが何となく府に落ちる。

そう見えているのかと、見透かされていたのかと、少しイヤになった。


上手く笑えてないのか…。


私は夜の為の仕込みを始めた。


夕方からはヒナコも出勤し、店内が華やかになる。

心地よいヒナコの通る声が安心できた。


「リナ、どうした?」

仕事が終わり、ヒナコが心配そうに私の顔を覗き込む。


「今日はなかなかハードだったから。心身ともに。」

私は彼女にそう返した。


“充電。“と言いながら、ヒナコはわたしに抱きついた。


「回復します。いつもありがとう。」

ヒナコがいてくれて本当に良かった。


休憩室からスタッフが帰宅するため出入りする。

賑やかな空気に紛れながら、ユウくんを見ていた。


楽しく話しているようだが、やっぱりどこかに気持ちが置かれているような気がする。

彼は上手く笑っているけど、ところどころほつれている感じがする。


「ユウの事、気になる?」

ヒナコはユウくんを見ている私に気がついた。


「ちょっとね。」

と、言いながら私達は部屋を出た。


一瞬、ユウくんと目が合った。

泣きそうな息苦しそうなその顔が気になった。


「ヒナコ、私とユウくんは同族なんだろうか。」

帰り道、ヒナコに聞いてみた。


「…似てると思うよ。人になかなか踏み込めない感じとか、時々、無理して笑っている感じとかね。きっと何かあったんだろうなって思うよ。根本的に不器用な感じがする。」

私にゆっくり彼女は話してくれる。


「気を遣わせてごめん…。」

私が気まずさから謝ると、”いやいや”と笑いながら、


「でもね、2人はまわりを気にしてるからだよ。優しさなんだと思うな。」

そう続けてくれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ