不器用な共鳴(6)
休憩室に入ると他のスタッフがいたが、仕事に戻る準備をしていた。
少し気まずい感じがするが、
「今日の賄いリナさんですか?おいしかったです!」
と、1人のスタッフに声をかけられ、ホッとした。
「良かった。ありがとう。」
私は笑顔で返事を返した。
「楽しみ。早く食べよ。」
ユウくんは楽しそうにそう言いながら、軽く手を合わせ“いただきます。”と言った。
そして、“うまっ”と言いながら、軽くスタッフと話しながらたべている。
少しするとスタッフがいなくなり、2人になった。
今までのテンションではない雰囲気がいたたまれなかった。
「リナさん、僕の事苦手ですか?」
ユウくんに突然、尋ねられた。
「…ユウくんこそ、私の事きらいじゃない?」
少しきつい言い方をしてしまった。
「嫌いではないですけど、正直苦手ですかね。いつもいい人な感じがして、でも、何となく違う。」
何が言いたいのだろうか…ユウくんは、ボソボソと喋りながら”ごちそうさま。”と手を合わせた。
「それに似てるんですよ。母の感じに。漠然とですが。何かに怯えてる感じが…。」
ユウくんはそう付け加えた。
私はどう答えたら良いのかわからなかった。
その後、私は手持ちぶさたで国試の過去問に目を通し、ユウくんはテーブルにうなだれて目をつむっていた。
休憩が終わり、また仕事に戻る。
かなりモヤモヤしたが何となく府に落ちる。
そう見えているのかと、見透かされていたのかと、少しイヤになった。
上手く笑えてないのか…。
私は夜の為の仕込みを始めた。
夕方からはヒナコも出勤し、店内が華やかになる。
心地よいヒナコの通る声が安心できた。
「リナ、どうした?」
仕事が終わり、ヒナコが心配そうに私の顔を覗き込む。
「今日はなかなかハードだったから。心身ともに。」
私は彼女にそう返した。
“充電。“と言いながら、ヒナコはわたしに抱きついた。
「回復します。いつもありがとう。」
ヒナコがいてくれて本当に良かった。
休憩室からスタッフが帰宅するため出入りする。
賑やかな空気に紛れながら、ユウくんを見ていた。
楽しく話しているようだが、やっぱりどこかに気持ちが置かれているような気がする。
彼は上手く笑っているけど、ところどころほつれている感じがする。
「ユウの事、気になる?」
ヒナコはユウくんを見ている私に気がついた。
「ちょっとね。」
と、言いながら私達は部屋を出た。
一瞬、ユウくんと目が合った。
泣きそうな息苦しそうなその顔が気になった。
「ヒナコ、私とユウくんは同族なんだろうか。」
帰り道、ヒナコに聞いてみた。
「…似てると思うよ。人になかなか踏み込めない感じとか、時々、無理して笑っている感じとかね。きっと何かあったんだろうなって思うよ。根本的に不器用な感じがする。」
私にゆっくり彼女は話してくれる。
「気を遣わせてごめん…。」
私が気まずさから謝ると、”いやいや”と笑いながら、
「でもね、2人はまわりを気にしてるからだよ。優しさなんだと思うな。」
そう続けてくれた。




